各科目の学部、学科の科目別勉強方法
英語
満点150点-300点 試験時間 90分(文学部は105分)
問題構成 問題数:大問数4
-大問 1 英文和訳 時間配分目安 19分
-大問 2 長文読解 時間配分目安 22分
-大問 3 自由英作文 時間配分目安 25分
-大問 4 和文英訳 時間配分目安 21分
※詳細な配点は現在公表されていない
■おすすめ回答順:大問2→大問1→大問3→大問4
概要
基本的な出題傾向としては例年変わらず長文読解が2題、英作文に関する問題が2題という形式が取られています。英作文は大問ごとに内容が大きく異なっていて、1つは大阪大学の大きな特徴である自由英作文となっています。もう1つは一般的な和文英訳が出題される形式となっています。注意点としてこれだけの英作文が出題されるにも関わらず下書きに利用するような用紙は配られないということです。脳内だけで全てを考えることを求めているとは思えないですが、問題冊子の空白などは効率よく使えるように練習しておいても良いかもしれません。大問ごとの形式は例年大きく変わっていません。
大問1は年度により全文和訳が出題されますが、例年では下線部の和訳が出題されます。この下線部和訳にも大阪大学の傾向が現れていて他の大学に比べて下線部も回答も長くなるということです。これが大問1に来ていることで受験生を苦しめているのでは無いかと私の中では印象つけられています。また、あえて長い文章を和訳させることを意識して問題文を作成しているため修飾関係が非常に複雑です。本来は2文に分けた方が美しいような印象を受けるものですら関係代名詞などで繋ぎ合わせておりとにかく複雑な文構成を読み解く力が問われています。単語レベルで落ち着いて訳していけば大阪大学レベルの受験生であれば対応できるものが多いですが、修飾関係が複雑であるためそれを意味の通る日本語にすることが非常に難しいです。この点は対策にて触れるようにしますのでここでは割愛します。
大問2がいわゆる長文読解です。文章の文字数は上昇傾向にあったものの2014年を境に一旦落ち着いてます。概ね700単語までの文章が出題されると思っていればそれより短い可能性も十分にありえますので大丈夫でしょう。また設問の内容としても複雑なものだけではなく空欄補充など確実に点数を取っておきたいような問題から、内容説明・英文和訳といった合否を左右するような問題まで幅広く用意されています。前者は英語の知識があれば本文に関係なく回答できる可能性があるものですが、後者ともなれば文章をしっかりと読み解いておかなければ対応することは出来ないです。英文和訳と同様に回答に必要な部分が長い1文となっていることもあり、いかに端的に必要な部分を抜き出してくるのかということは1つ問われていると考えても良いでしょう。
大問3は例年60-70単語程度の自由英作文が出題されています。大阪大学の受験生の中にはこれを特に意識して対策している人も多いはずです。実際、私が受験生を指導していても一番よく質問されるのがこの自由英作文に対する対策や概要です。心構えとして持っておいてもらいたいのは自由英作文が近年パターン化されていないということです。時折「どのような自由英作文が出ますか」と聞いてくる学生がいますが、私が分かるようなものではありません。「傾向として」という意味ではあると思いますが、10年程度の過去問を見ても傾向はそこまではっきり見えないのが現実です。ただ、共通して問われていることは質問に対していかに綺麗な日本語を作成してそれを英語にすることが出来のかということです。複雑な日本語を作成してしまってはそれを英文にすることが出来ずに失点してしまうでしょう。
大問4は例年2題出題されています。他の国立大学と基本的な方針は同じで、英文にしにくい日本語をいかに和文和訳して英語に直せるかが問われているといっても良いでしょう。直訳できるような英文が出題されることは無いといい切っても良いレベルで、設問をまずはどう簡単にするのかがこの大問の鍵となってきます。
対策
英語の対策としてまずは必要となるのが語彙力を強化することです。世の中には様々な単語集や参考書が発売されているのですが大阪大学レベルであっても必要となるのはまずは「システム英単語(駿台文庫)」程度であるということです。国立大学向けの難しい単語を集めた単語集も発売されていますが、これはシステム英単語が余裕すぎるぐらい語彙力が付いている受験生が利用するべきです。どんな難関大学であっても大半の単語は基礎的なものと、そこから派生した応用的なものです。そして初期に学習する単語ほどあとになって意味が追加されやすいというのも事実です。基礎的な単語だからと疎かにしていては、自分の知らない意味で出題されていることに気づかないかもしれません。対策としてまずは基礎を疎かにせず、英単語レベルで自分が知らない意味は無いのかを把握することが必要となるでしょう。
このような対策が出来ればやっと文章を解くことが出来ます。設問はそこまで難しいものではなく基本的な内容のものとなっていて、奇問や難問は出題が少ないです。ただ、前述した国立大学向けの難しい単語集であれば掲載されているような難解な単語が設問に利用されることもあり、これは前後の文章から意味を推測することが問われています(この点に関しては単語帳で勉強していれば有利ですが、そこに時間を割けるほど英語が堪能であるならば他の教科の対策をするべきです)。
知っているに越したことは無いですが、日頃から前後の文脈から意味を推測してみるということは対策として取り入れて良いでしょう。単語を推測しながら問題を解くのであれば大阪大学の過去問に固執する必要も無く、旧帝大レベルの英語であればどれも本文理解では対策に活用できるでしょう。ただ設問レベルでは全く傾向が異なる場合もあるため時間の使い方には注意が必要です。前後の内容などから設問内容が推測できればあとはそこまで難しいものでは無いでしょう。日頃の制覇を発揮する場となるためいかに正確に文章を作成出来るかの勝負です。しかし、受験生は英語を理解することに固執して日本語をたくさん書くということを疎かにしがちです。内容は理解できているから文章に出来ると思いこんでいる学生が多いのですがそれは大間違いです。実際に問題を解いてみると分かると思いますが、思っていることは簡単には文章には出来ません。そのため日頃から問題を書くということが対策としては非常に重要です。回答内容が間違っていることもあるとは思いますが、とにかく文章が書けなければその判断も不可能となってしまいます。これは和訳であっても英作であっても共通して言えることでしょう。和訳を書くためには日本語を構成する力が必要で、英作文を書くためには英語を構成する力が必要です。文章が書けないというのはその力が不足しているということに他ならないのでそこから対策が必要となるのです。
内容は交錯しますが自由英作文についても文章を構成する力が結果としては求められています。和文英訳であればすでに記載されている内容を簡単な日本語に和文和訳してそれを英語にするということが必要です。自由英作文となればこの簡単な日本語を作る部分を自分で実現できるということにほかなりません。極論かもしれないですが問われていることは実質的に同じでは無いかと考えます。ただ指定されたことを書くか、自分が思いついたことを書くかの違いでしょう。自由英作文の練習は過去問で出題されたテーマを利用することが基本になるでしょう。このときに受験生がやりがちなミスは、とりあえず途中まで書いてみるということです。多いようで意外と少ない単語数で自分が思いついた内容を表現することはなかなか難しいです。途中まで書いて単語数がオーバーすることに気づくこともあれば、途中で書きたいことが単語として表せないと気づくこともあるでしょう。こうなっては時間のロスが発生してしまいます。そうならないためにもまずはいかに自分の知識だけで文書を作れるかを考えるべきです。単語が分からないのであれば同じ内容で別の表現は無いか、決まった言い回しは無いかを考えるべきです。特に英語は日本語以上に決まりきった言い回しというものが存在しています。こういったものを上手く活用してみるのも表現力を見せつけるという意味ではよい選択肢です。
文系数学
満点100点 試験時間 90分
問題構成 問題数:大問数3
-大問 1 記述を必要とする大問 時間配分目安28分
-大問 2 記述を必要とする大問 時間配分目安28分
-大問 3 記述を必要とする大問 時間配分目安28分
※詳細な配点は現在公表されていない
■おすすめ回答順:取り掛かれるものから→見直し
概要
大阪大学の文系数学は例年大問数3つで固定されていて、選択問題は用意されていません。全ての問題が記述式となっていて、解答用紙に計算も含めて細かく記述する必要があるのは大阪大学らしい数学の出題形式です。全ての記述が必要とはされていますが、解答用紙は空欄などが用意されていないタイプのものであるため好きなように書き進めることが可能です。
2015年より教育課程が変更されたことにより、確率分布などが出題範囲から削除されました。そのなかで頻出の単元は微積分であり毎年出題されている内容となっています。微積分と同様に頻出となっているのは図形と方程式や確率に関するものです。王道のベクトルや整数問題・三角関数も出題されたことがあり傾向はあるものの幅広い単元から出題されていると考えるべきです。
問題の出題内容や傾向としては理系数学に近いものがあり、新しい発想力や複雑な計算を短時間で対応させるような問題が用意されています。またそれに加えて図形を用いた問題や視覚的な表現を利用した問題というのも比較的よく出題されています。最近はこれらの単元を融合させるような問題が出題されることが多くなっています。計算力も去ることながら証明問題も増えてきていて、総合して難易度が難化しているような印象を受けます。ここ数年試験時間が90分ということに対してやや難~難の問題が増えてきていますので注意しましょう。そのため、大阪大学は文系と言えども数学に力が入った出題になっていると心得ておく方が良いです。
対策
まずは基礎知識手の定着と計算力の強化が求められています。全問記述式であることから計算過程などを適切に記述することが求められているので丁寧な記述も必要でしょう。なんとなく公式などが使えるだけでは記述式の問題となるとケアレスミスを犯しかねないので自力で導けるぐらいしっかりと学習しておくことが大切です。また大阪大学のような融合問題に対応するためには、それぞれの分野に対する基礎知識が身に付いていることが必須です。もし不安となる単元があるのであればそこから対策することが望まれます。
数学的な知識が定着していれば計算力の強化が続く課題です。複雑な計算が出題されやすいのが微積分だと言われていて、微積分に対して公式などを活用して素早く計算する練習が対策として必要です。公式を素早く選んで計算に取り掛かるということも計算力を早めるということには入るし、適切な公式を利用して数値を正確に計算することも計算力の強化と言えるでしょう。
これら全ての前提条件が揃うと後は大阪大学らいし思考力の転換や融合問題への対策が必要です。これらの問題は過去問を利用して傾向を掴むという対策も有用です。他にも過去問の難易度が高いのであれば融合問題が出題されている問題集を利用して対策することが重要です。大阪大学の問題の中には出題が非常に複雑なものや何を答えれば良いのか判断しにくいものも多いため、まずは問題をしっかりと読み取ることが大切となります。問題を解く方針が思いついたならば、あとは記述を正確に書く力が求められます。大阪大学の解答用紙は回答欄が設けられたものではないため、採点者に分かりやすいように記述する対策をしていなければ何を書いているのか分からないものとなりかねないです。数式などが正しく記述されていることはもちろんのこと、なぜそのような数式が生み出されたのかを説明する文章の記述力を対策として取り入れることも重要です。また、導出の過程において図形が必要となることもあるため日頃から図形を書く練習をしておくことも対策には取り入れてもらいたい部分です。
数学の記述となれば問題を添削してもらうことが時間の都合上他の教科に比べて難しくなってしまいます。模試を受けすぎるのも時間の無駄とはなってしまいますので、それなりに実力が付いてから模試を受けることによってプロの採点を受けてみるのも対策に盛り込んでも良いでしょう。
理系数学
満点250点 試験時間 150分
問題構成 問題数:大問数5
-大問 1 記述を必要とする大問 時間配分目安27分
-大問 2 記述を必要とする大問 時間配分目安27分
-大問 3 記述を必要とする大問 時間配分目安27分
-大問 4 記述を必要とする大問 時間配分目安27分
-大問 5 記述を必要とする大問 時間配分目安27分
※詳細な配点は現在公表されていない
■おすすめ回答順:取り掛かれるものから→見直し
概要
問題構成は5題で基本的には変わっておらず問題の出題形式も記述を必要とするもので全問構成されています。記述式の中には細かいことは記載させず数値の計算や証明問題だけ長文を書かせるような問題を出す大学もありますが、大阪大学の記述式では途中の計算はもちろんのこと証明するにあたり図を使用したのであればその図も記載していなければ内容不足として減点されるほど全てを記載することが求められています。証明問題は例年1題は出題されていて、ここは長い記述の心構えが出来ている受験生も多いがこれ以外も全て記述する心構えは必要となっています。基本的には解答用紙に全て記載するため計算用紙が特段用意はされていません。が、問題用紙が比較的余裕を持って作られているため推論など試してみたい内容がある時はこの余白を利用すると良いでしょう。採点については裏面に続くと書けば両面自由に利用しても良いとされ指定された箱などが無いものとなっています。
これはどこの大学にも言えることではありますが、教育課程の変更によって理系は2015年より出題範囲の変更がされています。大阪大学は教育課程から削除されてしまった行列の問題がそこまで多く出題されていないため影響は少ないですが、過去問を利用する際には注意してもらいたいポイントです。実際、大阪大学は教育課程の変更前からそこまで内容が変わることもなく微積分の出題が非常に多いです。単独の問題として出題されることもありますが、他の単元と合わせて出題されることもあり微積分をいかに正確に解くことが出来るかが合否の鍵を握っているでしょう。また微積分は日頃の学習でもよく理解していると思うが派生問題が非常に多いです。過去問では見たことの無いようなパターンが出題される可能性もあるためその点は抑えておくべきでしょう。微積分を除いては一般的な理系の数学入試の内容が出題されていて「ベクトル」「極限」「整数問題」「数列」といったあたりが題材として利用されています。
計算問題が非常に複雑であることが多く、これが大阪大学の特徴となっていると言っても過言ではないでしょう。また複雑な計算をする前の導出過程において図形を利用した回答が求められることもあるなど図形を利用した問題への取り組み方も問われていることも多々確認されています。
対策
大阪大学の数学で高得点を取るためには問題を解く発想はもちろんですが、それよりも複雑な計算を短時間で解ける計算力が必要です。道筋を思いつくことも重要ではありますが、ある程度の計算は短時間で対応できないとその道筋が正しいのかどうか判断に困ってしまうようなこともあるでしょう。そういったことを減らすためにも微積分や三角関数と言った計算力を問われるような分野では過去問や問題集を利用してとにかく計算を正確に早く済ませる対策が必要とされます。そして、この対策を実施するためには基本的な公式や計算を楽にするための数学的な知恵が身に付いているということが前提となってきます。数学はがむしゃらにやっていても解くことが出来るがそれでは限りある時間内で高得点を取ることは難しくなってしまいます。大切なことは基礎的な知識を身に着け、それを基礎のみならず応用して利用できるようになることです。これは計算力の向上に繋がるだけではなく証明問題などの足がかりとなることもあり無くてはならない対策だと言えるでしょう。
数学ではもう1つ大切なことがあり、これらの内容を解答用紙に適切に書き進めることです。概要でも述べたように大阪大学の数学は回答欄などが用意されておらず大きな紙を自分の思い通りに利用することが可能です。その反面、どのようなことからどれぐらい記載すれば点数が取れるのかが分かりにくいということもあるでしょう。この対策としてはまずは問題を解いてみる、そして模範解答と見比べてみるという対策が何よりも重要です。答えが正しいかどうかというのは初期の段階ではそこまで重要視しなくても良いかもしれません。大切なことはアプローチの仕方が正しいか、そして正しいのであれば模範解答ほど丁寧に自分の回答は記載できているかを比較することです。模範解答は非常に丁寧に記載されているため実際の採点でどうなっているかは知る由は無いですが、模範解答が満点の基準だとすると大半の受験生が書く記述には論理の飛躍などが含まれている可能性があります。こういった部分をいち早く見つけ出して自分の記述のクセを直していくことが対策としては重要となっています。
またこれも概要の最後で述べたが図形を利用する問題も出題が多くなっています。問題用紙が比較的大きいため、まずは図形を書いてみてより早く問題が解ける足がかりとなるのであれば解答用紙には正確に転記するといったことも必要です。図形を書く練習も合わせて進めてもらいたいです。
物理
満点 2科目で200点 -450点 試験時間 2科目で150分
問題構成 問題数:大問数3 設問数は年度によって差がある
-大問 1 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 2 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 3 記述を必要とする大問 時間配分目安24分
※詳細な配点は現在公表されていない。目安時間は試験時間を二等分した場合。
■おすすめ回答順:得意分野から順番に着手→見直し
概要
大阪大学の物理は例年大問数3で、理科2科目で試験時間が150分というのも変わっていません。物理に関しては論述などの問題が必須とはなっておらず、ここ数年は論述が必要とされていない大問が大半を占めています。とは言え2009年には論述と描図する問題が出題されたという実績もあるため侮ることも出来ないのが現実です。ただ基本的には空欄補充と小問が連なった問題が中心となっていて、記述式ではあるものの計算結果や語句だけを答える問題が中心となりました。これは論述とは異なり計算過程などを示す問題もなくなってきたということを示しています。
物理は2015年度より新教育課程が採用されていて、出題される範囲に変更が見られました。が、大阪大学で実際に出題されている分野はほとんど固定されていて長年力学と電磁気が大問の2つを占めるような出題形式が取られています。またそれ以外は熱力学であることが多いですが、波動の問題が出題されることもあり特定の単元だけの対策では乗り切れないような内容となっているのが特徴でもあります。単元こそ特徴はありますが、それぞれの単元の中では幅広く出題されていて思考を凝らした面白い問題が多々出題されています。このことが受験生を困惑させているというのもまた皮肉な話ではあるでしょう。
問題はメインとなる単元とそれを取り巻く複数の小問で構成されていて、私立大学でよく見られるような融合問題と呼ばれるものの出題も増えてきています。融合問題は見た目には難問に見えるものが分解してみれば基礎的な内容で解けるようなものもあり、見た目に圧倒されずに解法を導き出す力が必要とされています。
物理であっても計算は大阪大学らしく複雑な計算が出題されることもあり、グラフや図を必要とする問題も出題されたことがあります。また数値計算のみならず記述問題も物理にしては厳しいものが出題されていて、国語的な能力も問われているような印象を受けることもあります。これらを合わせると総合して少し難易度は高いと言われますが、実際設問の数などで大きく左右されてしまうでしょう。
対策
大阪大学でも必要となる知識はまずは教科書レベルのものです。そしてこの知識を最大限に利用して素早く問題を解くためにも数学的な力も必要となるでしょう。特に計算が複雑なものは解法が思いついたとしても、過程を必要としなくなった現在では正答しなければ無意味です。そういったことも考慮して数学的な力は十分に身に着けておくべきです。
試験時間も意外と余裕が無いため、ちょっとした焦りから計算ミスをしてしまっては大きな失点になりかねない。いつでも落ち着いて正答を出せるぐらいの計算力と自信を身に着けておくことが物理であっても重要な対策となっています。
問題の練習としては過去問をひたすらやるのも悪くはないですが、概要でも述べたように融合問題が多くなっています。そのため基礎的な知識が定着しているのかを過去問だけでは判断しにくいのも事実です。そこで高校時代に利用している物理の問題集で幅広い単元が掲載されているものをまずはやりきることが大切です。特段新しい問題集を買う必要は無く、解答を覚えているぐらいのものでも良いでしょう。まずは融合問題に対応できるぐらいの基礎知識が身に付いているかを判断することから対策は始まります。またこれと同時に気づいてもらいたいのが、大阪大学の物理は問題文が長いということです。問題集などと見比べてみるとわかると思いますが問題文が長めに設定されています。直接設問が長いとは限らず注釈などが含まれていることもありますが、とにかく長いものが用意されています。そういった問題のときは何を答えれば良いのかを正確に読み取らなければなりません。ここは市販されている問題集と大きな違いとなるので意識して対策に取り組むことが必要でしょう。問題集で対策するのではなく、過去問で問題中に引っ掛けは無いかなどよく読み進めることを対策に取り入れてもらいたいです。
最後に、上記全てを踏まえた上で時間を意識した対策をしてもらいたいです。試験時間と内容を考慮すると受験生が全ての問題を解くのは非常に難しいです。2013年度など易化の傾向が見られた年度であれば不可能では無いかもしれないですし、選択している理科の組み合わせ次第ではいけるかもしれないですが私の感覚では受験生には相当厳しいものであると考えます。そのため最後まで問題を解くことで時間を知らず知らずのうちに利用しているということがないように、問題を解くときには常に時間を意識して解くのか次へ進むのかを判断する直感的な力も養ってもらいたいです。
化学
満点 2科目で200点 -450点 試験時間 2科目で150分
問題構成 問題数:大問数3 設問数は年度によって差がある
-大問 1 答えのみを記述する大問(問題によれば記述部分も採点される) 時間配分目安18分
-大問 2 答えのみを記述する大問(問題によれば記述部分も採点される) 時間配分目安18分
-大問 3 答えのみを記述する大問(問題によれば記述部分も採点される) 時間配分目安18分
-大問 4 答えのみを記述する大問(問題によれば記述部分も採点される) 時間配分目安18分
※詳細な配点は現在公表されていない。目安時間は試験時間を二等分した場合。
■おすすめ回答順:得意分野から順番に着手→見直し
概要
大阪大学の化学は例年大問数が4で長らく変更はされていません。記述を中心とした問題構成となっていて、選択式の問題はあまり出題されていないのが特徴となっています。問題の内容としては化学反応式を記述するものや実験の手法について論述するという王道的な問題から大阪大学らしく計算力を全面的に問うような問題まで出題されています。この計算力を問うような問題では記述欄の大きさが回答内容と釣り合っていないこともあり、適切に簡潔な数式を書くことも求められているような印象を受けます。
解答欄に関しては長い計算を必要とする大問以外に関しては論述も含めて十分に余裕のある大きさであるといえるでしょう。ただ、解答欄に余裕があるからといってだらだらと書くことを求めているのではなく、計算問題どうように多少は余白が出来たとしても簡潔に必要な部分を記載するということが重要となってきます。
基本的には幅広い分野から問う問題となっていますが、年度によって実験の内容を深く掘り下げたものも出題されていて知識を幅広く問う姿勢が感じられます。新教育課程が適用されたことにより多少は出題内容に変更が生まれたものの根本的な頻出分野としては有機化学が非常に多く出題されるのが特徴です。特に大阪大学の化学は同様の単元が出題されることも多く、過去問で対策した問題が似た問題として出題されることも少なくないでしょう。そのため対策でも述べるが過去問を利用した対策が必須となっています。頻出の単元としては以下のものが出題されています。
無機化学
イオンの分解は反応についての問題が頻出となっています。基本的な問題はもちろんのこと、酸化還元反応に関わる少しマニアックな問題も出題されているような印象を受けることもあります。論述であることも踏まえると知識を持つだけではなく、複数の知識を融合させて回答を作り出す力も合わせて問われているのでしょう。難易度としては少し難しいものが多くなっていて、過去問を含めて傾向をしっかりと掴んでおくことが大切です。
有機化学
構造式の決定問題や異性体の決定問題、化学反応式など基本的な問題が中心となっています。前半でも述べた通りでこれらの問題には実験が絡んでくることが多々あり、多かれ少なかれこの実験に対する問題が出題されていることがあります。過去にはこの実験問題が大問の中心となっていることもありましたが、近年ではそこまで実験だけを問うような問題は出題されていません。ただ、実験を実施するためには化学の幅広い知識が必要になるということを踏まえると実験問題をおろそかにすることは出来ないというのも事実です。基礎知識が十分に身についていれば、大阪大学のようにあまり知られていない実験が出題されても対応可能でしょう。
理論化学
理論化学と呼べる分野は幅広く存在しておりその出題方法も様々です。持っておくべき基礎知識は有機化学などに比べると少なくなることから、大阪大学では発展問題や応用問題と呼ばれるような発想の転換を求める問題が多く出題されています。頻出の問題として中和滴定や電気分解、空気に関するものが出題されていてこれらの対策については後で触れるものとします。
対策
一見すると複雑なように見える問題も、中身を解き進めていくと実は基礎的な知識が中心となっていたということが多いのが大阪大学の化学です。そのため過去問の解説を見てみると、なぜこんなに単純なことを思いつけなかったのかと思うこともあるでしょう。ここは対策の積み重ねで対応できる部分となっていると考えるため練習するしかないですが、この対策の前提には全ての基礎知識が身についているということが挙げられます。いくら大阪大学のように複雑な発想や今までとは異なった発想の転換を必要とされる問題で道筋が見えたとしても基礎知識が無ければそれを正答として記述することが出来なくなってしまいます。そのためまずはどんな教科にも言えることではあるが基礎知識を確実に身につけるようにしてもらいたいです。
基礎知識を身につけるうえで対策してもらいたいポイントはいくつかあるのですがまずは実験についてです。
概要でも述べましたが何かと実験に関する問題が出題されています。また受験生を困惑させるのが実験問題は毎年のように出題されているのにも関わらずその配点が年度によって大きく異なるということです。そのためどの程度実験の対策をすればよいのか困る学生が多いのでしょう。極論を述べると差大阪大学では学生がすでに知っているような実験が問題として出題されることはあまり無いです。つまり、実験の問題をいくら練習しても全く知らないものが出題される可能性が高いということです。そのことを踏まえると実験問題は対策をほどほどにして基礎知識や周辺知識を確実に身につけることが対策としては重要ということになります。受験生が見たこと無いような実験問題ではそれなりに誘導が用意されていることが普通です。この誘導をしっかりと理解して問題を解くためにも基礎知識が何よりも必要となってくるでしょう。
無機化学については概要にも述べたようにイオンに関連する問題が頻出となっています。ただイオンといってもその種類は様々であり今まで出題された分野としては気体の発生に関するものやイオンの沈殿に関するもの、また沈殿物の色や性質に関するものと比較的王道の問題となっています。そういったことを考慮するとまずは過去問を解くこと、そして分からないことがあればその分野を基礎的な問題集で復習することが対策としては必要です。
あまり重要視されない傾向があるのですが無機化学は基礎知識が確実に身についていれば短時間で得点できるチャンスが大きい単元ともなっています。対策こそ過去問と問題集による基礎問題の徹底とはなるのですが軽視はしないでもらいたいです。
有機化学については比較的難問も多くなっているので過去問を利用した演習であっても問題難易度の差を感じることが多々あるでしょう。問題の流れとしては実験などに絡めた問題、基礎知識を問うものからその実験がどのようなものかを説明するような問題が出題されています。こういった問題に対応するためには有機化学の基礎知識である分子式や構造式、基礎的な反応というものを確実に理解するという対策が必要です。有機化学においても計算問題が多数出題されているということもあり計算問題に対する対策も必要です。化学であっても数学と同じぐらいのレベルで計算が求められていることもあり計算力も侮れない対策のポイントとなっています。最近は論述問題が少し少なくなってはいるが30-80字程度にまとめる問題はどこかしらに出題されていることを踏まえると、文章を書くという練習も対策に取り入れるべきです。特に短めの記述では文字数が足りなくなってしまうことも多いので、短くキレイにまとめる対策とそれに必要となる用語の認識も重要となってきます。
生物
満点 2科目で200点 -450点 試験時間 2科目で150分
問題構成 問題数:大問数4 設問数は年度によって差がある
-大問 1 記述を必要とする大問 時間配分目安18分
-大問 2 記述を必要とする大問 時間配分目安18分
-大問 3 記述を必要とする大問 時間配分目安18分
-大問 4 記述を必要とする大問 時間配分目安18分
※詳細な配点は現在公表されていない。目安時間は試験時間を二等分した場合。
■おすすめ回答順:得意分野から順番に着手→見直し
概要
大問数は例年4題であり変更されていません。比較的問題文も長文のものが多くなっていて、加えて論述問題が出題されることによって試験時間は余裕のないものとなっています。実験問題も多く出題されていて、こういった問題のリード文も長めに作られています。内容を把握するためには重要な部分とはなりますが、じっくりと読んでいるだけでは時間が不足してしまうので短時間で内容を把握する力が求められています。出題の傾向としては論述問題や計算問題、そして実験に関する問題と幅広いものが対象となっています。
論述問題は文字数の制限に幅があり、その長さによって難易度が変わってくると言えるでしょう。また加えて論述問題は自分の知識を元に記述するタイプと実験問題と絡めてその結果を考察するタイプのものに分かれています。前者であれば自分の知っていることを記述していけば良いのですが、あろうことか近年では高校ではあまり深く学習しないような内容について問われる問題が出題されています。知識として知っていれば良いですが、こういった問題は実験例が提示されていてその実験例を元に考察してみるとどうなるかということが論述として問われる問題となっています。
また実験問題についてもう少し掘り下げてみると、この問題は実験によって得ることが出来た値を羅列した表や見やすくグラフか図に成形したものを利用することが多いです。模範解答などを読むと分かりやすいのですが、これらの値には問題を解く上で重要となるポイントが作られています。このポイントを読み取ることで論述が正しい方向に進んだり、その他の設問に対応したりすることが可能となっています。数値を表から読み取ることも重要ですが、グラフから読み取ることも求められているため数学的な知識も侮れないのが大阪大学の生物の恐ろしいところでもあります。
頻出の分野としては遺伝が多く出題されています。特にDNAに関する問題が多々出題されていてこれに加えて代表的な分子遺伝子に関する問題が出題されています。これらの問題は毎年出題されている単元ではありますが、最近の技術の変化によって何かしら新しい実験が取り上げられる可能性も残されている単元でもあります。見知らぬ問題が出題されたとしても、焦ること無くリード文などを読み解いて自分の知っている知識で対応できるように問題を簡単にしていくことが重要でしょう。
総じて大阪大学の生物は難化が進んでいます。問題文と記述量がともに増加傾向にあることで時間的な難易度も上がっていて、問題自体の難易度も上がっているため確実に得点できる部分と他人と差を付ける部分を明確に分けて対応することが必要となってきます。
対策
頻出分野があるものの基礎的な知識に関する問題が幅広く出題されることがあり、教科書レベルの知識確認から対策は始めるべきです。また、教科書レベルの知識を網羅しておくということは記述問題に対する知識を蓄えておくことにも繋がります。大阪大学の記述は量が一定では無いため、幅広く理解し単語なども把握しておくことで言い回しによる文字数の調節などにも活かすことが出来るでしょう。逆に論述問題に対応していく中で、決まりきった文章しか書けないのであれば何か特定の解釈に固執している可能性もあります。生物は多角的に物事を理解しておくべき部分で、それらが相互に何かしらの影響を与えていることもあります。全ての単語について理解するのは不可能ですが、ある程度の重要単語は横の繋がりについても理解しておくと良いでしょう。
大阪大学の対策として鍵を握るのは実験問題に対する部分です。まず、実験問題には図表やグラフを利用したものが多々出題されています。こういった問題であれば数値を適切に読み取れなければ一巻の終わりとなってしまいます。そのようなことが内容に過去問を利用して、実験問題ではどのような情報を読み取れれば良いのかの対策をするべきです。読み取るべき内容が理解できれば自ずと答えるべき部分も見えてくるでしょう。
ただ読み取った情報を適切に文章に出来るかどうかは別問題です。特に文字数指定がある場合は、その文字数で正しく書けるかが勝負の鍵を握るわけです。まずは文章を書いてみる→模範解答と見比べる→自分なりに修正する(解答は写さない)という繰り返しが対策としては有用で、この能力は簡単に身につくものではないです。常に自分も書いた文章には問題がある、ぐらいの疑い深い採点で模範解答との差を埋め続けることが重要となるでしょう。過去問での対策を続けていれば、ある程度模範解答として書くべき傾向なども掴めるため短時間で指定の文字数に近づけていく能力が備わるはずです。
国語
満点150点 試験時間 90分
問題構成 問題数:大問数4 設問数:年度によりさがある
-大問 1 現代文 記述式 時間配分目安30分
-大問 2 現代文 記述式 時間配分目安30分
-大問 3 古文 記述式 時間配分目安25分
※詳細な配点は現在公表されていない
■おすすめ回答順:大問2→大問3→大問1→見直し
概要
大阪大学の国語の問題形式は現代文が2題、古文が1題の形式で現代文については評論が2題出題されることが例年の流れとなっています。稀に小説が出題されることもありますが例としてはあまりありません。基本的には文字数制限付きを含む記述が中心とはなっているのですが、年度によっては数問選択式の問題が出題されています。選択式の問題があると難易度が優しいように思えるかもしれないですが、総合的な大阪大学の国語の難易度はやや難しいか難しいと言えるぐらいの非常に高レベルな解答を求めるものとなっています。
設問に関しては、文字数制限が付いている場合の記述量には年度によって大きな差があります。設問あたりの記述量として多いものであれば350文字というものも確認されていますが、この指定文字数は年度によって異なるため対策がしにくいです。これは受験生を苦しめる原因となっているでしょう。過去の経験を元に350文字の記述対策をするのはリスクが大きいのではないかと思います。現代文は通常200文字程度の記述が出題されているため、基準としてはこの数値を利用するのが良いとは考えます。この文字数で傍線部に絡む内容を要約する問題が出題されていて、200文字の記述であれば書きたい内容よりも文字数が少し少ないぐらいになっています。そのためいかに簡潔な文章を作成することが出来のかが現代文の記述の肝と言えるでしょう。
古文については特定の年代などに固執すること無く幅広い分野から出典されていて、教科書などでは取り上げられたことのないような文章が出題されることも多くなっています。設問は口語訳と内容説明が中心となっているため大阪大学独自の問題形式があるというものではないです。年度によっては和歌が出題されますが、この和歌の問題が非常に高難易度となっていることがあります。和歌が出題された場合には特に気をつけて読解出来るかどうかが合否の鍵となるでしょう。
対策
問題文の量としてはそこまで多いとは言えないですが、試験時間を考慮すると相対的に問題文も記述量も多い試験であると言えます。そのため鍵となるのはいかに短時間で必要な情報を集めることが出来るのかという部分になります。基本的には評論となっているため、筆者がどのような意見を持っているのかは掴みやすい文章が多いです。それに加えて設問であれば傍線部で問われていること、その段落での主題、文章全体としての要旨と理解の幅を広げていくような読み方が出来ればしっかりと得点できるようになるはずです。
過去問から取り掛かっても良いですが、時間を測りながら解き進めると恐らく半分程度しか終わらないのではないかと考えます。根本的に短時間で要旨を掴むような読み方には慣れていないと思われるので、対策としてはまず短い文章あっても短時間で要旨を掴む練習が必要です。設問付きの問題集などは文章全体の要旨も掲載されていることがあります。こういった問題集を自分なりに設定した制限時間で要約し、それを模範解答の要旨と見比べることで自分が着目していることは正しい読み取りに基づくものなのかを判断できるようになります。短時間で適切な要旨を書けるようになるまで対策してから、過去問に取り掛かるのでも全く問題は無いでしょう。
過去問に取り掛かるのであれば、試験時間を意識した取り掛かり方が重要です。大阪大学の国語が難しいのは試験時間も考慮したらということです。時間が無限にあればある程度の解答は作れるはずなので、時間を区切って論述に取り掛かる姿勢は対策の中でも貫いてほしい部分です。制限時間内に書くことが出来れば模範解答と見比べてどこが間違っているのかを探し出すことが重要です。もし客観的な判断が出来ないのであれば教員などに添削を依頼するのも良いでしょう。決められた時間でどこまで書くことが出来たか、現状は何点ぐらいなのかを意識しながら対策すればより良い効果を得られるはずです。
古文は和歌を除いて基本的な古典文法が問題を解くにあたり必須の知識となっています。古典単語はもちろんのこと助動詞の使い方や主語が省略された文章の読解など基礎的な知識がまずは身に付いているのかを把握する事から始めなければなりません。この知識についてはセンター試験と重なっているものであることから、特に懸念がなければ過去問を進めていけば良いでしょう。
和歌に関してはそれ専用の対策をしていなければ理解が難しい部分もあり、掛詞や枕詞のような専門知識をまずは身につけることが大切です。大阪大学の和歌は比較的難しいものが出題されていて、しかも設問に大きく関わってくることもあるため文法を含めて教科書や問題集をよく見直しておくことが対策としては必要です。また大阪大学だけではなく、旧帝大の中で和歌が出題されているような問題があれば、それを対策として利用するものも悪くないでしょう。
日本史
満点100点 試験時間 90分
問題構成 問題数:大問数4
-大問 1 記述式 時間配分目安22分
-大問 2 記述式 時間配分目安22分
-大問 3 記述式 時間配分目安22分
-大問 4 記述式 時間配分目安22分
※詳細な配点は現在公表されていない
■おすすめ回答順:取り掛かれるものから→見直し
概要
問題の出題傾向は長年変わっておらず大問数が4題で固定されています。全ての問題が論述形式となっていて、年度によって異なるものの200文字前後の記述で構成されていることが多いです。年度ごとのバランスを保つためかトータルでの記述量は800文字程度になるように調整されています。そのため場合によっては250文字と150文字の記述が出ることもあるなど、傾向よりも長い記述が求められる可能性はあります。基本的には記述文字数に制限があるわけではなく「程度」と記載されているので1割までの増減は認められていると思われます。そのため受験生が実際に書く文字数としては750-900文字になると思っておくと良いでしょう。
傾向としては特定の時代に着目したような出題ではなく、全ての時代から幅広く出題されるものとなっています。大問間でも基本的には異なる時代が選択されるようになってはいるのですが、今までに数回同じ時代から出題されたこともあるため問題を解く前に全体を把握しておくことが重要です。時代に限らず出題の内容も政治的なことから、身分や土地の制度、都市や文化の発展など幅広いものが出題されています。ただ、文化史に関しては大きく出題されることが少なく1-2問程度の出題に留まっています。
難易度としてはそれほど難しいものではなく、教科書に沿った問題とはなっています。しかし、全ての教科書が同一の内容を扱っていないこともあり多少はマニアックな内容が大阪大学らしく出題されていることもあります。また記述問題では複数の都市・時代・文化を比較するようなものも出題されています。こういった比較問題は一見すると難解に見えるのですが基礎的な知識を掛け合わせることで十分に対応可能な問題であるため、焦ったりすることの無いように過去問で慣れておくことが重要でしょう。
対策
特定の時代に偏ることなく全ての時代から出題されていることもあり、教科書を利用して万遍なく学習することが必須となっています。またこれに加えて教科書間でも記述量に差があることから資料集を利用した対策も必須となるでしょう。時代を比較した論述問題などが出題されることもあり、それぞれの時代の変貌など前後関係も抑えておくことが必要です。このような対策は教科書の内容を頭でつなげるのも悪くは無いですが、資料集などにまとめられた図が掲載されていることも多く視覚的に学習できるものを活用したほうが効率が良いと思われます。記述対策という意味ではこの視覚的に確認できる図表を自分で作成してみるというのも対策の仕方としては一つあると考えます。
記述問題は比較に関するものが多いこともあり歴史的な背景や前後関係に着目した学習と、「都市」「時代」「事件」といったお互いに影響を及ぼしたであろうことがらに着目した学習も必要です。通常の日本史の学習であれば時代を追って学習するものであると思いますが、比較や変遷を問われている記述であれば例として「どのような事件が後にどのような事件に繋がったのか」「どのような都市の発展がどのような文化の形成に繋がったのか」ということが問われる可能性があります。問題自体の難易度はそこまで難しくないものの、こういった問題は一問一答の学習だけでは対応できないものです。繰り返しにはなってしまうが流れを意識した学習が対策としては重要となります。
問題の出題内容や出題傾向に大きな差が見られないため基本的には過去問を利用した学習を進めていくことをおすすめしています。基礎的な知識が身についていないのであればまずは教科書から取り組む必要がありますが、大方学習が完了しているのであれば過去問での対策がおすすめです。いくら比較や流れについて記述するといわれても問題を解いてみないと実感が沸かない部分は多いでしょう。そのため過去問を利用してどのようなことが問われどう記述していけばよいのかを掴んでもらうことが対策のスタートです。実際に問題に取り組んでみると短めの記述であっても何を書いたらいいのか分からないことが多々あるはずです。このときはまず記述においてキーワードは何かを考察する対策からはじめなければなりません。問題文を読みって出題者は何を問うているのかを理解し、その理解を元に自分の知識の中から何がキーワードとなるのかを判断しなければなりません。キーワードが見つかれば後は指定文字数で正しく記述する対策を続けていくのみです。実際に自分で書いてみる→模範解答と見比べる・誰かに採点してもらう→問題点を把握して書き直す→見比べるという流れを続けていけば少しずつ記述能力も高まっていくでしょう。この能力は時間をかけて育てるべき能力ではありますが、他の教科と重なる部分もあるため焦らず練習していくことをおすすめしています。
世界史
満点100点 試験時間 90分
問題構成 問題数:大問数3 設問数:50問程度
-大問 1 記述式 時間配分目安27分
-大問 2 記述式 時間配分目安27分
-大問 3 記述式 時間配分目安27分
※詳細な配点は現在公表されていない
■おすすめ回答順:解けるテーマから→見直し
概要
大問数は3題の傾向が続いているのですが、数年前には2題の構成になっていたこともあり今後も2-3題での出題が続く可能性があります。世界史の特徴としては何かと図表を使った問題やグラフを利用した問題が出題されるということです。全てが出題されるというわけではないですが、何かしら史料問題に近いものが出題されるとは心得ておいたほうが良いでしょう。
出題形式は論述式のものが中心ではありますが長文の論述は少なくなる傾向にあり、短めの論述問題が中心となっています。ただ、これらの論述問題には指定された語句を利用しなければならないものもあり自由に記述出来る問題は少なくなっています。難易度はこの論述の量によって差が出てくると考えられ、800文字程度であれば通常、900文字を超えると難と考えるのが無難です。過去問での対策時にもこれは痛感する部分であるため総記述量が多くとも折れない心を持って対応することが重要です。
出題内容は大問ごとにほぼ固定されていて、東洋史・西洋史・これら両方の構成となっていることが多いです。それぞれの地域ごとに以前は特徴がありましたが、ここ数年は年度ごとに異なる地域からの出題が主となっており傾向を意識しながら学習する必要は無くなったと考えます。その結果として幅広く学習することが必須となり受験生の負担が増えてしまったことは言うまでもないでしょう。ただ、東洋史に関しては中国に関する問題が頻出となっているため深く学習するのであればここから学んでいくことが無難かもしれないです。それぞれの地域において出題される時代も幅広いものとなっていて、どの時代から学習すればよいという対策は打てないものとなってきています。時代での対策をすることは難しくなってきていますが、出題される分野としては政治的なものやこれに絡んだ外交に関するものが多くついで経済や国同士のつながりに関わるものです。こういった問題は一問一答の回答ではなく、時代の前後関係やその背景に見え隠れする歴史的な事情を考慮する必要のある問題が出題されていて問題を解き進めると意外な壁にぶつかるようなものも出題されています。
対策
一問あたりの記述量が少し減ったことによって問題自体には取り組みやすくなっています。出題される範囲こそ的は絞りにくいものとはなっていますが、内容としては標準的な問題が多く教科書レベルの知識を身につける・学習の際には資料集を使用することを習慣付けるという対策がシンプルで最も有用なものです。教科書レベルでの学習は単語を単に覚えるだけではなく、大阪大学は記述問題が中心となることも踏まえて前後関係を意識したり背景となる物事は存在していないかを頭で考える・必要に応じてノートにまとめてみるということが対策をする過程で必要となるでしょう。あくまでも知識としては教科書レベルの内容が求められているということで、教科書レベルの単語を把握していれば問題が解けるということではないので注意してもらいたいです。
特に論述問題は問題が雑に作られているとは言わないですが、受験生が何を答えたらいいのか分かりにくく作られていることがあります。比較的こういった問題が多いことから意図的にこういった出題をしていると思われ、過去問にて答えるべき内容を読み取るという対策からする必要があるでしょう。記述すべき内容が理解できればその内容は教科書レベルで対応できるものですが、それを読み違えては点数の無い論述となってしまいます。自分では納得いく回答が作れたとしても模範解答と見比べるときには「間違っている」と疑って掛かることが重要です。なんとなく意味としてあっていればOKというような自己採点をしていては、あいまいな出題がされたときにあいまいな答えしか書けなくなるでしょう。もし、大阪大学の論述問題が難しいのであるならば市販の問題集から取り組んでみると良いです。市販されているものは大阪大学向けの対策本で無い限りは何を意図して出題されているのか理解しやすいものとなっています。こういった分かりやすい問題から、徐々に大阪大学の過去問のように意図をしっかりと読み取らなければいけない問題へとシフトしていくというのも対策としては良い方法ではないかと思います。
地理
満点100点 試験時間 90分
問題構成 問題数:大問数2
-大問 1 記述式 時間配分目安42分
-大問 2 記述式 時間配分目安42分
※詳細な配点は現在公表されていない
■おすすめ回答順:解けるテーマから→見直し
概要
大阪大学の地理は文学部で社会を2科目受験する受験生のみが対象となっていて、そのほかの学部を受験する者は対象となっていないので注意が必要です。
大問は例年2題で構成されていて、それぞれの大問のなかに複数の論述問題が含まれる形となっています。基本的にはほぼ全ての問題が記述式となっていて、それぞれが100~250文字程度と長めのものとなっています。こういった記述・論述が問題の中心とはなっていますが、年度によっては部分的に選択問題が出題されたこともあります。比較的長い論述問題が地理で出題されることも特徴となっていますが、それに加えて図表の読み取り問題やグラフの読み取り問題と論述問題が絡めて出題されるようなケースも多々見られます。つまり、指定された内容を読み解く力と読み解いた内容を規定文字数内で記述する力の両面が問われているような出題と考えることが出来るでしょう。
出題される単元は特定のものに絞られてはいないですが、比較的一つの大問で幅広い内容が問われるようなものが増えてきています。重要な内容が中心とはなっていますが、回答に必要な知識が多岐に渡るためいかに出題者の意図をすくい取ることが出来るのかが重要です。設問の指定文字数は多いようで書き始めると少なく感じるものが多いため、内容を的確に絞って書く力と重要な単語を判別する力が問われていると考えられます。
出題地域は年度によって異なり、大問数が少ないことで年度による偏りが発生しないように考慮されています。前年度に出題された単元が必ず出題されないと言い切ることは出来ないですが、どこの単元から出てもおかしくないのが現状となっています。ただ、多くの場合で日本に関する問題と世界に関する問題の2題構成となっています。
対策
論述問題が中心となっているため他の大学の地理に比べると出題内容に対して難易度は難しいものとなっています。特に大問数が少なく幅広い単元から少しずつ出題される傾向となっているため、特定の単元に絞って記述の対策をするようなことも難しくなっています。そのため受験の基礎的な学習方法とはなるが基礎知識の定着を幅広く偏りの無いように学習することが対策としてはまずは重要です。基礎知識が十分に定着すれば問題の傾向にあわせて文章を記述する練習が必要です。
概要でも述べました通り200-300文字の問題も出題されていますが、しっかりと記述を進めていくとこれでも文字数が足りないぐらいです。しかし、当たり前ではありますが対策をしていなければ内容の薄い長文になりがちで、端的に伝えたいことをまとめる力が問われています。そのため過去問を十分に活用して比較的短い100文字のものから長い記述である300文字のものまで幅広く対策をすることが重要です。特に自分が書いた回答と過去問に掲載されている模範解答にはどのような違いがあるのかを見比べることが大切です。模範解答は非常によく要点をまとめた文章が記載されています。最初からここまでの丁寧さと的確さで文章を書くのは不可能ですが、練習次第では限りなくこれに近いものに近づくでしょう。どのような単語を用いてどのような文章構成を作ればよいのか、模範解答を真似ながら自分なりの文章形態を生み出してもらいたいです。