各科目の学部、学科の科目別勉強方法
英語
満点200点-400点 試験時間 100分
問題構成 問題数:大問数4
-大問 1 長文読解 時間配分目安 24分
-大問 2 長文読解・英作文 時間配分目安 25分
-大問 3 英作文・会話文 時間配分目安 22分
-大問 4 英作文 時間配分目安 22分
※詳細な配点は現在公表されていない
■おすすめ回答順:大問3→大問4→大問1→大問2
概要
出題の傾向として大問数が4題であることは例年変わりないです。以前に比べてここ数年は英作文が絡む問題が増えてくるなど出題内容については多少の変化が見られています。特に大問3のように会話文の一部に自由英作文が含まれるような問題が出題されるようになるなど、英作文の力が非常に問われる試験へと変化していることが見て取れます。
英作文以外にも空欄補充の一部など選択式の問題も用意されていて、問題の難易度のバランスを図ろうとしている部分も無いわけではないです。ただ、大半の問題は内容説明問題や英文和訳問題、そして和文英訳問題と英作文など英語力を強く求めているものが多くなっているため大問数と試験時間から考えても時間的な余裕はほぼ無いと言えるでしょう。短時間で日本語・英語ともに適切に回答を生み出して書ききることが求められている意味では難易度の高い入試となっています。
長文読解に関してはいわゆる長文読解の王道問題が揃っており文章の長さこそ異なるものの特殊な問題が出題されるようなことはありません。長文2題それぞれも単語数は700語程度から840語程度となっていて、合計の単語数も1200語程度から最近では2000語近いこともあったなど年度によって大きく異なるので注意が必要です。問題をざっくりと見渡せばその年度も文字数を把握することは容易であるため、明らかな長文が出題されているような年度であれば時間配分目安に囚われず臨機応変に対応できるようにしてもらいたいと思います。特に文章量が増えたからと言って設問で求められるものが変わらないところが注意すべき点です。一般的には問題文が長くなると設問が易化したり数が減るなどすることも多いのですが東北大学ではそういったことはあまり見られません。単語数が増えればそれだけ高速で問題を時切る能力が求められていることになります。
問題文として使用される文章のテーマは年度により様々ですが基本的には論説が利用されています。一部には自伝的なものが利用されていたり現代社会で注目されていることがテーマとして利用されることもあり幅広く文章を読み解く力も試されていると言えるでしょう。
英作文問題のうち、和文英訳問題に関しては国立大学の問題として妥当なレベルが出題されています。基本的には日本語をそのまま英訳することを目指すが、幾つか直訳が出来ないような部分が隠されているのが特徴となっています。こういった問題に有効な手立てとして和文和訳があり、こなれた文章をいかに英語にしやすい文章に組み立て直すことが出来るかが重要です。文章の組み立てが正しく実施出来れば、必要となる単語や文法については必要以上に難易度の高いものは求められていません。
自由英作文に関しては会話文に関わるものが出題されたり、英文を読み取ってそれを理解することが前提となるものが出題されるなどしています。特に利用が指定される単語は無く全体の単語数に関しても制限がありません。回答欄の大きさは問題によって異なるため、ある程度はこの回答欄の大きさから記載すべき単語数を読み取ることになります。比較的回答欄には余裕があるため単語数としては模範解答以上に記述することも可能ですが、試験時間を踏まえるとそこまで長文を書いていては最後まで解ききれない可能性が高くなっています。
対策
問題数が多いことで難易度が上昇していますが、必要とされている文法や単語については基本的なものが多いです。年度によっては専門的な内容の文章読解が出題されるにも関わらず注釈が付かないような単語も存在していますが、文章を読解していけば前後から把握できるものも多いでしょう。こういったことを踏まえてまずは「システム英単語」ぐらいの基本的な単語が記載されている単語集で語彙力を高めていくことが求められています。逆に国立大学とはいえども難易度の高い単語を集めたような単語集を時間を掛けて覚えるようなことはそこまで必要ないように感じます。もちろん覚えていることに越したことは無いですが、そこに時間を掛けるのであればそれよりも基礎的な単語を理解することで文脈から難しい単語を類推する力を対策として身につけたほうが良いでしょう。こういったことは単語集で学習する際に、意味だけを覚えるのではなく記載されている例文などと覚えることで身に付いていく力の一つとなっています。
基本的な単語が身に付いていれば過去問を利用して実際に少し難易度の高い単語も含まれている文章を読解していけば対策の成果とさらなる対策の必要性を感じることが出来るはずです。分からない単語は類推してみる、類推した結果が正しいかは辞書などで調べるということを繰り返しているうちに自分の中で単語の読み解き方が理解できるようになるはずです。これと同時に単語集に掲載されているにも関わらず自分がまだ把握できていなかった単語の存在についても気づくことが出来るようになるでしょう。
長文読解の対策としては内容説明や空欄補充などに重きをおいてもらいたいです。英文和訳ももちろん重要ではありますが、ここは上記で紹介したような基本的な語彙力が備わっていればある程度対応可能です。英文からこなれた日本語作ることは難しいかもしれないですが、これは過去問を繰り返しているうちにだんだんと日本語の構成力や表現力が身に付いてくるので自分で厳しく模範解答との差を確認することが重要です。内容説明問題に関しては、指定された部分だけではなくその全体を理解することが求められているため普段の対策時から文章を前後関係を含めて理解する練習をしてもらいたいです。どうしても指定された部分に注目してしまいがちではありますが、東北大学の英語では後述される部分が回答の鍵になっていることもあるなど広い視点で文章を捉えることが重要となっています。また空欄補充問題に関しても一般的にこのような問題は語彙力・文法力を問うものですが東北大学では前後の文章から適切な内容を問う問題となっていることが多いです。「この文章では」どのような使い方をされているのかということが問題になっていることも多く、これに関しては数は少ないものの過去問を利用して出題の傾向に対策し慣れておかなければよくわからない問題で終わってしまう可能性もあります。
文系数学
満点200点 試験時間 100分
問題構成 問題数:大問数4
-大問 1 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 2 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 3 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 4 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
※詳細な配点は現在公表されていない
■おすすめ回答順:解けるものから順に→見直し
概要
問題形式は例年固定されていて大問数は4題で全て記述式のものが出題されています。解答用紙はそれぞれ所定の位置に記述することが求められていて、問題用紙にも「必ず解答用紙の指定された箇所に記入すること」との記載がありますので自由に解答用紙を利用することは出来ません。ただ、回答までの過程は記述しなければならないため解答欄のほかの部分を適時利用してこれらの問題を解いていく必要があるなど、少し特徴的な回答方式に事前になれておくことが望ましいでしょう。問題用紙には計算用紙の代わりとなる空白のページなども用意されているため、これを適時利用して計算過程の確認などをする必要があります。
出題内容もある程度は傾向が見られていて、微積分・ベクトル・確率と数列など文系数学において王道のテーマが選定されていることが多いです。また全体的に文系数学ではあるものの計算力を要求する問題が多くなっているのも特徴となっています。証明問題や描図問題の出題はそれぞれ多くはありませんが、出題された場合はこれらの問題も計算力を中心として構成されていて証明自体の内容は見かけよりも簡単であることが多いです。これらのことを踏まえると東北大学は文系数学であろうと計算を短時間で正確にこなす力を試しているものだと判断することが可能でしょう。
数学的な知識や発想の転換よりも計算力が問われている傾向が強いためどちらかといえば問題は標準的なものからやや易しい問題となっています。年度により設問レベルでは難易度の高い問題が出題されることもありますが、これは相対的に難易度の高い問題であり奇問や難問に分類されるようなものはほぼ出題されていません。一つの大問に取り掛かれる時間も23分程度となっていて、計算力が問われる問題ではあるものの余裕が無くなるような時間設定だとは言えないでしょう。計算力に自信がない場合は多少てこずる部分もるかもしれないですが落ち着いて問題に取り掛かれば教科書レベルの問題に見えてくるはずです。
対策
総じて教科書の章末レベルの問題やそれに付随する問題集レベルの問題が出題されているため、基礎知識が確実に定着していれば地道に解くことが出来るようになっています。逆に言えば基礎的な知識から順に問われているため、ここを疎かにするような対策をしてしまうと序盤で失点する可能性があるなど他の受験生と大きな差が出来てしまう原因となりかねません。まずは教科書や問題集で紹介されているような基本的な公式とその活用方法、余裕があればその導入方法やなぜその公式が導出できるのかまで理解しておけば問題に対応できるようになるはずです。
これらの知識の定着度を測るためには過去問を利用することはもちろんのこと、必要以上に難しくない問題集を利用して反復演習することが大切となってきます。国立大学であれば「青チャート」などの利用を考えているものも居るとは思いますが、問題のレベルか考えると難しすぎるので「黄チャート」以下の問題をそつなくこなせるようになっていれば問題ありません。重要なことは難問に多く取り掛かって発想を鍛えるよりも、計算力が問われている問題ということもあり王道の問題を適切に処理できる能力が問われていることを理解してもらいたいです。
そしてこれら王道の問題を解くときにもしっかりと解答を記述する練習を怠らないようにすることも大切です。解答用紙は大きな用紙に自由に書けるものではなく部分的に制限が付いたものとなっています。そのため過去問などに付随されている解答用紙を利用しながらどのように記述していく必要があるのかをまずは把握してもらいたいです。それを踏まえて過去問だけではなく問題集での演習の際にどのような記述で進めていけば実際に解答用紙に記載していく場合も過不足無く対応できるかの練習に取り組んでもらえればスムーズな対策となるでしょう。
加えて、試験時間に余裕はあるとは言ったものの、計算力が乏しければ見直しなどをする時間が削られてしまうことは間違いありません。計算間違いでの失点は他の受験生と差が付く理由となってしまい、受験生本人のモチベーションの低下に繋がりかねない部分です。そのため日ごろから計算専用の問題集などを利用して適切に短時間で計算を済ませるような練習をしておいたほうがよいでしょう。特に微積分に関する計算は間違いが出やすい部分でもあるため、定積分などの計算練習が出来る問題集を利用して対策するというのも方法としては悪いものではありません。
理系数学
満点200点 試験時間 A:150分 B:100分
問題構成A 問題数:大問数6
-大問 1 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 2 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 3 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 4 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 5 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 6 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
問題構成B 問題数:大問数4
-大問 1 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 2 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 3 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 4 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
※詳細な配点は現在公表されていない
■おすすめ回答順:得意分野から順番に着手→見直し
概要
医学部看護学専攻を除く理系学部全体では問題構成Aが利用されていて大問数は6題となっています。解答用紙は裏表に1題ずつ回答を記入する方式となっていて、回答を記入すべき部分は指定されているためこれを必ず守らなければなりません。しかし、導出に必要される過程の記述も求められているため解答用紙を日ごろの演習時から利用して問題の出題方式に慣れておくことが求められます。日ごろから利用するようなノートや真っ白の紙とは少し異なったものとなっているためその点だけは留意しておいてください。計算用紙は配布されず問題用紙の白紙ページなどを用いて計算することが求められています。
出題の内容は理系らしく毎年微積分が必出のものとなっています。大問数が多いこともあり2題が微積分に絡む問題となっていることが多いです。しかも問題としては標準的なものであっても計算力が求められる問題もあるなど試験時間を踏まえると難易度が高い問題が出題されていることも多いため注意が必要となっています。また微積分に関しては単一の単元で出題されるほかに、異なった単元との融合問題が出題されることも多くなってきています。数列や関数などとの融合問題でありテーマとしては有名なものであることが大半ではありますがその点は留意しておいてもらいたい部分といえるでしょう。
微積分を除いた出題傾向としても理系らしいものが多くベクトルや極限が多く出題されています。またこのほかにも確率が例年出題されるように傾向が変わってきているなどここ数年でも出題内容が変わってきているため注意が必要となってきています。
また計算力が問われる問題が多い中で証明問題が出題されることも多くなっています。証明問題に関しても試験時間を踏まえると数学的な発想が必要となり難易度が高めになっているものが多いため注意すべきものとなっています。
対策
教育課程が改定されたことによって出題内容が少しずつ変化してきていますが問われているのはまず基本的な内容が中心です。そのため教科書およびそれと同レベルの問題集を利用して基礎知識を定着させることが重要となる。ただ、融合問題など国立大学入試らしい問題も出題されているため教科書レベルの知識だけでは不十分です。基礎知識が定着すれば過去問と少し難易度の高い問題集を利用して応用問題や発展問題と呼ばれるようなものにも取り組んでいく必要が出てくるでしょう。難易度が高すぎる問題集を選んでしまうと逆効果となってしまうので、現状の自分の数学力も踏まえて問題集を選んでもらいたいと思います。基礎知識と応用力を同時に鍛えるような対策は基本的には無いため、なるべく早い段階で基礎知識の定着を目指し残りは東北大学の出題傾向も踏まえて妥当な難易度の問題集で対策することが最も望ましいと考えられます。
頻出の単元があるのと同様に理系数学では毎年計算力を問う問題と図形を必要とする問題が出題されています。これら二つの能力については日ごろから意識して対策していれば確実に身につくものであり得点元とすることが出来る部分ともいえます。計算力は理系であれば数学に限らず必要とされる能力であり、日ごろから計算用の問題集などを利用して正確に短時間で解く対策が有効でしょう。特に理系で出題されるような定積分に関しては非常に計算力が問われるようなものも多く、解法を思いついたのに計算してみる正しくなさそうな数値が算出されてしまうというのはよくある話です。こういったことを避けるためにも単なる計算問題だけではなく、理系数学に沿った複雑な計算も出題されているような計算問題集を日ごろの問題演習とは別に利用してみるのもよいでしょう。
そして計算力の向上と共に日ごろから図を描くことも意識してください。これも理系であればどのような担当からも言われている話ではあると思いますが、数値では分かりにくいことも図式化することによって解法が視覚的に理解できるということは多々あります。そのため日ごろから解法に困った場合は解答を見るのではなくまずは図を描いてみることで答えへの道筋が生まれないかを考えることを対策として取り入れてください。直接それが回答に結びつかなかったとしても、図を描く練習をすることによって実際に図を描くことが求められるような問題であっても適切な図を短時間で描けるようになるからです。試験時間に関しては余裕が無いものであるため、図を一つ描くにしても短時間で正確に記述出来るように対策しておくことが重要でしょう。
概要で紹介したように解答用紙に関しては少し特徴のあるものとなっています。そのため解答用紙を利用した記述練習というのも対策として取り入れてください。いくら正答が分かったとしても東北大学が求めているような回答方法でなければ得点に繋がらない可能性もあるからです。過去問などに模倣した解答用紙が紹介されているはずなのでこういったものを利用して日ごろから記述・作図などを本番に似た環境で練習することも対策としてもらいたいと思います。
物理
満点 2科目で300点 試験時間 2科目で150分
問題構成 問題数:大問数3
-大問 1 記述式 時間配分目安25分
-大問 2 記述式 時間配分目安25分
-大問 3 記述式 時間配分目安25分
※詳細な配点は現在公表されていない。目安時間は試験時間を二等分した場合。
■おすすめ回答順:得意分野から順番に着手→見直し
概要
大問構成は長年3題が続いており理科2科目で150分の試験時間となっています。全ての問題が記述式の問題となっていて一部の問題では回答だけを記述するような場合もあります。大半の問題は導出までの過程を記述して評価するような問題となっていますので記述が中心と認識しておいてください。記述問題の中には証明問題が定期的に出題されていることが特徴となっていて、さらに描図問題も頻出となっているので総合的な物理の学習の成果が問われている問題だと言えるでしょう。解答用紙に関しては比較的余裕があるものが採用されていて、計算の過程などを正確に記述してもスペースとしては余裕があるものとなっています。また問題の難易度としても標準的なものが多いため記述の時間を短縮するために過程を省略するような回答よりも、解答用紙を十分に使いながら正確に記述していくような回答が時間面でも望ましいと考えられるでしょう。
出題内容としては一部では物理の知識だけではなく問題の捉え方や発想の転換を必要とするような高難易度のものが出題されています。こういったものを除いては力学と電磁気の問題が毎年1題ずつ出題されていて基本的な内容の理解を求めるものとなっています。これら以外の大問としては波動や熱力学が出題されていることが多いですが、過去には電磁気が2題出題されたような年度もあるため特に学習しておくべき単元に集中した出題傾向が続いていると言えるでしょう。どの単元においても出題されている内容としては基本的な問題が多くなっていて、それに続く設問として少し発展的な問題が用意されています。大問のうち前半で導出した値を後半で利用するよう誘導形式に近い問題が出題されていることもあり、前半での理解を誤ると後半の難易度の高い問題で適切な判断が出来なくなってしまう可能性もあるため注意が必要です。
問題の形式として注意すべき点は前述の通り描図問題が頻出となっていることです。物理では問題としては基礎的であっても計算力が問われるような問題も多く出題されていて、さらにこの数値を利用したり利用するにあたり図を必要とするような問題も出題されています。これらの問題は多少難易度の高いものとはなっていますが全体的には大問ごとに順を追えば理解のはかどる良い問題であると言えるでしょう。
対策
基礎的な問題から応用的な問題に繋がる形式となっているため、基礎知識が身についていなければ前半で挫折してしまうことになります。このようなことを避けるために必ず教科書レベルの基礎知識の定着から対策を初めてください。基礎知識を身に付けないまま過去問に取り組んでしまうと、間違えて自己採点した後に理解したつもりになりがちです。基礎的な内容は過去問の自己採点時にはあまり力が入らず応用的な問題の対策にばかり目がいくため、必ず基礎知識は過去問以外の教科書や問題集を利用して間違えるはずがない、ぐらいの自信を持てるように対策しておいてください。
特に記述問題が中心ということもあり、公式などは覚えるだけではなく利用の仕方を踏まえて適切な当てはめ方までを理解しておくとよいでしょう。公式も丸暗記では実際の記述問題に対応できないことも多いため、日ごろの演習から問題は記述しながら理解するということを対策として徹底する必要があります。これらの対策には日ごろから利用している問題集を利用すればよいと思いますが、教科書レベルの問題集かどうか分からないのであれば「物理のエッセンス」を利用していればなんら対策としては問題が無いと思われます。こちらの問題集は入試の物理の参考書としては非常に名高いものであり、私自身も講義でおすすめしているものとなっています。
ただ、入試は基礎的な問題からはじまり応用的な問題が出題されて終了するパターンとなっています。そのため基礎知識が身についた後は発展的な問題や応用力が必要とされる問題集に取り組んでいく必要があるでしょう。そこで活用してもらいたい問題集としては「セミナー物理」です。こちらは高校でも採用されていることの多い問題集であり、問題の量とレベルに関しては幅広く使いやすいものとなっています。全ての問題を解いてしまうと東北大学のレベルを超えてしまうため注意は必要でありますが基礎知識から応用問題の定着を確認するには妥当な問題集であるといえます。
全ての問題において回答を出すことは重要でありますが、図を描くことを含めて記述しながら解き進めていくことが対策としては大切となります。簡単な問題は数値だけ導出したくなる気持ちも理解は出来るが入試では記述内容が問われています。そういったことも踏まえて日ごろからどの問題も回答を書くつもりで丁寧に解き進めてください。
そして、問題集にあるグラフの読み取り問題と描図問題にも注目して練習してもらいたいと思います。読み取りに関してはある程度対応できるとは思いますが、描くとなると対応できないことも多いでしょう。出題の数もまちまちではありますがここも対策しておいて損は無いものです。
化学
満点 2科目で300点 試験時間 2科目で150分
問題構成 問題数:大問数3
-大問 1 記述式 時間配分目安25分
-大問 2 記述式 時間配分目安25分
-大問 3 記述式 時間配分目安25分
※詳細な配点は現在公表されていない。目安時間は試験時間を二等分した場合。
■おすすめ回答順:得意分野から順番に着手→見直し
概要
例年大問数は3題となっていますが、それぞれの大問で取られている内容は多く試験時間を踏まえると見た目以上に物量感を感じるような試験となっています。問題の出題形式の中には選択式のものも含まれてはいますが基本的には記述式の問題となっていて、計算力が問われるような問題も年度によっては出題されているので注意が必要です。また短めではあるものの論述問題が出題される傾向となってきていて、今後さらに増えたり長文になる可能性もあるためこちらも傾向の変化に注意が必要となっています。
出題内容は基本的な問題から少し応用的な問題まで幅広く出題されていて、化学の学習成果がよく反映されるような問題構成になっています。出題単元としても特に固定されているものは無く、理論化学・無機化学・有機化学の全てから出題される構成となっています。またこれらは単独の単元として出題されていることも多いですが、複数の単元を融合させて一つの大問が構成されていることもあり基礎的な知識とそれらを発展させる発想の両方が問われるようなものと言えるでしょう。それぞれの単元については
・理論化学
全ての分野について出題されていて、他分野との融合問題や前提知識として利用されることもあります。計算問題の題材として利用されていることもありpHや熱化学、酸化還元、化学平衡など計算力が問われるような問題が出題されているのもこの単元が多いです。
・無機化学
気体の性質やと金属に関する問題が中心となっていて基礎的な問題が多くなっています。単独の単元として出題されていることはほとんど無く、理論化学との融合問題によって知識力が問われるような問題になっていることが多いです。
・有機化学
高分子化合物に分類されるものが多く出題されています。特に有機化学は構造決定に関する問題が難易度も高めで多く出題されているため特に重要視しているテーマだということが言えるでしょう。構造決定問題は毎年受験生を戸惑わせるような問題が出題されているため、かなりの化学力を持つことを求められていると考えられます。
となっています。
対策
全体的に基本的な問題から計算力・知識の面で難易度の高い問題まで出題されています。どの分野についても頻出単元に限らずまずは教科書レベルの内容を把握することから対策が始まることは間違いありません。有機化学の学習量が非常に多くなるため学習時間の配分には悩むこともあるとは思いますが、なるべく理論化学と無機化学の学習を短時間で終わらせて有機化学の知識定着を目指したほうがよいでしょう。有機化学の知識定着と共に理論化学や無機化学に関する問題集を解き進めていけば、知識の定着が偏ることが無いためおすすめです。
理論化学についてはグラフや表から内容を読み取ってそれを活用して論述するような問題が出題されていることもあり、単純に内容を暗記するだけではなく問題演習を通じて根本的な理解を進めておくことが一つの鍵といえるでしょう。また他分野を交えての計算問題が頻出となっていることもあり、計算力の向上も重要となっています。これは数学の学習においても言えることでありますので詳細は割愛するが公式の根本的な理解と、暗記だけではなく実践で利用してみるということを対策としては盛り込んでください。
無機化学については他分野との融合問題が多くなっているものの教科書レベルの知識が確実に定着していれば対応可能なレベルのものとなっています。重要な単元としてイオンの発生や反応に関するものがありこれは無機化学独自なものもありますので確実に対策しておきたい部分です。問題のテーマとして選らばれるものが無機化学については多数考えられるので、過去問だけではなく問題集を利用して数々の問題パターンになれておくことも重要であると考えられます。全く同じ問題が出ることはまずありませんが、組み合わせのパターンとしては同様のものが出題される可能性も十分にあるため問題演習が重要となってくるでしょう。
有機化学は構造決定に関する問題が頻出であるため脂肪族や芳香族化合物については必ず基礎知識を抑えておくことが重要です。基礎知識としては構造や性質を覚えることがまず重要であり。この次に反応方法や官能基の性質を理解することが重要となります。これらの基礎知識が身につけば東北大学の問題レベルに合わせて少し難易度の高い問題集での構造決定問題に取り組んでもらいたいと思います。構造決定の問題を解くためだけに難易度の高い問題集を購入することはムダに思えるかもしれないですが、標準レベルの問題集では東北大学の構造決定問題には太刀打ちできない可能性もあるため目を瞑って専用の問題集を購入することをおすすめしています。。
生物
満点 2科目で300点 試験時間 2科目で150分
問題構成 問題数:大問数3
-大問 1 記述式 時間配分目安25分
-大問 2 記述式 時間配分目安25分
-大問 3 記述式 時間配分目安25分
※詳細な配点は現在公表されていない。目安時間は試験時間を二等分した場合。
■おすすめ回答順:得意分野から順番に着手→見直し
概要
生物の大問数は以前4問でしたがここ数年は3題で定着しているため過去問を利用した学習を進める際には問題構成の違いについてよく把握しておいてください。問題の形式としては空欄補充といった単純に知識を問うような問題から、内容を読み取って論述する問題、自分の生物的な知識をふんだんに発揮して取り組む長めの論述問題など生物の知識を幅広く問えるような設問が用意されています。
設問の割合としては論述に関する問題が多く、年度によって増減することが多くなってはいます。半分近くが論述問題となっていることもあるため試験時間も踏まえると短時間で回答を作成して素早く文章を構成する力が問われていると言えるでしょう。文字数制限も付いている場合と付いていない場合があり、解答欄の大きさから回答すべき文字数を大まかに推測する問題が多くなっています。
出題内容としては融合問題と呼ばれるような問題は今のところ少なく、一つの大問は一つの単元から構成されていることがほとんどです。単元が絞られているといっても大問が3題あればそれだけ単元の知識が必要となり、それぞれの単元でさらに細かいことが問われていくため出題範囲は実質的に大きなものとなっています。その中でも高校生物において非常に重要な遺伝は特に出題されている単元となっているので、重要性がそのまま入試にも反映されているといえるでしょう。実験結果からグラフや表を読み取って論述させるような問題も出題されているため単なる暗記だけではなく、生物の知識を発展させることが出来るかも問われていると言えるでしょう。
出題単元を問わず問題は標準的な問題を中心に少し差の付く難易度の高い問題まで出題されていて入試問題としてはよいものとなっています。論述問題の記述量によっては時間的な余裕があまり無く、問題の難易度とは別に記述力の差によって難易度を高く感じることもあるかもしれません。融合問題こそ出題は少ないものの、複雑な生物の知識や発想が問われていることもありますので丸暗記だけではない発想力が問われているのでしょう。
対策
幅広い単元から出題されていますが、まずは頻出の遺伝情報・体内環境や動物/植物の反応・進化・細胞・生態といった部分を中心に学習をしてください。ただ全ての問題がこの限られた単元から出題されているわけではないので全体を通じて教科書レベルの知識を身に付けることが対策としては必要です。これらの知識を身に付ける際には丸暗記をするだけではなく、用語集などを利用して意味や説明もあわせて覚えることが重要となります。これは生物でありながら論述問題が多い東北大学の傾向に対策するものであり、日ごろから文章を踏まえた学習をしておくことが対策としては必要となるでしょう。
また、具体的に文章を書いてみる練習も必要となってきます。文字数制限の無い問題も多いため、ある程度解答欄の大きさなどを見て文字数の判断をする必要はありますがまずはとにかく書いてみることが重要です。長文を記述することが出来るのであれば後は不要な部分を削り取って解答欄の大きさに合わせた文章にするだけです。模範解答と厳しく見比べることも重要でありますが、元の文章と削り取ったあとの文章を教員に確認してもらうなど自分の理解が問題で問われている方向性と合致しているのかということも確認しておいてもらいたいと思います。
過去問を利用して対策していると実感しますが、実験に関する問題の出題が多くなっています。過去問自体も受験生が今まで見たことの無いような実験を取り扱っていることもあり、問題集で色々なパターンに触れて慣れておくことが対策としては重要となります。同様の問題が出題されることはまずありませんが、実験として問われている本質は似ていることもあるなど慣れておけば初見の実験でも対応できる力が身につくはずです。年度によっては描図問題も出題されているためこれも実験と合わせて対策してください。
国語
満点300点 試験時間 120分
問題構成 問題数:大問数4
-大問 1 現代文 記述式 時間配分目安32分
-大問 2 現代文 記述式 時間配分目安32分
-大問 3 古文 記述式 時間配分目安28分
-大問 4 漢文 記述式 時間配分目安25分
※詳細な配点は現在公表されていない
■おすすめ回答順:大問3→大問1→大問2→見直し
概要
問題構成は例年変わっておらず現代文が2題で評論および小説か随筆、古文、漢文といった構成となっています。評論は毎年出題されていますがそれ以外は年度によって異なっている点に注意が必要となっています。問題の構成としては国立大学としては一般的なものとはなっていますが問題量は比較的多く、しかもそれぞれの設問に文字数制限が付いていることが多いため難易度は高めになっているといえるでしょう。ただ現代文においてはまとめる力が問われているものの、難問といえるようなものは少なく文章理解して的確に回答を作成することに慣れていれば思ったよりも難しいものではないのかもしれません。ここでいう難しさは本文の理解力に限った話ではなく回答の表現力や構成力が問われているという面で難しいと述べていることになります。
出題されている内容は現代文ではほとんどが内容要約の問題や内容説明の問題となっています。問題の形式として難解なものは出題されておらず本文から必要なキーワードを選びだして回答するようなものにはなっていますが、上記でも述べたように記述に関しては文字数制限が厳しいこともあり難易度の高いものとなっています。小説や随筆に関してはこれに加えて本文に書かれている内容から読み取れることを自分なりに考えて指定された文字数で構成する力も合わせて問われています。これに関しては対策にて触れることにするためここでは割愛します。
古文に関しても特定の時代や特定のジャンルが出題されているわけでは無く満遍なく題材が選択されていることが特徴といえるでしょう。受験生が今までに目にしたことがある文章が出題されることもあれば、全く縁が無いような分掌が出題されていることもあり基礎知識が確実に定着しているかどうかを試すことを重きにおいた文章が選択されることが多いです。口語訳問題に関しても直訳できるものから指示代名詞の内容を明らかにしたり、省略された主語や目的語を判断したりするような問題が出題されていることもあるなどバラエティーに富んだものとはなっています。ただ、これら全てが高校古典において身につく基礎的なものであることには違いが無いので心配する必要はありません。和歌のように高校古文の知識だけでは正確な解釈が難しいようなものが出題されていることもありますが基本的には教科書レベルの問題を受験生が初見であろう文章で試しているような印象を受けるものとなっています。
漢文に関しても受験生が初見であるような文章を選択肢しながらも基本的な問題を出題していて、古文と同様に初見でも高校漢文の知識が発揮できるかどうかを問うたものとなっています。特に難易度の高い問題が出題されていることはありませんが、白文であってもしっかりと書き下しが出来て口語訳できるようになっている必要があります。またこの白文を解釈して内容を説明させるような問題が出題されていることもありますので、設問に関しては事前に目を通してくことが重要となるでしょう。
対策
現代文に関しては評論・随筆・小説と出題されている事実があるため、どのような文章が出ても安定して問題に取り組むことが出来るように対策が必要となります。日ごろからジャンルやテーマにこだわらずに本を読むこと出来れば理想ではありますが、時間的な制約もあるため評論文の問題を中心に随筆や小説の問題にも取り組むようにしてもらいたいと思います。問題集を新たに購入するのであれば記述が多く、しかも文字数制限が40-80文字程度が中心となっているものを選択するべきです。これよりも短い要約問題は出題されているものの100文字を超えるような記述は現代文では出題されておらず、どちらかといえば端的にまとめる力を養うことに対策としては力を入れてください。
この端的に文章を書くための構成力や表現力というのは一長一短で身につくものではなく、何度も自分なりの回答を作成して添削していくことで身につくものです。はじめから過去問を利用して鍛えていく方法もありますが前述のように記述の多い問題集を利用してまずは少し簡単な文書で対策したほうがモチベーションの維持なども含めて効率の良い対策が出来るはずです。
問題集で練習する際は自分なりに必要だと思う部分を抜き出してきてまずは文字数を意識しない回答を作るのもよいと思われます。最終的な回答を作成する際には文字数を減らすことになると思いますが、事前に長めの文章を作成しておけば削除した部分が適切であったのか不適切であったのかの判断が付きやすくなります。不適切であった場合はどのような理由でそこは残すべきであるのかを模範解答から読み取ることによって記述力の糧にすることが出来るでしょう。適切であった場合も、そこを削除した理由は模範解答にあるような理由であるのか、あるいはたまたま正解したのかは確認するようにしておいてください。
現代文に関しては内容要約などが大きな割合を占めている中で漢字の書き取り問題が出題されているのも特徴となっています。総合的な国語力が問われているということでもありますので、文章を読むだけではなく慣用句や漢字の対策もしてください。これは時間を掛けすぎるのではなく英単語などと同様に移動時間などの隙間時間で着実に知識量を増やしていくことが重要となります。ただ書き取り問題が出題されているため定期的に暗記している内容が定着しているのかの確認はしてもらいたいものです。
古文に関しては初見の文章が出題されたとしても設問や文章自体は標準的なものであることが多いです。そのため教科書で紹介されているような文章を読み解けるようになること、助動詞といった間違いが出やすい部分を確実に理解しなおすことを対策としては取り入れてください。こういった内容はセンター試験を受験する際に理解している内容であるはずであり、国立大学だからといってこれ以上難しい対策をする必要はあまり無いでしょう。ただ、センター試験とは異なりこれらの標準的な問題は全ての受験生が解けて当たり前の問題となっているため失点してしまっては差が付く原因となることには留意してください。まずは教科書とそれに関連する標準的な問題集で文章になれること、そしてこれと平行して文法の中でも特に助動詞に関連した問題に取り組んで自分の知識に抜け漏れが無いか確認する対策をしてください。センター試験を踏まえてこれらの学習になんら問題が無いのであれば後は過去問を利用して出題傾向に慣れていくことが重要となってきます。
漢文に関しても概要で紹介したように文章自体は初見であっても基礎的な知識を問うものとなっています。また書き下し文を記述するような問題が出題されていることも踏まえてまずは白文を適切に書き下せるだけの基礎知識の定着が対策としては重要となってきます。こういったことは文法書を利用して学習することが重要とはなってきますが、短くとも実際に文章を記述出来るような問題集を活用することによってさらに着実に身につくものでしょう。文章での練習に関しても白文ベースの問題集を利用することが望ましいです。実際の入試問題は設問に関する部分だけ白文になっていることも多いですが、普段から返り点が無くとも文章が読める程度になっておくと本番でも焦ることは無いでしょう。白文を読む、書き下し文を作る、口語訳にしてみるということを繰り返し練習していればそれで十分な対策となり、必要以上に難易度の高い問題集などで複雑な漢文に取り組む必要は無いと考えます。