各科目の学部、学科の科目別勉強方法
英語
満点150点-200点 試験時間 120分
問題構成 問題数:大問数3
-大問 1 長文読解 時間配分目安 40分
-大問 2 長文読解 時間配分目安 40分
-大問 3 英作文 時間配分目安 33分
※詳細な配点は現在公表されていない
■おすすめ回答順:大問2→大問1→大問3
概要
基本的な出題傾向としては例年変わらず長文読解が2題、英作文に関する問題が1題という形式が取られています。2016年より長文読解問題が2題に分割されるような問題形式となったため、今後どのような問題形式になるのかは注意深く確認しておく必要があります。長文読解は基本的には下線部を和訳する問題形式となっています。ただ、年度によってはこれ以外の問題ももちろん出題されていて、内容説明問題や空欄補充問題などのどちからと言えば文法を問うような問題が出題されたことも過去にはあります。内容説明問題では文字数が指定されていることもあり、この文字数が受験生を苦しめるような傾向も感じられることが多いです。文字数制限がある問題は制限文字数にまとめることが難しくなっていて、文字数が指定されていない問題はひたすら記述する必要があるため総合的な記述量としてはかなり多いものとして分類されるのでしょう。また英作文は例年小問が2題となっていますがこちらに関しても決して短くない日本語文が与えられることが特徴です。直訳することは望まれておらず、まずは和文和訳と言われる簡単な日本語にいかに早く変換できるかということに焦点があてられている印象があります。
対策
全体的に長い文章が与えられる傾向があるのが京都大学です。そのため全ての文章について書かれている内容を確実に読み取ろうとしていてはいくら時間があっても足りなくなってしまいます。そこで大切にしてもらいたいのはまずは文章を直訳で理解していくということです。もちろん、設問で問われている部分に関してはしっかりと内容・前後関係などを読み取って意味を深く理解する必要があるのですが、そうでない限りはまずは全ての単語を拾って直訳していく読み方で対策することをおすすめします。直訳では意味が分からない部分もあるとは思いますが、文章全体を読み進めることによって後から直訳でも意味が理解できることも少なくはないです。文法などの意味をしっかりと汲み取りまずは直訳で問題文に取り掛かることを過去問では練習してください。
概要でも述べたましがこれは英作文の問題にも当てはまることです。和文和訳によって簡単な日本語にしたものであれば直訳によって英文が作れる可能性があります(ちなみに問題文のままでは到底直訳で英作文が出来るようなものではありません)。いかに簡単で修飾関係が明確な日本語に書き換えることが出来るかによって英作文の点数は左右されるでしょう。そのためまずは英文にする対策よりも、和文和訳が適切に出来るのかの練習をするべきです。なぜならばここさえ乗り切れば京都大学を受験するような受験生であれば十分に英作文が可能なはずだからです。京都大学を対象とした英作文が問題集で対策するのも良いですが、過去問で和文和訳が記載されているものがあればまずはそこから対策するべきです。和文和訳をした結果と、過去問で解説されている内容を比べ必要以上に残っていないか・削っていないか、あるいは自分が思いつかなかったような言い回しで解説には記載されていないかなどを徹底的に見比べていく日本語ベースでの学習がまずは必須となります。
文系数学
満点150点 試験時間 120分
問題構成 問題数:大問数5
-大問 1 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 2 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 3 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 4 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 5 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
※詳細な配点は現在公表されていない
■おすすめ回答順:取り掛かれるものから→見直し
概要
文系数学としては大問数が多く5問で試験時間も120分となっています。いかにも総合的な力を求めている京都大学らしい出題量だと言えるでしょう。難易度としてはそこまで難しい問題は無かったですが、近年になり少し難化しているような印象を受けます。ただ、全体的に難化しているという訳ではなく一部難問を混ぜることによって受験生を困惑させているような印象となっています。ただ、この難問に適切に対処することが出来れば文系数学に関しては試験時間の制約はあるものの高得点が取れるような出題内容とはなっているでしょう。
出題分野は特に決まっている訳ではないですが王道の出題分野である微積分・三角関数・ベクトルといった問題やこれらに絡めた図形問題、そして整数や数列を利用した問題や証明が出題されています。つまりまんべんなく学習することが必要な大学であることは言うまでもないです。京都大学らしく正確に文章を記述する力は問われています。計算力を重視するような問題を出題する大学もありますが、京都大学では正しい判断で適切な公式などを用いて論理立てて問題に取り組むことが出来ているのかを問う問題が出題されます。
この論理立てた証明のために文章を書く必要がありますが、文章だけで回答しろとはどこにも記載されていません。解答用紙もB5の紙に記載していくだけであるため、場合によっては図形などを用いて回答することがベターなものも出題されています。必ずしも図を書く必要は無いとは思いますが、意図的に図形を利用すれば短時間で回答に繋がるような問題が出題される傾向があります。計算用紙も多めに用意されているため、問題に行き詰った時は図形化してみると解法が見つかる仕組みが隠されているかもしれないです。
対策
幅広い分野から出題されているのは間違いないですが、京都大学の文系数学は複雑な公式などを暗記していることを求めているのではありません。簡単には思いつかないような解法を思いつけるかを問う問題が中心です。そのため問題のレベルとしては「青チャート」といった少し難しいものを利用しても良いですが、基礎知識レベルでは「黄色チャート」をまずは利用するべきでありそれを京都大学の過去問などでどう活用できるのかを把握することが対策としては重要です。どうしても過去問などの難しい問題に対応する、対策する必要があると考えてしまうとは思いますがそうではなく基礎的な知識を身に着けてそれをどう活用したり応用したりできるかが肝となります。
全分野への対策が必要ですが、概要で紹介した頻出分野はまず公式や王道の解法は暗記してしまうと良いでしょう。ここはセンター試験の対策時にある程度はまかなえている部分だろうとは思いますが、記述するにあたり必須となる語句に抜け漏れは無いかといったことを再確認することが大切です。つまり分かっている問題でもまずは記述してみることが大切で、その結果として根本的な理解に及んでいないものがあれば一旦基礎に立ち返ることを対策としては必要ということです。これを怠ると、続く対策となる応用力が必要となる問題を解いても意味がなくなってしまいます。基礎的な知識というのは教科書や参考書でも取り上げられているように数には限りがありますので、応用的な問題となると各大学が様々な問題を出題しているものを利用することにはなってしまうでしょう。対策が不可能だと言うつもりはないですが、限りある時間で無限に応用問題を解くことは不可能であるため自分が対応できなかった応用問題に関してだけ内容を基礎から確認してみるといった対策に留めるべきではあります。
文章の論述についても上記でも少し触れたように、京都大学ではとにかく論述する問題や論証する問題が多くなっています。こういった問題は解法を暗記してそのまま使えるようなものではなく、王道の解き方を頭に入れながらも、出題の意図を汲み取って適切な形に変更する・それを文章として記載していくということが求められています。こういった言い方をしてしまうと問題を数多く説いてパターンを覚えれば良いのでは無いかと考える人も居るかもしれないので注意が必要です。理論的にそうですがそのようなことは現実問題として不可能です。一度解いた問題を全て暗記できるような人間であれば無限に覚えるといいかもしれないですが、大半の受験生はそうではないです。その点を意識して問題を数多く解く対策をするのではなく、問題がどういったことを意識して作られているのか柔軟な発想を持てるように対策することが必要となっています。特に論証問題は回答の道筋が一つとは限らないのが特徴です。幾つかの解法が考えられる中で最適なものを選択できれば試験時間内に正答できるように作られていると言っても過言ではないでしょう。そのため自分の思いついた解法に固執することなく、問題の解説ではどのような解法が用いられているのか、それがもし自分の解法と異なればなぜ回答のようなアプローチが自分のものより優れているのかを比較することを対策に取り入れていくことも必要です。
理系数学
満点200点 試験時間 150分
問題構成 問題数:大問数6
-大問 1 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 2 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 3 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 4 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 5 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 6 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
※詳細な配点は現在公表されていない
■おすすめ回答順:取り掛かれるものから→見直し
概要
高度な計算を問いながらも数多くの問題を出題し受験生を困惑させるのが京都大学の理系数学の特徴です。以前は選択問題が用意されていましたが、ここ数年では選択問題は存在せず全問回答するスタイルとなっています。計算量は非常に多いものも出題されてはいますが、計算用紙が十分に用意されているためどうしても計算しきれないということは無いでしょう。万が一回答中に計算が書ききれない場合は計算用紙に続きを書くことも許されているので、計算用紙も綺麗に成形しながら利用することが大切です。
新教育課程の始まりとともに出題範囲は少し変更とはなったものの、基本的には微積分や三角関数、確率や数列の問題、ベクトルを含む図形問題と王道の単元が出題されています。京都大学と言えば奇問が出るような印象があるかもしれないですが、単元としては基本的なものから出題されていて複雑な計算力を問うものや発想の転換が必要となる問題で難化を図っている印象を受けます。また、京都大学と言えば文章をいかに正確に記述できるのかということが非常に厳しく問われています。国語や英語といった教科だけではなく理系数学においても複雑な証明や計算過程を採点者に正しく理解させるような記述が出来なければ高得点は狙うことが出来ません。数学的な言い回しなど決まりきったものも多く存在しているため、こういった言い回しなどを元に誰が読んでも同じ内容と理解できるような文章を書くことが京都大学では求められています。
こういった複雑な問題は解答を見ると意外と簡単に解かれていますが、実際に受験生として問題に取り組んでみると簡単には思いつかいないような解法が利用されていることが大半でしょう。公式などをがむしゃらに当てはめていくのではなく、当てはめる前段階での発想力を求めている試験と言い換えることも出来きます。数学的な計算などで問題を難化させている部分はもちろんあるのですが、問題を解くにあたり何を答えればいいのか分からないような問題も出題されているため、数学以前の部分で難しい印象を与えるようなこともあります。数学的に物事を考えることも重要ではあるのですが、京都大学の理系数学ではそのような論理立てた発想を捨てて斬新な発想で問題に取り組む・試行錯誤してみるといったことも問われていると心得ておくと良いでしょう。
対策
どんなに発想力やがむしゃらに問題に取り組む姿勢が問われているとは言えども、限られた時間内でそれなりの答えを出すことが出来なければ受験としては意味がありません。そのため、まずは回答できる部分から回答していけるだけの基礎的な知識や公式を暗記しておくというのは必須の対応です。試行錯誤が必要な問題であれば時間もそれだけ必要となるでしょう。公式などを利用して素早く計算できる部分は計算し、可能な限り時間を生み出す練習が必要となります。過去問を利用し対策する場合は特に時間に気をつけて取り組む必要があるであります。純粋に制限時間を6等分した時間で取り組めば良いとは思うのですが、到底終了しないような問題ばかりであるので心構えも必要です。発想が出ていながら正答に及ばないのであれば計算力の問題かもしれません。発想から間違っているのであれば解説などをよく読んで自分がなぜそういった発想が出なかったのかということのみならず、自分はどのような考え方に固執してしまっているのかまで把握することが重要です。
もちろん公式などの学習は必須であると述べましたし、こういったものは考えに対して固執するなという方が無理難題ではあります。問題を解くためには暗記するだけではなくその導出過程など背景にあるものまで理解しておくことも大切なのです。こういった考えは問題を解き進める→解説を読む→自分の過ちに気づくという一連の流れで身につくもので、とにかく問題をたくさん解いて自分の手札を増やすという対策では難しいでしょう。問題を一回解くだけではその場では分かったつもりになっても後々利用できる知識が身につくとは限らないことは皆さんも経験しているとは思います。数多くはこなせなくとも頻出分野の問題を一つ一つ分解して解いたり吸収したりしていくことが大切なのです。
概要で述べたように単元としては幅広く王道のものが利用されています。そのため問題集としては過去問を利用して傾向を掴んでいくことが対策として有用です。最近の過去問は7年程度しか記載されていないことが多いため、教育課程の変化について自分で判別できるのであればさらに昔の過去問を解いたり数学の過去問だけを集めた問題集を利用してみるのも良いでしょう。
どのような問題集であったとしても問題を解き進める上で必要となるのは「時間を意識する」「複雑な計算に対応する計算力を持つ」「図を描いてみる」「採点者が一意に捉える解答を書く」という4点です。計算力は何度か述べていますがどんな問題を解くにしても強化されていることに越したことはありません。計算力がネックとなり京都大学が求めているような発想の転換には成功したものの、記述には失敗したということになっては意味が無いからです。また数値での処理は難しいような問題でも、図形として捉えると実は簡単に答えが導き出せるということも少なくはありません。こういった傾向は平面図形ではなく立体図形・空間図形において顕著に現れるものです。受験生の中には空間図形の問題や空間図形と絡めた三角関数やベクトルの問題を苦手としている者も多いと思います。京都大学は図形化することで新たな発想を生み出す道標を作っていることもありますので、悩むよりも先に図をかけるぐらいには対策しておきたいです。
過去問でも複雑な計算や複雑な図形問題は多々出題されています。公式などで簡単に解くことも覚えつつ計算を簡潔化するということも意識しなければ試験時間内に終わらせることすら出来なくなってしまうでしょう。
物理
満点 2科目で50点-300点 試験時間 2科目で180分
問題構成 問題数:大問数3
-大問 1 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 2 記述を必要とする大問 時間配分目安23分
-大問 3 記述を必要とする大問 時間配分目安24分
※詳細な配点は現在公表されていません。目安時間は試験時間を二等分した場合。
■おすすめ回答順:得意分野から順番に着手→見直し
概要
京都大学の物理は例年大問数が3つとなっていて、大学の傾向も踏襲して長文を絡めた問題が多くなっています。以前は長文への穴埋め問題のようなものも多かったのですが、最近は他の教科との歩調を合わせてきたのか論述式の問題が増え図形を描かせるような問題も増えています。
物理も2015年より新教育課程となり出題範囲が変更となっています。これによって出題内容が変更されるかという意見もあったのですが、概ね出題されている単元は変わらず教育課程の変更によって傾向が変わったということは無いでしょう。基本的な出題内容としては力学と電磁気が毎年出題されていて、それ以外の単元については波動分野や熱力学から出題されています。どれも高校物理の中では非常に重要な単元となっているので頻出とは言うが学習していて当たり前の単元が出題されているということになります。また傾向としても述べたが文章力を問われるものや、数学的な計算力を問われるものも増えてきて、それぞれ受験生を困惑させる原因となっています。やや難解な問題も出題はされているのですが全体的には難易度が年度ごとにばらつかないように調整されて作られていると推測されます。ただ、京都大学らしさと言っていいのかは分からないですが、高校物理の知識を用いて高校物理では習わない事象を説明したりするような問題も出題されています。導入などを上手く追っていけば十分に得点は出来るように作られているものなので、初見で焦らないように注意する必要があります。
対策
近年は論述問題も増えてきたことによってしっかりと文章を書いたり計算をすることが対策として必要となってきました。文章は物理に限らず他の教科で記述する力を蓄えているとは思いますが、大切なことはいったい何を答えたらいいのかということです。いくら良い文章が書けたとしても物理的に的はずれなことでは意味がありません。特に京都大学の問題は物理であってもリード文が長い、空欄補充する対象となる問題文が長いなどの特徴があります。なんとなく読んでいては大切なことを見落としてしまう可能性もあるため、そういったことを起こさないためにも問題文は正確に読み解く練習をしておくと良いです。問題の傾向としては京都大学独自のものでもあるので、過去問を中心として学習することをおすすめします。7年程度の過去問でも問題なく傾向が掴めるとは思いますし、余裕があり高得点を狙いたいのであれば25ヵ年に対応している過去問を利用してみるのも1つの手です。対策としてまず大切なことは長文を読み取ること・計算力を強化して正確に問題を解き進めるということです。
出題されている単元については概要でも述べたように基本的な単元ばかりとなっています。全ての単元が受験で出題されている訳ではないですが、受験生として知っていて当然の単元ばかりであるため基礎的な知識は全て身に付いていることを確認しておくべきです。物理を中心に取り組んでいる時は解けた問題も時間が経てば対応出来ない場合もあるので定期的に確認しましょう。どんなに計算力が高まろうとも、記述力を身につけようとも物理的な知識がなければ何も活かすことが出来ないのは目に見えています。そのため力学や電磁気学といった部分は必ず過去問による対策と参考書を利用した不明点の解決をすることが求められています。
化学
満点 2科目で50点-300点 試験時間 2科目で180分
問題構成 問題数:大問数4
-大問 1 答えのみを記述する大問(問題によれば記述部分も採点される) 時間配分目安17分
-大問 2 答えのみを記述する大問(問題によれば記述部分も採点される) 時間配分目安17分
-大問 3 答えのみを記述する大問(問題によれば記述部分も採点される) 時間配分目安17分
-大問 4 答えのみを記述する大問(問題によれば記述部分も採点される) 時間配分目安18分
※詳細な配点は現在公表されていない
■おすすめ回答順:得意分野から順番に着手→見直し。目安時間は試験時間を二等分した場合。
概要
京都大学の化学は大問数こそ4題で定着していますが、大問の中にさらに大問に近いものが用意されていることもあります。そのため実質的にはさらに多い「中問題」のようなものを6-8題解いているような気分になります。そのため多岐にわたる単元と、非常に多い問題数がネックとなり試験時間がこれだけあっても全ての問題に取り掛かることは無理でもおかしくはないです。
問題の形式は空欄補充が中心となっていましたが、最近は複雑な問題が増えてきており計算を強く求めるものや記述や図形の描写を求めるものも増えてきています。また論述問題も毎年出題されるようになっており一昔前の化学よりかは難化しているような印象を受けます。論述問題は年度により文字数の指定がされていることもあるのですが、文字数は妥当なものとなっていますので特段そこが受験生を苦しめるような印象は受けません。計算を求めるような問題は計算過程が評価されないことから、途中での挫折は無駄となってしまい受験生にプレッシャーを与えるような位置づけとなっています。問題用紙が比較的空白の多いものですので、計算をする時やアイデアを書き留めるには十分な広さが用意されています。
出題されている内容は概ねパターン化されていて「論理化学が中心」「有機化学」「脂肪族や芳香族の構造決定」「高分子化合物」といった内容となっています。それぞれの単元について簡単に説明しますと
論理化学
酸と塩基の反応・酸化還元反応が比較的よく出題されています。また、計算力が問われやすい化学平衡の問題も出題されることが増えています。ただ、論理化学は幅広いテーマが利用されていますので、どれか1つに絞ったような出題がされることはありません。
無機化学
無機化学は出題されるものの概要でも紹介しましたように、単独で単元として利用されることはありません。他の単元と紐付けられて利用されるためここでは割愛します。
有機化学
問題の半分程度を占める化学の重要分野です。炭化水素に関するものなど有機化合物に関する問題が頻出となっています。実験や資料から構造推定するような問題が多く出題されていますので過去問での対策が必須です。またこれとは別に高分子化合物がほぼ毎年出題されています。高分子化合物と言えば天然・合成といったあたりで難度が変化してくる部分でもありますので幅広く知識を持っておくことが必要となります。
対策
まずは過去問を見てどのようなレベルが問われているのかを把握することが重要です。比較的出題されている問題の傾向が掴みやすい教科ですので、何が問われているのかを理解すれば自ずと何を学んでおけば良いのかが見えるようなものとなっています。ただ、過去問のレベルが高いからといって基礎を疎かにしては意味がありません。一見すると難解な問題も大半は基礎的な知識の融合で解けるように作られているのが京都大学の化学です。そのため教科書・教科書レベルの問題集で基礎的な部分は完璧な状態にしてから過去問を実際に解いてみるという対策が有用です。
過去問を解く際に注意しておきたいのは基本的には数値計算などは最後の答えだけが評価されるということです。そのため計算力を意識した問題の解き方をしなければなりません。ダラダラと計算をしていれば確かに答えは出るかもしれないですが試験時間は有限です。そのことを意識した対策をしなければ問題は解けるものの時間は不足するという最悪のパターンに突入してしまいます。問題が解けると時間がかかっても解いてしまいたくなるのが人間で、その結果として他の問題に手が回らないということも考えられます。常に時間を意識し決めた時間ならばどこまで解けるのか、そして全部解くにはどれぐらいの時間が必要なのかを確認しましょう。時間が掛かりすぎるのであればそれに応じた対策が必要となります。また単元別の対策としては以下のようなものがあります。
論理化学
比較的難しいように見える問題が多いですが、実際は論理化学が一番教科書レベルの知識で得点できる分野となっています。焦ってしまうとドツボにハマってしまうこともありますので、落ち着いて問題文を読み進めることが大切です。論理化学については教科書レベルの問題集をしっかりと解いていればそこまで大失敗するようなことは考えられません。日々利用している問題集が完璧となっていれば過度に心配する必要は無いでしょう。
無機化学
無機化学は単独では出題されないものの学習しないというわけにもいきません。基本的には無機化学はそれぞれの属性や性質について問われることが多いです。これらの知識は高校の授業で習うなかでも特に強調されていることで、その重要性を肌で感じている受験生も多いと思います。族ごとの性質と代表的な元素を把握し、それらに関する問題を解けば過去問でも対応できるはずです。とはいえ無機化学だけを過去問から抜き出して解くのも時間の無駄ですので他の単元と合わせて学習すると良いです。
有機化学
中心となる単元は決まっていますが、有機化学は最初から最後までの学習が一連の繋がりを持っているものです。そのため受験に出るような難解な部分だけを勉強することは不可能でしょう。まずは有機化学の基礎をしっかりと学習していくことが当たり前ですが対策では重要です。そのため有機化学に苦手意識がある場合は、まず過去問をそこまで力を入れて解く必要も無いかもしれません。自分が解ける部分までを解いてみて、自分に足りないものがわかればそこに立ち返って対策をしなければなりません。基礎が小さいものの上に大きな発展力は乗らないことは容易に想像できることでもあります。
炭化水素がよく出題されていますので代表的な構造や代表的な反応については暗記してしまうと良いです。むしろ官能基など暗記していなければ得点できないものも多々あるので基礎知識として全て把握しておくと良いでしょう。また問題を解くときに自分で式を書くことによって知識の定着が深まるとも言われています。これは構造推定のときにとりあえず書いてみる力にも繋がるため是非取り入れてもらいたい対策です。
高分子化合物については苦手意識がある受験生も居るでしょう。確かに覚えることも多く特徴もそれぞれバラバラですのでキリが無いように思うかもしれません。気持ちは分からないでも無いのですが、受験である以上覚えるしかないというのも事実です。覚えやすいものから覚える、その知識が他の高分子化合物の理解への手助けとなるということもありますので根気よく頑張ってもらいたいです。
生物
満点 2科目で50点-300点 試験時間 2科目で180分
問題構成 問題数:大問数4
-大問 1 記述を必要とする大問 時間配分目安18分
-大問 2 記述を必要とする大問 時間配分目安18分
-大問 3 記述を必要とする大問 時間配分目安18分
-大問 4 記述を必要とする大問 時間配分目安19分
※詳細な配点は現在公表されていない。目安時間は試験時間を二等分した場合。
■おすすめ回答順:得意分野から順番に着手→見直し
概要
大問数は4題で固定されていますが、大問の中に複数の単元が含まれていることが多いので実質的には大問が8題用意されているような構成となっています。問題の構成としては空所を補充するような問題、計算力が問われる問題、論述を必要とする問題と京都大学の問題として幅広い形式での出題となっています。また論述問題の量が多目になっているので、総じて記述する文字数は多くスムーズに解き進めたとしても制限時間に余裕があるとは言えない量となっています。
生物の出題内容は生物的な知識を持っていれば答えられる暗記で対応出来るようなものと、京都大学らしく発想の転換や考察が必要となる問題となっています。後者に関しては総合的な問題が出題されていますし、グラフや実験を利用した問題も出題されています。またこれに関連して描図問題も出題されたことがあるので知識として持っておいても良いでしょう。
出題の範囲としては非常に幅広く出題されていることが特徴となっています。ただそれは長い期間で見た場合で、毎回の出題としてみると頻出単元は「遺伝」「体内環境・細胞」「動物」「生殖・生体・進化」といったものが出題されています。単元を絞るような学習はおすすめしないですが、全体の学習が終わった後に特に重点して対策しておきたい部分があるのであれば頻出分野から対応するべきでしょう。
対策
頻出分野があるとは言えども、総合的には幅広い単元から出題されているため教科書レベルの知識を全単元について身につけることがから対策が必要です。頻出分野に絡めて他の分野が出題されることもあるため、複数の単元を横断的に学習しておくのは悪くない手法です。基礎的な知識が全て身に付いているということを前提とすると対策していくべき部分は以下の通り頻出分野です。
遺伝
遺伝に関する問題は非常に多く出題されていて、特徴としては簡単な問題から応用・難問と呼ばれるものまで段階を付けて幅広く出題されることが特徴です。基本的には遺伝の法則に関することが問われているのですが、出題形式の違いによりその本質が見え隠れしてしまうのが京都大学の遺伝に関する問題のいやらしい点です。遺伝情報や遺伝に関する問題は大問の中でも大半を占めることもあるため過去問と問題集を利用して確実に理解することが大切です。過去問で間違えた問題は問題集を解いたり、過去問の中でも類似の問題が無いかを確認して対策しておくことが望ましいでしょう。
体内環境
遺伝に次ぐ出題頻度を誇っているのが体内環境や動物の反応に関するものです。特徴として数年に一度同様の単元が出現しているということです。今までは免疫に関するもの、筋収縮に関するもの、血糖調節に関するものが数年の期間を開けて出題されています。毎年出題されている訳ではないですが、過去問で対策した内容は自分が受験する年度にも出題される可能性はあり対策が必須です。
生殖・生体・進化
遺伝子の問題などを絡める形で出題されることが多いです。実験問題が出題しやすい単元ということもあり、ここ数年では実験と考察がセットになった問題の題材として利用されたこともあります。
どこの単元で出題されるかは固定されていないですが、実験の考察に関しては論述の対策が必須です。実験の結果を把握しそれを自分の持つ生物的な知識と融合させることによって正答を導き出すようなものも出題されています。こういった問題の対策として実験に関する問題を解くということが考えられますが、根本的に資料を読み解く力をまずは身につけることが大切です。
実験結果を正しく把握するためには、実験で得たデータを正しく読み取らなければなりません。この能力はもはや生物的なものではなく数学的な能力に近いものとなっています。データを羅列した表を読み取ることはもちろんのことが、グラフや図であっても必要な情報だけを読み取れるように対策することが非常に重要です。このような能力が身につけばやっと考察を文章に落とし込むことが出来るでしょう。文章に書くときは文字数を意識して書くことが大切ですがまずは文字数を無視して記述してみても良いでしょう。はじめは自分の思う回答が何文字程度になるのか推測しにくいものです。何回か経験を詰むことである程度の目測が立つようになるため、この段階から指定文字数に一発で合わせれるような練習に切り替えると効率の良い対策が出来るはずです。
国語
満点150点 試験時間 90分
問題構成 問題数:大問数3 設問数:年度によりさがある
-大問 1 現代文 記述式 時間配分目安28分
-大問 2 現代文 記述式 時間配分目安28分
-大問 3 古文 記述式 時間配分目安25分
※詳細な配点は現在公表されていない。
■おすすめ回答順:大問2→大問3→大問1→見直し
概要
京都大学の国語は長らく出題傾向が変わっておらず、現代文が2題と古文の構成となっています。古文の中に漢文が含まれるようなこともほとんどなく、漢文としても独立問題が出題されません。設問は全ての問題が記述式であり回答欄の大きさを見て必要な文字数を判断するタイプのものとなっています。ただ、回答欄は空欄という訳ではなく罫線が引かれているため罫線の数である程度の必要文字数は判断できると言われています。過去問の回答などから判断するに1行あたり長くても25文字程度を基本として考えると良いでしょう。
設問の出題難易度は特筆して難しいという訳ではないですが、問題文が受験生には難解な内容や馴染みの薄い内容が出題されていることが多く結果としてやや難と言わざるをえないでしょう。ただ、問題文をしっかりと読み解くことが出来ればあとは文章表現の勝負となってくる印象です。逆に言えば京都大学を受けるようなレベルの受験生であれば問題文を読み解くだけではなく、それをいかに指定された文字数で記述することが出来るかや要約することが出来るかが問われるものとなっています。
現代文は固定されたジャンルから出題されている訳ではなく、随筆と評論が一題ずつ出題されている年度もあれば随筆が2題出されている年度や評論が2題出されているような年度もあります。小説が出題されることは比較的少なく小説が2題されたことは今まで確認されていません。京都大学の国語と言えば難しそうな印象を受けるとは思いますが、受験生に馴染みの薄い分野が取り上げられることで難易度が上がっていることもあり本文の量としては一般的なものとなっています。これと同時に設問に関しても傍線部の内容を理解しているか記述させるものが中心となっていて、特段京都大学だからと奇問が出るようなことは想定しなくて良いでしょう。奇問とは言わなくとも、設問に関しては比喩表現など直接文章には書かれていない内容を文章から読み取れるかどうかといった問題出題されています。とある問題集ではこれを「文章を客観的に捉える必要がある」という趣旨で説明されていて全くもってこのとおりでしょう。本文に書かれている直接的な内容を読み取ることはもちろんですが、そこから主観だけではなく客観的に読み取る力までが京都大学では必要とされています。小説については数多くは出題されていないですが、登場人物の会話から客観的に事実を読み取るという意味では根本的に問われている力はそこまで変わらないと思ってよいでしょう。
古文では数年続けて和歌が出題されることも多く、傾向的にみると少し和歌を含むものの方が多いです。このことが逆に出題する古典文章の出典をある程度は制限しており中古文と言われる平安朝を中心とした文章が多くなっています。和歌が含まれているだけで、それが問題の中心となるかは年度によって異なるものではあるため基本的には本文を中心とした読解が問われています。とは言えども本文自体も時代的な背景もありそこまで難解なものではなく一般的な古典常識があれば十分に対応できるレベルのものが中心となっています。設問内容も口語訳と内容説明が中心となっているため古典が得意な受験生であれば、和歌以外の問題であれば「単語」と「助動詞」に注意して口語訳する、前後との関係を意識するということを進めていけば満点に近い回答が作れるレベルだと考えます。
対策
正直京都大学の現代文については設問を除いて一般的な問題となっていて、過去問と同程度の長さの現代文問題集を活用した対策以外はそこまで必要が無いと考えます。ただ、この過去問や問題集への取り組み方が重要です。これら問題集で対策すべきことは京都大学が求めている語彙力や表現力、あるいは文章を構成する力というのを発揮出来るようにするということです。なんとなく回答に近い文章を頭では思い浮かべますが、いざ記述してみるとぎこちない文章に仕上がってしまうようなことは往々にして受験生が経験することです。これは文章を構成する力は備わってきていても、それを表現する力が追いついていないということを表しています。入試では思いつくだけでは点数にはならず、採点者に伝わるように表現しなければなりません。そして、この表現時にはキーワードが必要です。問題の出題意図を理解することで、この問題は「何を」答えてほしいのかということを理解しなければ文章を構成する時点で点数の無いものとなってしまいます。本文を繋ぎ合わせて回答が出来上がるほど京都大学の国語は簡単では無いことは受験生諸君も承知でしょう。しかし、文章を繋ぎ合わせて点数は無くとも文章の「キーワード」を利用しないというのも点数が無くなるためまずは対策として何が必要なのかを見つける練習が必要です。もし見つけ出したキーワードが正しいものであれば規定文字数にまとめる、あるいは伸ばす力が必要です。キーワードが正しくないのであれば問題の読み取り方が間違っていたのか、あるいは文章の解釈を間違っていたのか、はたまたその両方なのかを自分で問い詰めて模範解答を元に理解を深めることが対策として重要です。
古文は基本的な問題は多いためセンター試験同様に「古典単語」「文法」「和歌」といった基礎知識を身につけることから始めることが大切です。ただ、センター試験を乗り切ってきた受験生であればわざわざここから復習していては時間の無駄となるため過去問を解く中で抜け落ちた内容に気づいた時には文法書を参照するなどの対策で十分でしょう。必要な対策は基礎知識を身につけるものよりも、口語訳や内容説明を正確に記述する練習です。特に口語訳は一度で正しく書くことは難しく、何かしらの間違いを模範解答などで理解して助動詞一つ一つまで確実に口語訳出来ることを繰り返すことになります。また、どうしても文法や単語を繋ぎ合わせたような文章になりやすくこなれた日本語にするのも慣れが必要です。しかし、自分ではこのこなれた文章かどうかを判断するのもこれまた難しいことです。そのため、自分が納得行くまで修正した口語訳を担当教員に見てもらうなど客観的な評価を受けることをおすすめします。また、この口語訳を作るときには参考書や古典単語帳なども参照しても良いと私は考えます。大切なことは自分なりに完璧に問題を作ってみて、それが正しい方向に進んでいるのか根本的に間違っている(よくあるのが自分なりの解釈を勝手に混ぜ込んでしまう)のかを判断する必要があります。
日本史
満点100点 試験時間 90分
問題構成 問題数:大問数4 設問数:年度により異なる
-大問 1 記述式 時間配分目安22分
-大問 2 記述式 時間配分目安22分
-大問 3 記述式 時間配分目安23分
-大問 3 記述式 時間配分目安23分
※詳細な配点は現在公表されていない
■おすすめ回答順:取り掛かれるものから→見直し
概要
問題の構成は例年変わらず大問数が4つで単語などを記述する問題と、論述に関する問題が出題されています。記述問題に関しては年度により多少の差はあるものの語句や短文での回答を求めるものがほとんどです。
大問1が史料や写真に関する問題となっています。史料の問題に関しては少々曲者で、教科書ベースの学習が基本となっている中で学校ごとに採用が違う資料集からの選択が多くなっています。時折資料集でも取り上げられていないような問題が出題されることもありますが、これに関しては設問にて回答の道しるべが示されているため逆に身構える必要はなくなっています。
大問2は短い文章が並んでいる問題となっています。文中に幾つかの空欄が設けられていて、この空欄に対して指示された内容を記述して文章を完成させるといった内容となっています。記述の内容は設問によってバラバラですが、日本史の基本的な知識が身に付いているか・身に付いたものを適切に記述できるのかといったことが問われていると考えられます。
大問3は大問2よりも長い文章への空欄補充や文章全体を利用した設問が用意されています。どの問題も記述式ではあますが、年度によってはここに比較的長い論述式のものが採用さていることもあり時間配分には注意が必要な部分となっています。
大問4は例年変わらず200字の論述が2題出題されています。過去に一度語句を指定して記述させるような問題が出題されたものの、それ以降は語句の指定はされていません。時代や時代背景について論述させるような問題が出題され、単語の丸暗記ではなくその前後関係や関係者を含めた説明をさせるような問題となっています。また別の傾向の論述であるときは時代の流れが説明されていて、どのようにその時代・文化・人などが変化していたのかを論述させるようなものも出題されています。
対策
どこの大学の日本史にも言えることではありますが、京都大学も例外ではなく教科書の内容を隅々まで理解していることが大前提となっています。概要では資料集からの出題も多いとは述べたものの、ここに焦点をあてるのではなくまずは教科書の学習が何より大切です。この学習のなかでも気をつけてもらいたいことは、京都大学の日本史は全て記述式であるということです。語句を正しく記載できることはもちろんのこと、論述問題では物事の前後関係も含めて記述することが求められています。このような問題はただ単に語句を覚えるような学習では到底太刀打ち出来ないものです。日本史の記述に関する問題集は少ないかもしれないですが、しっかりと自分の言葉で書く部分と歴史的な用語を利用する部分を分けて文章を組み立てる能力を養ってくことが記述問題・論述問題では必要です。また、適切な文章が浮かばなかった場合は初心に返って教科書に記載されている文章を引用して書いてみるというのも良いでしょう。教科書の文章は無駄なく適切に記載されたものばかりとなっているため、引用した文章を元に設問で問われている内容を完成させる・身につけるという学習も良いと考えます。
世界史
満点100点 試験時間 90分
問題構成 問題数:大問数4
-大問 1 記述式 時間配分目安22分
-大問 2 記述式 時間配分目安22分
-大問 3 記述式 時間配分目安22分
-大問 4 記述式 時間配分目安22分
※詳細な配点は現在公表されていない
■おすすめ回答順:解けるテーマから→見直し
概要
世界史は大問数こそ4題で固定されていますが、大問の中でジャンルの異なった内容が問われているため実質的には少し小さな大問が7題程度出題されているという印象を受けるでしょう。この7題という数字からも分かるように、異なる分野について考える必要があるため設問の数自体も多いもののさらに時間が足りないような印象を受けてしまうはずです。実際、受験生の中には最後まで解けなかったという者も多く、いかに見切りを付けて自分が解ける問題に取り掛かることが出来るかどうかが勝負の鍵を握っています。
設問は記述式のものと論述式のものが混在していて、例年決まったパターンで問題が構成されている訳ではないので注意が必要となっています。論述問題以外の記述は空欄補充や用語を答えるものですが、このような問題が含まれていても試験時間は足りないものと思って取り掛からなければなりません。
ただ、問題数こそ多く作られているものの内容としては教科書の内容が完璧であれば高得点が取れるようなものとなっています。試験時間に対する焦り、緊張から落ち着いて問題を解くことが出来なければそこから少しずつ失点しその結果として大きな失点となってしまうような傾向があるのが京都大学の世界史です。逆に適切な語句を使用して論述などを組み立てることが出来れば満点は難しいとしても論述面では高得点が期待できるものとなっています。時折難問に分類されるような問題が出題されていますが、このような問題は得点出来なくともほぼ合否には関係が無いため総合的な難易度としては標準的であり高得点を取ることを目指したいものとなっています。
対策
基本的な対策としては教科書の学習が必要です。概要でも述べたようにほとんどの問題は高校の教科書レベルの知識で解けるものが出題されていて、ごく一部で合否には影響しないような難問が出題されているからです。だた、教科書間でも多少は内容に差があるため、資料集などを利用した対策をすることが望まれるでしょう。どこか一社の教科書だけが採用している単元や事象であったとしても、それは教科書から出題されていると言い張るようなところが京都大学です。
資料集や用語集として有名なものと言えば「諸説世界史研究(山川出版社)」や「世界史用語集(山川出版社)」が挙げられます。世界史の学習に関しては周りと差を付けるのではなく、王道の教科書や資料集を利用して学習することが問題集などを解くよりも先行して対策するべきことです。史料問題への対策も必要ですが地図や人物画像といった問題よりも先に、京都大学のように記述や論述が中心となる大学であれば単語集でそれぞれの単語をしっかりと覚えるということが対策になるでしょう。背景や前後関係といった繋がりまで理解できれていれば京都大学が求めるような論述問題であっても対応しやすいと考えられています。
ここで得点のカギを握る論述問題についても対策を考えます。前提となる知識は教科書・資料集・単語集などで身に付いているとすると必要とされる力は残すところ指定された文字数でしっかりとまとめる、伝えるということに限られてきます。文字数制限に幅があるためそれぞれの問題に応じた対策が必要ではありますが、まずは文字数を意識せずに書けるかどうかを知る必要があります。ここで所定の文字数まで書き進めることが出来れば良いが、そうでなければ何かキーワードになるものが抜け落ちていると考えられる(論述問題はいくつかのキーワードが設定されおり、これらを端的に繋げると所定の文字数程度に纏まるように意識されています)。所定の文字数に届かないようであれば、問題文をもう一度読み何が問われているのかをもう一度よく考えることから初めてみるのがよいでしょう。本番では時間という制限があるが対策をしている時はそこをあまり意識せず問題文から何が読み取れるのかを判断するようにすべきです。ただ、無限に時間を使うのではなくある程度は割り切って解答を参照し自分が書き進めたものとどう違うのかを徹底的に比較すると良いでしょう。可能であればこの部分は他人からの評価や指摘を受けると、自分では気づきにくい部分が明らかとなりより良い文章作成に繋がると思われます。
基本的には京都大学の過去問で論述の対策をすると良いですが、世界史に関しては大阪大学や一橋大学でも似た問題が出題されています。世界史だけの問題集があれば、こういったものも活用して論述対策してみるのも効果的でしょう。
地理
満点100点 試験時間 90分
問題構成 問題数:大問数4
-大問 1 記述式 時間配分目安22分
-大問 2 記述式 時間配分目安21分
-大問 3 記述式 時間配分目安21分
-大問 4 記述式 時間配分目安21分
※詳細な配点は現在公表されていない
■おすすめ回答順:解ける分野から→見直し
概要
大問数は4つで固定されていて、内容は選択問題から記述・短めの論述といった構成となっています。200文字を超えるような論述が出題されることは近年無くなり、80文字までの論述が多く12問以上出題されているのが地理の特徴となっています。ただ、近年の傾向として文字数の指定が無く空欄の大きさからどの程度の文字数が要求されているのかを判断するものが増えてきており逆に受験生を困惑させているような印象を受けます。
出題されている内容としては一般的な地理の試験と言えるようなものになっています。地図やグラフ、統計といった情報を読み取る問題はもちろんのこと文章が中心となる問題も用意されています。ただ、グラフや統計といった問題は比較的優しい問題となっており難解なグラフから何かを導き出すといった問題は無いと思ってもらって大丈夫でしょう。しかし、これらの情報から読み取った内容をもとに後続の問題を解く必要があるため前半で間違えると後半を連続して失点する可能性があります。基礎的な問題には違いないですが、簡単だからといって侮ったり早とちりすると取り返しのつかないことになるでしょう。これは過去問を解くことで問題の構成が把握できるはずであるから詳細は割愛します。
ここ数年では傾向が変わってきており難易度もそれに伴って少し難化しているような印象を受けます。単語レベルの問題であれば教科書や資料集で扱われているものが中心となっているのですが論述問題は傾向の変更から対策がしにくく難化と判断しています。文字数指定の問題が少なくなった反面、文字数を指定している問題ではその文字数で書き切るには相当地理的なことを学んでいないと難しいような問題ばかりです。最近の出題傾向として現代、日常をテーマとした内容が多く出題されています。テレビやニュースを見て意図的に情報を持つことを求めているのでは無いと思いますが、時事的な問題とそれの背景に地理的な要素がどう絡んでいるのかといった論述問題が出題されていることもあります。
対策
重要な単語や地名、物事などが教科書レベルで出題されていることが多くあります。こういったものは記述や選択式の問題として出題されているため失点すると他者と大きな差が付く可能性も含んでいます。そのためまずは教科書・資料集(地図などの知識も含む)を利用して幅広く対策する必要があるでしょう。最近は時事問題に近いようなものが出題される傾向がありますが、基本としては全分野からまんべんなく出題されているため特定の分野に偏った対策をするのではなく幅広い対策をすることが求められています。
資料や地図を利用した問題が出題され、それらの回答を元に後続の問題へ繋げるような出題形式があることは概要でも述べた通りです。そのため対策として資料、統計を確実に読み取る力と地図から必要な情報を正確に抜き出す力が必要です。数年に一度ではありますが緯度や経度を用いた出題もされているため、地図帳と言えども対策を怠るようなことは許されないでしょう。ただ、際限なく地図帳を読み解くことを求めている訳ではなく、過去問題で出題された内容や資料集で一部抜粋されて記載されている地図をその周辺まで確認するといった対策から始めると良いと考えます。統計を利用した問題に関しては比較的難しいものが多いため、数値の計算なども怠ること無く地理の問題であっても必要ならば必要な値を計算するということにも慣れておく方が良いでしょう。京都大学の資料問題や地図問題としてよく言われていることが比較する問題が多いということです。指定された2都市の差を答えさせるような問題や1都市の変遷を答えさせるようなものも出題されています。このような問題には、「どのような視点で比較するのか」という観点が見についていなければ太刀打ちすることが出来ないです。特に論述問題であることを踏まえると、論点がずれた回答は部分点すらもらえない可能性もあるため「観点」を過去問で身につける対策が必要です。この部分に関しては人口の変化や都市の変遷が比較的出題されることが多いため、教科書だけではなく資料集の統計資料などには注意して目を通しておくと良いでしょう。
また、確実に得点するためには論述を正しく書くということが非常に重要です。論述への対策は基本的に
実際に書いてみる→回答と見比べる→足りない部分や不必要な部分を見つけ出す→自分なりの正答を作ってみる
という対策が必須です。過去問などを利用すればなぜそのような内容が必要となるのか解説も載っているため「観点」が自分の認識と一致しているのかを確認し、そもそも観点がズレているのであればその原因を考えてみると良いでしょう。また自分で判断できないような論述であれば、第三者に評価してもらうこともしてもらいたいです。