独学可能度 |
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編集長のひとこと
世界史は暗記だから授業はいらないという人もいますが、
参考書に書かれている意味や流れが分からなければ、暗記をしても
忘れやすくなったり、応用が効かないので、
基礎力のない人は流れを掴めるようになるまで授業を受けるか
”世界史を ひとつひとつわかりやすく”などの超入門から学習していくことをオススメします。
編集長 香西
独学可能度 |
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世界史は暗記だから授業はいらないという人もいますが、
参考書に書かれている意味や流れが分からなければ、暗記をしても
忘れやすくなったり、応用が効かないので、
基礎力のない人は流れを掴めるようになるまで授業を受けるか
”世界史を ひとつひとつわかりやすく”などの超入門から学習していくことをオススメします。
編集長 香西
世界史は扱う範囲が非常に広く,社会科の他の分野の内容にも関わりのある、総合的な性質を持っています。そのため,学習範囲は非常に広く,覚えなければいけない内容も社会科の中で最も多い科目であると言えます。教科書は分厚く,<世界史B用語集:山川出版社>には10,000語を超える用語が掲載されており,地理や政治・経済などの社会科の他科目の掲載用語数を大きく上回っています。もちろん教科書や用語集の厚さだけで単純に比較できるものではありませんが,必要な語彙が他科目と比べていかに膨大であるかということが何となく分かると思います。
また,世界全体をその対象としているため,人名や地名はほとんどがカタカナ表記であり,「似たような名前ばかりで覚えきれない」とか「マルクス=アウレリウス=アントニヌスあたりで世界史がキライになった」といった声を受験生からよく聞きます。中国史は漢字になるから大丈夫かと思いきや,逆に,やたらと難しい漢字が出てきて覚えられないということもよくあります。さらに歴史なので,現在とは違った表現になっているものも多く,苦労する受験生が多いようです。
ただ,だからといって世界史=難しい,受験に不利,つまらないというものではありません。世界史に対するイメージというのは上記のようなデメリットが先行していますが,実は効率よく勉強を進めていけば,思ったほど難しくはないですし,受験上実は有利な点も多いですし,何よりめちゃくちゃ面白いのが世界史です。
では,どのように勉強していけば良いのでしょうか?
ここでは世界史全体を通じての勉強のコツを伝授します。もちろんこのやり方が全ての受験生にとってベストだとは思いません。やはり究極形は自分がやりやすくて成長を実感でき,かつ実際に結果が出るやり方で,細かい部分まで含めると千差万別のものだからです。ただ,それでもこれまで自分をはじめとして,数多くの受験生を指導してきた経験から,最大多数の受験生にとって最大効率を実現できるものだろうという形があります。それをこれから紹介していきます。
世界史対策でやりがちなミスとして,とにかく全て暗記だ!とはりきりすぎて,いきなり一問一答の問題集などを使って機械的・網羅的に暗記しようとしてしまうことです。もちろん,暗記が重要なことは否定しませんし,できません。全教科の中でも社会科は特に暗記が多く必要であり,逆に,暗記さえすれば得点できるものが多いからです。社会科の中でも地理や経済と比べて,世界史・日本史などの歴史科目は論理や思考というよりは暗記の占めるウェイトが多いのは事実です。ただ,だからと言って,全てを暗記するというのは現実的に無理がありますし,面白くないですし,何より効率が悪いです。
そこでオススメしたいのが有名講師の授業を再現した形のいわゆる「実況中継」型の参考書です。受験に直接は結びつかないような雑談なども収録してあることが多いため,分量(冊数など)が多くなりがちで敬遠する受験生もいるかもしれませんが,入りとしてはベストだと思っています。頻出語句を中心に綺麗に整理整頓して(情報をぎゅっと圧縮して)書かれている参考書も多くありますが,それだと人名・地名・歴史的事象がどのように「つながっているのか」が分かりにくいことが多いです。よく言われることですが,歴史は「流れが重要」なんです。学校の先生をはじめとして,誰もが必ず言っていませんか?言っていますよね?なぜならそれが事実であり本当に重要だからです。ただの人名・事象名の丸暗記にはほとんど意味がありません。実際,近年のセンター試験ではただの丸暗記だけでは対応しづらい出題を工夫するようになってきています。そのことも踏まえて,「流れ(つながり)を押さえることが重要」だと改めて強調しておきます。
では,その流れとは何を指しているのでしょうか?簡単に言えば,それは一つ一つの出来事の「因果関係」のことです。「1517年,ルターが95か条の論題を提示し,宗教改革が始まった」のには理由があったからですよね。カトリック教会による贖宥状の販売という原因であったり,当時の教会(宗教)を絶対視する権威主義的風潮やカトリック教会の腐敗という背景があったからでしょう。また,それらの状況は古代ローマ時代にキリスト教が生まれ広がり,権威を確立するに至ったそれまでの過程があったから起こったわけですよね。
こうした無数の事象の因果関係を大まかに「流れ」といっているわけです。
ただの丸暗記ではなく,こうした「流れ(因果関係)」を自分の頭で理解・納得できた時って,世界史の勉強に限らず,とっても面白いものじゃないですか?「好きこそものの上手なれ」とはよく言ったもので,結局受験勉強も一度何かのきっかけで面白いと思えてから,一気に成績が上がっていくものです。そしてそのきっかけになり得るのが「実況中継型」参考書だということです。代表的なものに,<世界史B講義の実況中継:青木裕司著:語学出版社>や<ナビゲーター世界史B:鈴木俊彦著:山川出版社>,<荒巻の新世界史の見取り図:荒巻豊志:東進ブックス>,<センター試験世界史Bの点数が面白いほどとれる本:茂木誠著:中経出版>などがあります。これらの難易度別の使い方は後半で詳説します。
入りとしては小説やマンガを読むような感覚で,単純に書いてあることを無意識に読んでいけばOKです。そして,ここでもう一つポイントとなるのが「一気に最後まで読まない」ということです。はりきりすぎて最後まで!といきなりやってしまうと大抵途中でくじけます。まずは「古代」だけ。次に「中世」だけ。あるいは,まずは「中国の王朝」だけ。
など,細かく時代やテーマを区切りましょう。そしてその区切った範囲について読み終わったら,すぐに次に入るのではなく,同じ範囲をもう一度読んでみましょう。今度は少し,赤字や太字などで強調されている部分に注目しながら。そしてそれが終わったらすぐにその範囲に該当する過去問を解きましょう。
ここがまた重要なポイントなんです。
受験生が世界史対策でよくやるミスが,「まずは完璧に暗記をしてから,その後にじっくり腰を据えて過去問演習に取り組もう」というプランミスです。気持ちは分かりますが,実は非常に効率が悪いやり方です。最終的に皆さんは試験問題を解いて,高得点を取りたいんですよね。それなのにその試験では何が問われるのか・問われやすいのか(出題頻度),どういう風に問われるのか(出題形式),そこが曖昧なままで闇雲に暗記するのは効率が悪いと思いませんか?
まずは敵(試験)の情報を得ましょう。そのための最強の対策が過去問演習です。
センター試験から私大・国公立試験に至るまで,近年ではデータベースが発達し過去問がほぼ完全に公開され,しかも専門家が十分に分析・解説したものを容易に入手できますよね。例えば,赤本で有名な教学社からは<センター試験過去問研究 世界史B:教学社>が毎年出版されています。その他,有名予備校ごとにセンター試験過去問が出版されています。これをさっさと使わない手はありません。もちろん暗記もせずにいきなり演習をしたって手掛かりも何もなく解けるわけもありません。ですから,まずはある程度勉強をした後だと考えて下さい。その目安とは,①で述べたように,自分で区切った短めの範囲について参考書を二周読み終わった後です。そこですぐに演習(アウトプット)をし,答え合わせの際に一問ずつ参考書の該当箇所に戻りながら暗記(インプット)し直して下さい。その作業が終わったら,三周目に入りましょう。一度演習というステップを踏んでいるため,どこが試験で問われやすいのかが何となく分かっているはずです。そうすると,そこを読む時に人間は自然と意識します。「あっここ試験に出てたな」とか「試験に出てたあの人物はここで出てきたんだっけ」とか,少しずつ分かるようになるはずです。そしてそれが記憶に残っていくはずです。
闇雲に丸暗記!とやっていても,本当は必要がない(出題頻度としては非常に低い)ことにまで注力してしまいます。無駄な労力はできるだけ省きましょう。ただただ愚直に時間をかければ良いってわけじゃありません。努力も方向性を誤ると問題アリですからね!
①・②の対策をしていってもやはりどこかで「受験対策上,暗記するしかない」ような部分は出てきます。そこは割り切って覚えてしまうしかありません。ただ,その際にも色々と工夫してみましょう。ここは特に「自己流」を発揮しやすいところです。他人にもオススメしたくなるくらいのスゴい暗記法を自分なりに作れれば勝ちです。ここでは一般的に効率が良いとされる暗記方法を紹介します。
(1)図で覚える!
ただ字面を見て覚えようとしても中々覚えられないものです。そこでまずオススメしたいのは「図を描く」ということです。その時の図とは,決して精巧なものでなくても良いんです。流れを示すように,事象と事象をや―で結んでみたり,□で囲ってみたり,人名や地名を付け加えてみたり。自分なりにフローチャートの形でまとめてみる,くらいで良いんです。自分で手を動かして書くということを含め,その過程が必ず印象に残ります。
(2)音やリズムで覚える!
いわゆる語呂合わせもこれに含みます。視覚以外の聴覚など,別の器官を利用して暗記してみましょう。中国の王朝の順番なども中学校の頃に「殷・周・秦・漢・隋・唐・宋・元・明・清」といったようなリズムで覚えませんでしたか?大学受験では当然もっと細かい分類が求められますが,要点はこれと同じです。また,その際には「何度も繰り返して口に出す」ことがポイントです。頭では覚えていなくても口がその感覚を覚えている,ということも少なくありません。重要事項だけでも,音やリズムで印象付けをしておくことで試験時にも頭の中に流れるようになりますよ!
(3)毎日必ず目に留まる場所に置いておく!
やはり暗記において必要不可欠なのは「繰り返し(反復)」です。テクニックというよりは強引な環境整備ですが,かなり有効なもので,それは毎日必ず一度は関わる場所に暗記用の教材を用意しておくということです。自分の机の前でも,ベッドの横でも,トイレの壁でもドアでも良いと思います。毎日数分間の暗記作業の繰り返しが一年間でも続けば相当量の暗記時間になります。その際に気を付けたいのは,あまり細かく詳しい内容(教材)は置かないようにするということです。このやり方のコツは,あくまで「勉強時間とは別の日常生活の一部で単純作業の繰り返しをする」ということです。
<応用編>
上記①~③のやり方で基礎を作りながら,同時にやっていくべきことがあります。それは「軸となる一冊に全てを集中させていく」ということです。①でオススメした実況中継型参考書は導入としては非常に優れていますが,欠点もあります。それはやはり分量(冊数など)が多くなりがちであるということと,全体の内容を整理整頓しにくいということです。
そこでそれとは別に「軸となる一冊」を用意しましょう。例えば,<時代と流れのつかめる用語問題集 世界史B:相田知史・小林勇祐共著:文英堂>のように重要語句を中心にまとめてある参考書であったり,<書き込み教科書 詳説世界史B:山川出版社>や<詳説世界史Bノート:山川出版社>のようにノート形式のテキストが良いでしょう。世界史の勉強を進めるにあたって,新たに気づいたことや演習をしていて何度も間違えたところなどをその一冊にメモしていくようにしましょう。そして定期的にそのメモ部分を何度も見返すようにしましょう。これを続けていくことで,受験直前にこれさえ見れば大丈夫,という自分専用のオリジナルテキストが完成します。また,知識の積み重ねというものを実感でき,それが自信にもつながるはずです。
社会科の中でも特に世界史はその範囲が非常に広いため,その分勉強するのに時間がかかります。なので,①~④を丁寧にやり過ぎていると最終的に本番までに間に合わないといった最悪の事態にもなりかねません。ここのバランスは決して簡単ではないですが,勉強ペースには気を付けなければいけません。高得点を狙うのであれば,本番までに過去問演習を最低でも3回は繰り返すべきです。その課題を本番までに少々の余裕を持って終わらせるためにはどのくらいのペースで進めていくかを,簡単にで良いので計画しておきましょう。受験までの残り期間を約10か月と仮定すると,3か月程度で①~④の流れを一周することになります。センター試験対策ということであれば,十分実行可能なプランです。目標点や試験の種類によってもちろん変わりますが,必ず「逆算して」勉強を進めて下さい。
センター試験の対策であればもちろんセンター試験の過去問演習が最重要です。やる分がなくなるほど過去問をやり尽したのであればセンター試験の予想問題集をやっても良いと思いますが,あくまで優先は過去問です。本試験だけでなく,やや難易度が高い追試験まで解くとより力がつきます。
私大・国公立二次対策であれば,受験する大学の過去問演習が最重要です。特に学部ごとに試験内容が異なる大学では,出題傾向にかなりの差がありますのでその学部の過去問を最優先して解きましょう。もちろんそれが終われば他学部の過去問を解き,それも終われば他大学で傾向が類似した問題を解くなどの対策が有効です。
また,難関私大や国立二次になると,試験に論述問題が含まれることがほとんどです。その対策は何といっても「論述すること」です。過去問を中心にして,徹底的に書きまくることです。やはり難易度が高いため,つい後回しにしがちですが,早くから対策を始めなければ,一朝一夕で「得点できる解答」を作る力はつきません。そして書いた答案は必ず先生に添削してもらいましょう。模範解答を頼りに自分で丸付けをするのはオススメしません。やはり専門家に,必須語句(キーワード)が出ているか,その使い方は適切か,文体は正しいか,説得的な文章になっているかなどをチェックしてもらう必要があります。なので,論述対策が必要な人は早いうちに先生に相談しておくことをオススメします。
ここでは世界史の項目別学習のコツを伝授します。先に述べた勉強法は世界史学習の全体的な対策が中心でしたが,ここではもう少し具体的な分野別の内容に沿って説明します。
日本史も含め,歴史の勉強において中核となる部分ですよね。しかし,ここで日本史との違いがはっきりと出てきます。日本史の場合は基本的には日本国内のことを,時代ごとの権力主体の政策に沿って勉強していきますが,世界史では一国内のことだけで完結する話がほぼありません。もちろん日本史でも対外関係史は欠かせないものですが,教科書等でもあくまで日本を中心に他国を位置付ける形で記述されています。噛み砕いて言ってしまえば,日本史の場合は日本が主役ですが,世界史には主役らしきものは出てこないということです。また,日本史の場合は扱う地域の範囲が狭い分,かなり深い部分まで勉強することになりますが,世界史では扱う地域の範囲が格段に広いため,比較的浅めな部分を扱います(もちろん難関私大や難関国立大学の二次試験ではこの限りではありませんが)。
こうした特徴を踏まえ,世界史の通史の対策はどのようにすれば良いのでしょうか?それはズバリ「タテとヨコのつながりを意識して広く浅く勉強する」ということです。
まず「タテの勉強」というのは,ある地域について時代を追って勉強するということです。例えば,中国史という形で,古代の中国王朝から現在の中華人民共和国に至るまでの編年史を勉強するということです。それに対して,「ヨコの勉強」というのは,ある時代について世界全体の様子を勉強するということです。例えば,14世紀,ヨーロッパでは英仏百年戦争が始まったり,ルネサンスが広がり始めていた。中国では朱元璋によって明という王朝が興っており,日本では南北朝の動乱の只中であったが,それが治まったのち,明との交渉によって勘合札を用いた貿易が始まった,など同じ時期の世界全体の様子を(できる限り国・地域同士を結びつけながら)勉強するということです。時代ごとに世界地図を俯瞰するわけですね。
これらを交互にやるようなイメージです。まず古代のヨーロッパ,中国,アフリカ,インドのように主要地域ごとにタテに勉強し,次に古代の世界全体ということでヨコに見ていくことでそれぞれを結びつけていきます。ヨーロッパの古代~中世まで一気にやるなど,タテをもっと長めにやっても良いですが,あまりタテの勉強に偏り過ぎないように注意しましょう。特に大航海時代以降など,世界が一体化し始める近代になると,タテの歴史(各国史)よりもヨコの歴史(対外関係史)の方が重要になってきます。常に世界地図をひいて眺めてみるという習慣をつけておきましょう。
文化史は単語だけでの情報が特に多いため,苦手とする受験生が多い分野です。絵画・文学・音楽・建築など,世界史では文化とくくられてかなり幅広い内容を勉強しなければなりません。ただここも闇雲に暗記しようとすると面白くない,効率が悪い,という悪循環となってしまいますのでポイントを押さえた暗記をしましょう。
最大のポイントは「いつの時代の人物・作品かを明確にする」ということです。実は結構受験生が見落としがちな部分なんですが,センター試験をはじめとして,かなり出題率が高いことなんです。文化史の勉強といえば,例えば,「『史記』は誰の作品か」「司馬遷」のように,人名と作品名を一致させるという一問一答形式を想像しがちです。もちろんそうした出題もありますが,それ以上に多いパターンが時代を問う形式なんです。例えば,「『史記』が書かれたのはいつの時代か」ということです。それがセンター試験であれば,「秦の時代に皇帝の業績をまとめた『史記』が書かれた。○か×か。」「×(正しくは漢代)」のような形で問われやすいわけですね。このことを踏まえると,文化史の対策はそれだけで独立したものとして勉強するのではなく,必ず「通史と連動させて勉強する」べきです。難関大学になればなるほど,こういった流れの中に文化史を位置付けるという観点が求められます。
通史・文化史対策の内容と重複しますが,世界史学習では欠かせない部分です。
まず年号については,例えば「紀元前367年,リキニウス=セクスティウス法制定」のように,正確に覚えておくに越したことはないです。通史において核となる年号については,全体編でも伝授したような暗記方法などを駆使して正確に覚えておきたいところです。しかし,世界史上の全ての年号を暗記するのは不可能ですし,効率が悪いわけです。ではどうすれば良いのでしょうか?…それは「大枠を(で)覚える」ということです。
具体例として,先のリキニウス=セクスティウス法について説明します。何度も強調した通り,世界史で重視されるのは,事象の単なる丸暗記ではなく,流れやつながりです。そうすると,この法律については「紀元前367年に制定された」こと以上に,この法律が「古代の共和政ローマにおいて,特権階級であった貴族に対する平民による権利獲得闘争の過程において制定された」ということが重要なわけです。そうすると,時期的には共和政期(紀元前6世紀~紀元前1世紀頃)だとまとめられます。その他にも,十二表法やホルテンシウス法などの制定がありますが,いずれも本質的には平民の権利獲得の過程であるという観点から同じ時期であると関連付けて覚えることができます。これが「大枠を(で)覚える」ということです。また,このことは世界史をヨコで勉強していく際にも重要です。同じ時期の世界の各地域の様子を比較するにあたって,例えば,中国では1206年にクリルタイでテムジンが大汗に選出されチンギス=ハンとなり,ヨーロッパでは1241年にワールシュタットの戦いがあり,イスラム世界では1258年にアッバース朝が滅び~…,と細かくやっていくと間違いなくパンクします。そうではなく,大枠を押さえるんです。「13世紀はモンゴル族が世界を席巻していく時代であり,その中で上記事象が起こった」という風に。センター試験であれば特にこの傾向が強いです。というより,細かい年号は覚えていなくても解けるような仕組み(出題方法)になっています。ただし,私大受験では直接的に年号を問うてくるものもあるため,少々気を付けなければいけません。そこは各大学の出題傾向を分析した上で対策をしましょう。
次に地図対策です。地図を利用した出題はセンター試験・二次試験問わず,頻出で定番ではありますが,実はこれはそもそも独立した分野として勉強するものではありません。通史を勉強する過程で必ずセットで覚えていくべきものです。逆に,地図を使って重要事項を整理整頓するということが効率の良い勉強法の一つなんです。これはかなりオススメします。参考書や資料集などに年代ごとの各国の勢力図のような地図が必ずついていると思います。ただ,ほとんどの場合,情報が詳し過ぎ,多過ぎます。なので,自分で簡単な地図を描いてそこに自分なりに重要だと思う部分だけを書き込んでいきます。白地図を使うのも良いと思います。いずれにせよ,自分でまとめ加工した地図を作ることがコツです。
はじめに述べた通り,世界史には受験上のメリットがあります。最大のメリットは何といっても「使用可能性が高い」ということです。受験したい大学・学部の受験資格として,どの科目でもOKというわけではありませんよね?例えば,文系の私大受験をしようと思った時に募集要項をチェックしていくと,地理では受験できない,なんてことはよくある話です。しかし世界史は違います。私大受験では大半が受験可能科目になっており,さらに国立大二次試験では外国語大学や外国語学部などでは世界史が必修となっている大学もあります。使用可能性で言えば,日本史は同等ですが,地理や公民と比べると格段に高いです。受験期には志望校が変わることも少なくありませんが,世界史にしておけば急な変更にも対応しやすい,つまり,つぶしがきくわけです。
このことを踏まえ,二次試験まで含めた受験で世界史を使う人はかなり多いと思いますので,続いては世界史で受験するにあたって,レベル別(志望校別)という形でどういう対策をすべきかを紹介したいと思います。
まずは基本的な流れを押さえなければなりません。特にセンター試験では,単なる一問一答的な問いよりも流れや時代把握を問うような問題が多いです。したがって,まずは先に紹介したような,<世界史B講義の実況中継:青木裕司著:語学出版社>,<ナビゲーター世界史B:鈴木俊彦著:山川出版社>,<荒巻の新世界史の見取り図:荒巻豊志:東進ブックス>,<センター試験世界史Bの点数が面白いほどとれる本:茂木誠著:中経出版>など話し口調での説明となっている,流れを重視した参考書で勉強すると良いでしょう。「正直世界史が大キライで,何からやれば良いのか全く分からない…」という人には<漫画版 世界の歴史:集英社文庫>を使ってまずは世界史に対するアレルギーを取り除くのが手っ取り早いと思います。
次に,必ず演習をします。センター試験特有の四択や六択の出題形式に慣れるためには,<センター試験過去問研究 世界史B:教学社>や<センター試験への道 世界史:山川出版社>などの過去問の演習がベストです。
その過程で必ず作ってほしいのがオリジナルテキストでしたよね。これも先に紹介した通りですが,<書き込み教科書 詳説世界史B:山川出版社>や<詳説世界史Bノート:山川出版社>など,知識全体を整理整頓し,自分で書き込めるようなタイプの教材が使いやすいです。また,用語をより確実に暗記するための補足として<世界史B一問一答 完全版:斎藤整著:東進ブックス>などを併用すると良いでしょう。
出題形式はマーク・記号などの選択問題がメインですが一部記述問題があります。私大なので,教科書範囲を逸脱したマニアックな問題も散見されますが,基本的にはセンター試験+αくらいのレベルだと考えておいて下さい。このレベルの試験で7割を目指す目安としては,センター試験で確実に8割以上取れるくらいの力をつければ良いでしょう。したがって,適切な参考書・問題集も①と同様です。使う教材は同じでも,そのやり込み量を増やすイメージです。ただし私大の場合,センター試験よりもやや細かい情報を問うてくることが多いため,勉強の過程では年号や人名・地名などを意識して覚えるようにしておきましょう。その際,教科書に載っていない難解な用語を調べるツールとしては,<世界史B用語集 改訂版:山川出版社>を活用しましょう。分からないことはすぐに調べてメモを残すという習慣もつけましょうね。
また,センター試験対策ではセンター試験過去問を使いましたが,私大の場合は当然<大学入試シリーズ(赤本):教学社>のような大学別の過去問を使って演習しましょう。
②よりも難易度が上がります。センター試験9割を目指すような勉強が必要です。加えて,記述式の出題が増えますので,覚えているだけではなく書けなければいけません。中国史の場合,日本史よりも難しい漢字が出てくることもありますので,書けるようになるまで十分に練習しておきましょう。適切な教材はまずは①と同じもの,加えて②と同様に,用語集や大学別過去問が必須です。このレベルの大学になると,かなり高度な内容が出題されますので絶対に欠かせません。あとは特別なことをやるというよりは,これらの参考書・問題集を何度も何度も繰り返して徹底的にやり潰す,というこだわりが重要です。
③よりもさらに難易度が上がります。センター世界史であれば満点を目指すくらいの勉強が必要になります。記述式の出題はもちろん,論述式の出題も散見されますので,知識を持っているだけではなく,それを吐き出す(表現する)力もつけなければいけません。もちろん土台作りとしては,①~③までで使ってきた参考書・問題集をやり込むことになりますが,それらに加えて<実力をつける世界史100題 改訂第3版:Z会>のような難易度の高い問題集を使うことをオススメします。これを徹底的にやり込めば,難関私大であろうと十分に対応できるだけの力がつきます。ただし,難易度は高く分量も相当多いため,軽い気持ちでやり始めてはいけません。受験直前期に最後の総まとめでやろうという分量でもありません。必ず逆算した計画にもとづいて,ある程度の期間をもってやり込むようにして下さい。この問題集に限りませんが,参考書・問題集の類は中途半端にやり残したという状況が最も良くありません。必ずやり切るようにしましょう。
最難関レベルです。私大受験と大きく違うのは出題方式がほとんど論述式であるという点です。もちろん東大・京大であっても,穴埋めや選択などの単答問題はあります。ただ,配点のほとんどはやはり論述問題です。これに対応するためには,まずは①~③までで使ってきた参考書・問題集をやり込むことになりますが,特に過去問を使った論述対策が必須です。先述した通り,早いうちから先生などに添削をしてもらう仕組みを作っておいた方が良いでしょう。また,論述の参考になるのが実は「教科書」です。全く世界史が分からない人にとってはあれほど使いにくい教材はないかもしれませんが,世界史が分かるようになってきた人や興味・関心を持っている人にとっては最高に優れた教材です。日本を代表する世界史の専門家が執筆しているため,表現は高校生向けに易しく書かれてあるものの,非常に奥の深い記述ばかりです。国公立大二次試験の論述対策をする時には必ず手元に置いて,表現の仕方などを参考にするようにしましょう。
出題形式はマーク・記号などの選択問題がメインですが一部記述問題があります。簡易な問題も多いですが,私大なので,教科書範囲を逸脱したマニアックな問題も散見されます。したがって,以下に挙げる参考書で基礎をじっくり押さえつつ,問題集でやや発展的な演習を積むと良いでしょう。
インプット
有名講師の講義を再現した話し口調で構成された参考書。歴史の流れを重視した構成で,世界史を大局的に捉えるための導入書としてベスト。分量は比較的多め。
インプット
話し口調で歴史の流れを説明した参考書。難易度は易しめなので,世界史の土台を作るのに最適。地図の掲載も多いため,資料集などがなくても勉強を進めやすいです。
インプット
『詳説世界史』の本文そのままで,穴埋め形式で知識を整理していく参考書。ページ下段に解答があり,効率良く進めやすい。地図や資料も豊富に掲載されており,知識の体系化に役立ちます。
インプット
文章形式ではなく,表などで整理された内容に穴埋め形式で知識を整理していく参考書。余白が多いため,追加で書き込みをしたい時にも便利。やや細かい用語まで扱っています。
インプット アウトプット
全ページにわたって,基本的には左ページには単元の内容をまとめた表や関連する地図・資料,右ページには歴史の流れをまとめた簡易な文章,という分かりやすい構図です。要所が穴埋め形式になっており,知識のアウトプット用としても使えます。
アウトプット
単元ごとに頻出用語が一問一答形式でまとめられています。頻度が★印で表現されており,強弱をつけた暗記がしやすいです。量も上記私大対策としては十分です。
アウトプット
教科書レベル基本問題1,160,中堅私大・センターレベル標準問題1,630,難関大レベル応用レベル1,210という3段階で構成。自分の志望校に合わせた効率的な勉強ができます。要所に地図や語呂合わせも収録されており,暗記のための工夫が凝らされています。
インプット アウトプット
ナビという形で話し口調で歴史の流れを説明した参考書。導入向き。別冊として「ポイント・チェック」が付いているので,知識のアウトプット用としても使えます。
難易度が上がります。センター試験9割を目指すような勉強が必要です。加えて,記述式の出題が増えますので,覚えているだけではなく書けなければいけません。以下に挙げる参考書をベースとして,応用力をつけるために以下に挙げる問題集で演習を積みましょう。
インプット
有名講師の講義を再現した話し口調で構成された参考書。歴史の流れを重視した構成で,世界史を大局的に捉えるための導入書としてベスト。分量は比較的多め。
インプット アウトプット
全ページにわたって,基本的には左ページには単元の内容をまとめた表や関連する地図・資料,右ページには歴史の流れをまとめた簡易な文章,という分かりやすい構図です。要所が穴埋め形式になっており,知識のアウトプット用としても使えます。
アウトプット
いわゆるMARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政大)やその他早慶など関東の有名私大の過去問をベースに構成された一冊。一校だけではなく,関東の複数校を受ける受験生に特にオススメです。別冊になっている解答・解説で細かい知識の定着を図りましょう。
アウトプット
いわゆる関関同立(関西・関西学院・同志社・立命館大)の過去問をベースに構成された一冊。一校だけではなく,関西の複数校を受ける受験生に特にオススメです。別冊になっている解答・解説で細かい知識の定着を図りましょう。
アウトプット
中堅~難関私大の問題を中心に,単元ごと・難易度ごとにバランス良く問題が掲載されています。問題のすぐ後に解答・解説があり,補足情報も載っています。難易度はやや高めで分量も少なくはないので計画的に進めましょう。
アウトプット
二次対策として定番のシリーズ,いわゆる赤本。志望校別の対策としては何年か分の問題が載っているため,最も適しているものと言えます。
さらに難易度が上がります。センター世界史であれば満点を目指すくらいの勉強が必要になります。記述式の出題はもちろん,論述式の出題もありますので,知識を持っているだけではなく,それを吐き出す(表現する)力もつけなければいけません。以下に挙げる参考書をベースとして,応用力をつけるために以下に挙げる問題集で演習を積みましょう。
インプット
有名講師の講義を再現した話し口調で構成された参考書。歴史の流れを重視した構成で,世界史を大局的に捉えるための導入書としてベスト。分量は比較的多め。
インプット アウトプット
全ページにわたって,基本的には左ページには単元の内容をまとめた表や関連する地図・資料,右ページには歴史の流れをまとめた簡易な文章,という分かりやすい構図です。要所が穴埋め形式になっており,知識のアウトプット用としても使えます。
アウトプット
いわゆるMARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政大)やその他早慶など関東の有名私大の過去問をベースに構成された一冊。一校だけではなく,関東の複数校を受ける受験生に特にオススメです。別冊になっている解答・解説で細かい知識の定着を図りましょう。
アウトプット
中堅~難関私大の問題を中心に,単元ごと・難易度ごとにバランス良く問題が掲載されています。問題のすぐ後に解答・解説があり,補足情報も載っています。難易度はやや高めで分量も少なくはないので計画的に進めましょう。
アウトプット
難関大学の問題を中心に,難易度の高い問題を100題にまとめる形で構成されています。別冊の解説はかなり詳しいので,演習+解説熟読という流れを繰り返せば,相当な実力がつきます。ただし,難易度・分量ともにかなりハイレベルなので早いうちから手をつけるようにして下さい。
アウトプット
二次対策として定番のシリーズ,いわゆる赤本。志望校別の対策としては何年か分の問題が載っているため,最も適しているものと言えます。
※東大・京大・一橋大レベルであれば,それぞれ<大学入試シリーズ(赤本):教学社>
から<○○大の世界史>という形で10年以上の過去問が収録された特別版がありますので,必ずやり込みましょう。これらの大学はほとんどが論述問題なので,相当量の演習をこなさなければ合格点を取れません。このレベルの問題集は解説もこの道の最も有名な講師が執筆しているので,じっくりと腰を据えて取り組めば相当の知識や考え方を吸収できます。