各科目の学部、学科の科目別勉強方法
英語
満点120 点 試験時間 120 分 (ただし開始45 分後から 30分のリスニング試験が実施される )
問題構成 問題数:大問数 5
-大問 1 長文読解 時間配分目安 18分
-大問 2 自由英作文 時間配分目安 21分
-大問 3 リスニング 時間配分目安 30分
-大問 4 文法・下線部和訳 時間配分目安 17分
-大問 5 長文読解 総合問題 時間配分目安 22分
※詳細な配点は現在公表されていない
■おすすめ回答順:大問2 →大問1→ 大問3 →大問4→ 大問5
概要
試験の問題、試験時間、実施時間帯や配点など全てが文科でも理科でも共通となっており異なった対策を講じる必要はありません。試験の特徴としては最初や最後ではなく、中途にリスニングが含まれていることです。逆に考えるとこのリスニングが時間の区切りともいえますので時間配分が適切でなかった場合でも、ある程度キリを付けられるタイミングが設けられていることになります。
試験問題は例年5つの大問から構成されていて、その内容については上記に記述したようなもので概ね変更はありません。そのため重要なこととしては過去問をしっかりとやりこみ、傾向を対策することが大切です。ただ、近年では設問の難易度が高くなってきていることや文章量が多くなってきていることもありますので、過去問での対策が必ずしも十分であるとはいえない状況にはなってきています。設問量が増えてきたことによって最後まで回答できない受験生が増えてきていることもあるので、今まで以上に正確に早く問題を解く力が試されているのが英語だといっても過言ではないでしょう。「捨て問題を予め用意しておいてその他の問題を確実に得点する」といった方法も受験の攻略としては有用ですが、東京大学の問題は年度により唐突な難化や易化を含んでいることもあります。そのため出題傾向が変更されてしまうと必ずしも予定していた問題が捨て問題としてふさわしいかは判断が出来ません。結局問題に目を通してみないと分からないのが現状でもあるのです。
総じて難化している印象は否めないので、英語が苦手な受験生は特に対策を強化する必要があるでしょう。
対策
長文問題に付随して出題される文章の要約問題では設問の意図が難しく、記述はするものの設問とはまったく異なった意図の内容を記述してしまう学生も多いです。また、問題の難易度も単純に本文を読み取って和訳するだけでは部分点すらも獲得できるかどうかのレベルまで上昇しています。そのためまずは、部分的に要旨をまとめる練習、そしてそれが出来れば文章全体を通じて要旨を纏める練習に進んでいくと良いでしょう。短い文章の要旨を纏める練習には「英文解釈要約精講」がおすすめです。東京大学の入試問題は今まで 40-120文字程度の要約問題が出題されていますので、参考書の設問に関わらず自分で設定した文字数で要約を記載することが出来るかどうかなどの対策を実施してみることもおすすめです。また、「大学入試 英語長文 ハイパートレーニング レベル3 難関編」といったものも活用することで通常の長文問題への対策も並行して行うとより効果的です。こちらも文章全体の要約が出来るかどうか自分で確認してみるようにしましょう。
自由英作文に関しては特徴があり、写真や絵のようなものについて説明したり表現したりするような作文を求められることが多いです。つまり単純に日本語を英語にするのではなく、そのもととなる日本語文を生み出す背景知識や想像力が必要となります。日本語が提示されれば英語として記述できるものの、その日本語が思い浮かばないことで英語にすることが出来ないという学生が多いです。そのため対策可能な問題集こそ多くはないものの「大学入試 英作文 ハイパートレーニング 自由英作文編」といった自由英作文をターゲットとした問題集で対策していくと良いでしょう。ただ、この問題集でも東京大学のレベルにはまだ届いていないため最終的には過去問での対策が重要とはなります。
文系数学
満点80点 試験時間 100分
問題構成 問題数:大問数4
-大問 1 記述を必要とする大問 時間配分目安 23分
-大問 2 記述を必要とする大問 時間配分目安 23分
-大問 3 記述を必要とする大問 時間配分目安 23分
-大問 4 記述を必要とする大問 時間配分目安 23分
※詳細な配点は現在公表されていない
■おすすめ回答順:取り掛かれるものから →見直し
概要
東京大学の文系数学は理系との共通問題もあり詳細については理系数学の概要の中に盛り込んでいくためそちらも参照してください。問題数と試験時間のバランスを考えると比較的余裕があるように見えますが、それは解法がすぐに思いついた場合です。基本的は設問量としては妥当ですが時間は足りなくなると心得ていたほうが良いでしょう。解答を見ると意外と簡単な解法が書かれているものも多く比較的簡単な問題のようにも見えてしまいますが、実際にこの解法を限られた時間内で受験生が思いつき記述していくのは非常に難しいことです。また東京大学の入試の特徴として記述式問題に対する採点が非常に厳しいということがあります。そのため数値を正しく導き出すことはもちろんのこと、それ以外にも適切な文章や図を挿入して採点者が意味を取り違えることなく誰が採点しても同じような結果になる書き方をしなければなりません。文章の書き方によって失点することがないように注意することが大切なのが東京大学の文系数学です。
対策
ひとつの大問でひとつの単元のみが出題されることは少なく、基本的には融合問題と戦っていくと考えておいたほうが良いです。これは対策として過去問を進めていくと自然と気づく部分であると考えられます。過去問での対策が中心でもよいとは考えますが、もし過去問ではまだ解法の発想にまで至らないなどの問題があるのであれば「ハイレベル精選問題演習数学Ⅰ+A +Ⅱ+B 」などの難易度の高い問題集で初期は対策することをおすすめします。また、東京大学の数学の問題では解法が必ずしもひとつとは限らないことが多々あります。どのような解法を用いてもその過程が正しく記載されているのならば問題はないのですが、最短の方法で解かなければ時間的な余裕はなくなってしまうことが予想されます。東京大学以外の旧帝大数学問題なども対策として使用してみることで、解法の幅を増やすなどしておくことが求められています。
理系数学
満点120点 試験時間 150分
問題構成 問題数:大問数6
-大問 1 記述を必要とする大問 時間配分目安 23分
-大問 2 記述を必要とする大問 時間配分目安 23分
-大問 3 記述を必要とする大問 時間配分目安 23分
-大問 4 記述を必要とする大問 時間配分目安 23分
-大問 5 記述を必要とする大問 時間配分目安 23分
-大問 6 記述を必要とする大問 時間配分目安 23分
※詳細な配点は現在公表されていない
■おすすめ回答順:取り掛かれるものから →見直し
概要
文科との共通問題も用意されているのが東京大学の数学です。大問数が 6個も用意されていることからも分かるように、試験時間も試験問題数も非常に多い構成となっています。そのため正確に解き続ける安定性や精神面の強化も求められていますし、旧帝大といえども他の大学とは違った傾向が見られています。基本的には 6割程度の得点で合格ラインに届くといわれていますので、 2-3問は満点を獲得して残りの問題は半分ずつ部分点を獲得出来ればよい計算になります。数学に関しては時間の都合もありますので、よほど数学が得意ではない限りは試験時間も考慮すると 7割を超えて得点が伸びていくことは考えにくいでしょう。そのため 7割が安定して獲得できるほどの数学力が身に付いていれば、それ以上に時間の短縮などを考えるよりも他の教科について底上げしたほうが総合したときの得点率は高まると考えられています。
対策
東京大学の数学では出題の傾向が比較的掴みやすいものとなっています。ただ概要でも述べましたように単体の単元として出題されることは少なく融合問題として出題されることが多いです。そのためどこの単元を対策していれば得点出来るのかといった考えでは問題への対応が出来なくなってしまう可能性があります。とはいえども必ず押さえておきたい頻出分野というのは存在していて最近では「図形」「微分積分」「確率」「三角関数」「証明問題」が該当します。大問が多いことからも分かると思いますが様々な単元から出題されることが間違いない状況が続いていますので、上記の単元さえ押さえていれば問題ないということには残念ながらなりません。ただ、上記の単元を完璧にしておくことは最低限の条件のような印象は受けています。それぞれの単元についての対策としては以下の通りです。
・図形
以前は単独の図形問題というのも出題されていましたが最近では融合問題の中に図形を必要とするようなものが増えてきています。図形問題とベクトルを融合させたような問題や、図形と関数の問題、逆に関数を解くために図形を利用したほうが良い問題などが出題されるケースが見受けられています。これらの問題は過去問をやることでパターンを掴むとまではいかなくとも、問題に慣れていくことは十分に可能です。
・微分積分
計算が非常に面倒な問題が出題されることが多々あります。そのため日ごろの微積分の計算においては手間かもしれないですが、自力で小さなスペースでも書ききれるような練習をしておくことが重要です。問題としては図形空間における求積問題が非常に多く出題されていて、この問題は必ず対策が必要です。経験の有無で差がつくような問題は経験しておけば短時間で解けるだけではなく、王道の出題パターンであれば難易度こそ高くとも満点を取れる可能性もありますので重点的に対策をしていてもよいと考えられます。
・確率
確率の問題は頻出ではあるものの、難易度が年度によって大きく異なり対策がしにくいものとなっています。年度によっては出題問題の中で最難関のものであり完答することはほぼ無理なこともあるぐらいです。そのため、どの時点で難易度を見極めることが出来るのかが鍵となります。また基本的には解答の誘導となる記述は一切ありませんので、全てのことを自分が持っている知識を利用して書く必要があります。前提条件などが抜けるとそれだけで大幅な減点となる可能性も含まれていますし、いかに正しく書けるのかが微積分とは異なった視点で問われていると考えられます。
・三角関数
三角関数が単体の問題として出題されることはほぼないと考えられていますが、他の問題の計算過程において三角関数が利用されていることは多々あります。これは受験生やその他の数学に関わっている関係者であれば感じることが多いでしょう。そのため三角関数の問題に取り組むというよも端的にすばやく三角関数の計算を完了させることを意識してもらいたいです。
・証明問題
全体を通じて1問目が証明問題から始まることが多くなっています。多くの問題は背理法や数学的帰納法といった王道の解放で解けるように作られていますが、中には受験生の数学的な知識や数学的な観点を問うような問題が出題されていることもあります。証明問題は証明問題として勉強するものではなく、他の知識を持って対応する部分でもありますので特段専門の勉強するよりも王道の文章構成などを押さえておく程度で良いとでしょう。
どの大問や単元を対象にするとしても、問題集を解くよりも過去問での対策をし、根本的に理解できていない部分があるのならば問題集に戻って対策するというのが東京大学の数学の基本的な勉強スタイルです。
物理
満点 2科目で 120点 試験時間 2科目で150 分
問題構成 問題数:大問数3 設問数は年度によって差がある
-大問 1 記述を必要とする大問 時間配分目安 23分
-大問 2 記述を必要とする大問 時間配分目安 23分
-大問 3 記述を必要とする大問 時間配分目安 24分
※詳細な配点は現在公表されていない。時間目安は試験時間を二等分した場合。
■おすすめ回答順:得意分野から順番に着手 →見直し
概要
東京大学の物理は問題量が多く、 1科目あたり75 分だと仮定しても試験時間には余裕がないことが大半です。他の理科の科目 (化学や物理) に比べるとまだ時間が取れるとは言われてはいるものの、得点は部分点をかき集めることで大きくしていくスタイルが重要です。試験問題は他の理系科目である数学などと同様に、一見すると簡単に見えたり解答を見ると簡単に思えたりするものも多いです。しかし実際に試験時間内にその解法を思いつくのは困難なことが多いでしょう。正しいと思える道を進み、止まってしまったら必要以上に考えるのではなく他の教科や他の大問で部分点を取ることは出来ないかを考えたほうが懸命です。
問題によっては満点を取れる可能性があるものも用意されていて、必ずしも問題を捨ててしまうのが正しいとは言えないこともあります。そのため過去問を通じてその場で問題の難易度を判断したり、自分が解ける問題であるのかを判断力を養う必要があります。
対策
出題傾向として特に出題回数が多い単元が力学と電磁気学です。その他の単元としては波動・熱力学・原子物理が出題されていて、最低限これらの分野に対しての対策が必要です。物理に関しては微積分を用いた解法が推奨される問題が例年出題されているのが特徴で、高校物理としては本来は知っている必要はないものであることもあります。ただ東京大学の受験生であるならば学習しておいたほうが時間の短縮などが期待できることもあるはずです。
力学については一見すると何を問うているのか分からないような問題が出されることもあります。ただ根本としては重心系か単振動・円運動が頻出となっています。力学に関する融合問題もよく出題はされていますが、基礎となるのは基本知識であり特段難しい勉強が必要とされていないものも存在しています。過去問での対策を中心とする際は、問題がどのような知識から構成されているのかを把握し基礎知識で解けるような問題に対応できなかった場合は発想面が及ばなかったと思い割り切って学習すると良いです。
電磁気学については電磁誘導と直列回路に関するものが頻出です。交流回路が出題されることはほとんどないのですが、 2016年に出題されたことを考えると新しい傾向が生まれる可能性は否めないので注意して取り掛かる必要があるでしょう。一見すると見たことのない問題で受験生を困惑させることが多いですが、基本的には特別な対策を必要とするような問題ではなく基礎的な知識を組み合わせていけば回答にはたどり着けるものです。ただし、試験時間は有限であるため考えすぎることもよくなく時間配分は必ず気にしなければならないので注意しましょう。
化学
満点 2科目で 120点 試験時間 2科目で150 分
問題構成 問題数:大問数3 設問数は年度によって差がある
-大問 1 答えのみを記述する大問 (問題によれば記述部分も採点される) 時間配分目安23 分
-大問 2 答えのみを記述する大問 (問題によれば記述部分も採点される) 時間配分目安23 分
-大問 3 答えのみを記述する大問 (問題によれば記述部分も採点される) 時間配分目安24 分
※詳細な配点は現在公表されていない。目安時間は試験時間を二等分した場合。
■おすすめ回答順:得意分野から順番に着手 →見直し
概要
東京大学の化学は理科の中でも特に試験時間が足りなくなりやすい教科であり、問題を確実に解くだけではなく早く解くことが特に要求されている教科でもあります。大問は3つとはなっているものの、内部的には2つの単元から構成されていることも多くあり実質的には少な目の大問を6つ解くのと変わらないような状況となっています。3つの大問の内容はほぼ固定されていますので、例年理論化学・無機化学・有機化学の構成だと思ってよいでしょう。また採点に関しても特徴があり基本的には答えにあたる部分以外は採点対象となりません。過程を書くことを指定されている問題が出題された場合のみその仮定まで採点の対象となります。つまり、答えのみが必要となる場合は自分が分かりやすいように素早く回答を作ることを求められています。
対策
大まかな出題傾向としては変わっていないですが、内容は毎年変わってきています。特に過去問を中心に勉強した受験生は新しい傾向の問題などに驚いてしまうこともあるでしょう。つまり、様々な問題に取り組んでその解法を覚えるような学習よりも、もっと根本的に化学を理解するような学習が必要となっています。また応用問題の類の出題も多くなっており、高校では直接的には習うことはないが基礎知識を発展させていけば答えにたどり着けるようなものも用意されています。ただ、近年は試験時間に対して問題量が著しく多いこともあるので基礎知識を持って対応できる問題をいち早く見つけ取れる部分から得点していくことがより重要視されているように思われます。
生物
満点 2科目で 120点 試験時間 2科目で150 分
問題構成 問題数:大問数4 設問数は年度によって差がある
-大問 1 記述を必要とする大問 時間配分目安 23分
-大問 2 記述を必要とする大問 時間配分目安 23分
-大問 3 記述を必要とする大問 時間配分目安 24分
※詳細な配点は現在公表されていない。目安時間は試験時間を二等分した場合。
■おすすめ回答順:得意分野から順番に着手 →見直し
概要
東京大学の生物は例年大問が3題となっているか、他の理科科目と同様に小問が多く時間的な余裕は無いものとなっています。頻出の単元としては「生物の恒常性」が挙げられますが、全体として幅広い分野から出題されていて特定の分野に絞った学習は出来ないことが普通です。他の大学の問題と違う部分として生物にも関わらず長いリード文などを読み解く力が問われていることです。リード文の中には問題を解くためのヒントが含まれていて、それを自分の生物に関する知識と照らし合わせることによって問題に取り組んでいくことが必要とされています。
対策
問題の概要でも記載したように東京大学の生物は長いリード文から問われている内容を読み取ることが必要です。しかも読み取った内容から回答を記述することをもちろん必要とされています。そのため一般的な生物の勉強方法である単語などをどんどんと覚えていくような学習方法だけでは獲得できる点数には限界が出てしまうでしょう。重要な対策としては過去問や難しめの模試などの問題文を読み解いて、背景的な知識が連想できるかなどを確認する、思いついたことを文章として書き出すような対策が必要です。模試の問題は知識が問われるようなものが多いため解けることが多いのではないかと予想しますが東京大学の問題は少し傾向が異なったものになっています。東京大学向けの模試や過去問を積極的に生物では利用することをおすすめします。
国語
満点文科120点・理科 80点 試験時間 文科150分・理科 100分
問題構成 問題数:大問数4 設問数:年度によりさがある
-大問 1 現代文 記述式 時間配分目安 29%程度
-大問 2 古文 記述式 時間配分目安 18%程度
-大問 3 漢文 記述式 時間配分目安 18%程度
-大問 4 現代文 記述式 時間配分目安 29%程度
※詳細な配点は現在公表されていません。試験時間が文理で違うため割合で表示。
■おすすめ回答順:大問2 →大問3→ 大問1 →大問4→ 見直し
概要
東京大学の国語は例年現代文から始まり古文・漢文の大問を挟んで最後も現代文となる形が続いています。試験時間に関しては文科ならば余裕があると考えられますが、理科はかなり厳しいと考えておいたほうが良いでしょう。回答順にも記載している通り、古文と漢文を素早く解いていかにはやく現代文に取り掛かることが出来るかが合否の鍵です。全問記述式で、それぞれの回答欄は基本的に大きな空欄となっています。文字数制限のある問題が出ることもありますが、基本的には空欄の大きさから概ねの文字数を判断しその文字数に解答を要約することが求められています。特に東京大学の国語は採点が非常に厳しいため、いかに必要な部分を的確にまとめるかに勉強の成果が出る部分でもあるでしょう。
現代文は問題文こそ長い問題は出ないものの、内容が抽象的なものが多く受験生が理解しにくいものを意図的に出していると考えられます。設問に関してはこの抽象的な文章から以下に要旨を捉えているかと言った問題が多くなっており、概要でも説明したようにこれについて端的に過不足なく説明する力が問われているでしょう。ただ、明確に答えの方向性が現れる問題が多くなっており一定の採点基準で確実に評価されるような問題しか出題されていません。そのため要約すべきポイントさえ抑えることが出来ればそれぞれの問題はそこまで難しくないと言えます。ただポイントを抑えるだけでは事足りず自分の知識を融合させて記述することが求められていることもあります。
古文はかなり丁寧な出題形式で、文章の難易度としても意外にも高いものは出題されていません。問題の中心は口語訳であり文法を正しく抑えていることはもちろんのこと、複雑な助動詞などを正確に訳すことが出来るかどうかが試されています。ただ、闇雲に記載すると回答欄が足りないことも多く、冒頭でも述べたように回答欄を確認してどれぐらいの文字数でまとめるべきかを確認しておくことがまずは必要となっています。
漢文は年度により漢詩が出題されていて、これが受験生を困惑させている印象があります。本文には基本的には返り点などが付けられていて、文法として漢文を問うよりかは内容の理解度が重要視されています。
対策
現代文は端的に要約されることが求められているため、本文中に存在していない言葉でも自分の言葉で簡単に言い換えることが出来ないかといった思考が問われているような印象を受けます。そのため日頃よりある程度の語彙力を鍛えるようなトレーニングはしておいた方が良いでしょう。特定の分野にとらわれるのではなく、新聞の社説などを読み同じく限られてスペースの中でどのように文章が組み立てられたり簡略化されているのかを学ぶことは悪くないと考えます。また抽象的な文章が多く出題されることもあり、抽象的な表現を具体的な表現に書き換える力も問われています。これに対応するためにも的確な短文で表現する力は身につけることを意識しながら過去問を解くと良いでしょう。
古文は単語と文法の理解が何よりも先決です。逆に考えると東京大学の古文といえども必要以上に難しい勉強をするのではなく、基礎知識をおさえることを考えたほうが良いでしょう。問題は内容読解とそれに関する説明や口語訳が中心となっているため、基礎的な問題集を解けているのならば過去問でも戦っていけるでしょう。過去問で全く解けないのであれば基礎知識の見直しから始めることをおすすめします。
漢文は返り点なども記載されていることもあり、文法に基づいて正確に読み取る力が問われていると考えて良いでしょう。口語訳問題が出題されるが、返り点などをしっかりと読み解けるのであれば特に手が止まるといったことも無いと考えます。ただ、頭のなかで意味が理解できていても回答欄に書くと綺麗に収まらないのが東京大学の怖いところでもあります。過去問で対策する際は実際の回答欄の大きさを確認し、文字数を常に意識してまとめることが出来ているのかを確認してほしいです。
日本史
満点60点 試験時間 2科目で150 分
問題構成 問題数:大問数 3 設問数:年度により異なる
-大問 1 記述式 時間配分目安 17分
-大問 2 記述式 時間配分目安 17分
-大問 3 記述式 時間配分目安 17分
-大問 4 記述式 時間配分目安 17分
※詳細な配点は現在公表されていない。目安時間は試験時間を二等分した場合。
■おすすめ回答順:取り掛かれるものから →見直し
概要
全問記述式の問題となっていて、設問を解く時間には余裕があるものの記述の面で余裕がなくなってしまいがちです。問題構成は例年変わっておらず、小問の数が年度により多少の差がある程度です。全ての問題が記述式であることから草案用紙が用意されていることが特徴で、記述量としては 1設問辺り60 文字から 120文字程度となっています。
難易度はここ数年極端に難しいものではなく、教科書レベルで対応できるものがいくつか出題されています。記述問題であるため、単純な暗記では回答にたどり着けない可能性もありますが難易度として高レベルな問題集などをするほどのものではないです。
時代区分も傾向が出来ていて、基本的には4つの大問に対して古代・中世・近世・近代が出題されるようになっています。それぞれの時代においてテーマが選ばれているわけですが、過去問でも分かるように過去に出題されたテーマが再度出題されることもあります。この傾向は不定期でありここ数年で出題されたテーマが数年出題されないなど考えると痛い目を見る可能性があります。毎年ではないですが表や史料を利用した問題も出題されていて、それぞれの史料に沿った内容を記述していくような仕組みとなっています。ただ、資料集などを見て内容を覚えておくという問題ではなく、与えられた史料から読み解いた内容を記述する問題となっており必要以上に史料での学習を求めているとは思えないです。
対策
最近は特に日本史の難易度が落ち着いてきたこともあり、教科書を中心とした学習が必須です。センター試験対策として細かな事象の名前などを覚えてきているとは思いますが、東京大学の日本史に関しては記述問題のみとなるので細かな単語を改めて覚える必要は無いと考えます。それよりもセンター試験で基礎が確実になっているのであれば、早急に日本史での記述という問題形式に慣れるようにしてもらいたいです。日本史に関しては記述のマス目が用意されていますが、大まかな文字数が想像できるものの基本的に受験生が思いつくような文章が入らないような文字数に設定されています。そのため内容を思いついたとしても、満点が取れるような文章に仕上げることは制限時間の関係もあり非常に難しいと考えます。満点を取る必要はないため、過去問を解く際には自分が書きたい内容と回答の文字数のギャップをまずは確認し、それを文字数内におさえたときにどれぐらい必要な情報が抜け落ちたかを確認してもらいたいです。それが歴史の知識不足なのか語彙力不足なのかによって対策するべきことも大きく変わってくるからです。
世界史
満点60点 試験時間 2科目で150 分
問題構成 問題数:大問数3 設問数: 50問程度
-大問 1 記述式 時間配分目安 23分
-大問 2 記述式 時間配分目安 23分
-大問 3 記述式 時間配分目安 23分
※詳細な配点は現在公表されていない。目安時間は試験時間を二等分した場合。
■おすすめ回答順:解けるテーマから →見直し
概要
世界史は大問数3が続いていて全問記述か論述式に問題となっています。ただ、一部に選択式の問題が出題されていることがあり必ずしも文章を記述するということではないです。
大問1は例年長文の記述問題が出題されていて短いものでは 500文字程度ですが、600文字を設定文字数とする問題が出題されることも近年では続いています。記述の内容としては設問に用意された語句を使って文章を記述していくものとなっています。大問2,3に関しても短めの記述が出題されていてここは他の教科にも見られるような傾向でしょう。設問毎の文字数は毎年異なりますが、全問合計の文字数は同程度となっており年度ごとに難易度のばらつきが出ないように考慮されているものと考えられます。
出題分野は特に決まっているわけではなく幅広い分野から幅広い内容が出題されるのが特徴です。ただ、難易度が特段難しいわけではなく基本は教科書に記載されているものがベースとなっています。長文の記述に関しては量があることからも難易度が高いとは言われていますが、それぞれの文章を細かく見ていくと教科書レベルの知識を丁寧に繋いだものとなっているはずです。ここにも東京大学らしさが現れていて、いかに自分の持っている知識を綺麗にまとめていくことが出来るかが世界史でも鍵を握っています。
対策
内容が記述式ということもあり、問題集での対策があまり出来ないのが難点です。強いて問題集を購入するのであれば「東大の世界史 25ヵ年」などを利用すると良いとは思いますが、まずは過去問から取り掛かるので良いでしょう。過去問を進めていくときに注意してほしいのは当たり前ですが長文の記述問題です。この長文の得点によって合否が大きく変わると言っても過言ではなく、確実に取れるだけの得点を取ることが大切です。概要でも述べたようにここは世界史の基礎知識が大切となってきます。そのため根本的に間違えるようなことがあれば、すぐに教科書か教科書レベルの参考書に戻って学習するなど基礎知識の定着を意識してもらいたいです。また、前後関係が問われていることもあるため教科書を開いたのであれば、その前後に起こった出来事や登場人物も再確認しておくとなおさら良いでしょう。
この対策は長文以外の記述にも有効で、短い記述であっても基礎知識が中心です。東京大学が問うていることを確実に対策するためにも、過去問を解く際に指定された文字数以外でも記述できるかどうか対策してみると良いと思われます。多くの問題は 60文字から120 文字で出題されているため、この範囲で短いものは 60文字、長いものは120文字として問題を解き直してみるのも対策になるはずです。
地理
満点60 点 試験時間 2科目で150 分
問題構成 問題数:大問数3 設問数:年度により異なる
-大問 1 記述式 時間配分目安 23分
-大問 2 記述式 時間配分目安 23分
-大問 3 記述式 時間配分目安 23分
※詳細な配点は現在公表されていない。目安時間は試験時間を二等分した場合。
■おすすめ回答順:解ける分野から →見直し
概要
地理は例年大問数3で固定されていて、小問数や回答個数は年度によりばらつきが見られています。難易度にもばらつきが見られていて難化と易化を繰り返していると言えます。ただ、私立大学に見られるような地理の難問や奇問は存在しておらず、教科書レベルの知識を用いて解けるように配慮された問題が多いです。
一部選択肢を記述する問題も用意されていますが、基本的には短めの記述を重ねるような問題形式です。記述量がここ数年で増えてきたことにより、問題の難易度が多少ばらつくとはいえども受験生の負担は大きくなってきたと言わざるを得ないでしょう。記述問題は基本的に文字数指定がされていて、それに合わせて記述する問題となっています。問題の中には指定された語句を使用して文章を作るものも存在しいかに短い文章で説明するかの力が相変わらず地理でも問われていると言えるでしょう。ここ数年は必ずグラフに関わる問題が出題されていて、資料を用いて内容を理解・記述する力が問われていることは間違いないです。
対策
統計やグラフと言った資料問題が多く出題されているため、これらの問題に確実に対応できることが重要です。また資料は数値の計算などを求めている問題ではなく、そこから読み取れる内容を記述に繋げるものであるためいかに資料を自分の持つ地理の知識に繋げることが出来るのかということが重要です。つまり、具体例から地理の理論的な話を導き出すことが出来るかが問われていると言っても良いでしょう。
他の科目と同様ですが、地理の問題も回答させる内容のわりには制限文字数が少ないことが大半です。そのため地理的な言葉も使いながら、端的な表現を意識する対策が必要です。これは過去問を解くことで養われるでしょう。地理的な知識が十分であっても、文字数の壁で最初は満足す回答が書けないはずです。これは当たり前であるため、そこでくじけること無く自己採点をする際に出題者の意図がどういったものであったのかを汲み取り、自分の記述方針とズレはなかったかを常に意識するような学習をしてもらいたいです。