地理の勉強法

独学可能度

編集長のひとこと

 まず最初に,地理を暗記科目だと考えている人はその考えをすぐに改めましょう。地理は「論理的に思考する」科目です。もちろん思考の手掛かりとなる基礎的な知識は暗記によって得ることになりますが,入試地理は暗記だけでは対応できない問題が大半です。
 私大の場合はもう少し暗記に偏った出題が見られますが,センター試験や国公立大二次試験はほとんどがこの手の問題で,暗記したことがそのまま暗記問題として出てくることはほとんどないわけです。ほとんどが受験時に初めて見る資料を使用した問題であり,元々持っている知識を一問一答のようにそのまま出すだけでは解けません。解答するにあたっては必ず「論理的(地理的)思考力」という「知識の応用」が求められます。
地理はほとんどセンター対策で勉強する人がほとんどだと思うので、センター中心で説明し、私立一般入試、2次試験で利用する人にも参考になるように難関私大、国公立レベルまでの参考書を紹介しています。
編集長 香西

1 地理の特徴

「歴史科目と比べて暗記量は少なくて済むが,論理的な思考力を必要とする」

 まず最初に,地理を暗記科目だと考えている人はその考えをすぐに改めましょう。地理は「論理的に思考する」科目です。もちろん思考の手掛かりとなる基礎的な知識は暗記によって得ることになりますが,入試地理は暗記だけでは対応できない問題が大半です。
 私大の場合はもう少し暗記に偏った出題が見られますが,センター試験や国公立大二次試験はほとんどがこの手の問題で,暗記したことがそのまま暗記問題として出てくることはほとんどないわけです。ほとんどが受験時に初めて見る資料を使用した問題であり,元々持っている知識を一問一答のようにそのまま出すだけでは解けません。解答するにあたっては必ず「論理的(地理的)思考力」という「知識の応用」が求められます。

「得点分布が真ん中に固まりやすい」

実際の模試の成績表を分析していてハッキリしていることですが,歴史科目と比べて地理は受験生の得点の分布が真ん中に集中しがちです。日本史や世界史の場合はその科目特性からして,暗記に相当な時間はかかるものの,暗記しきってしまえば,模試でも受験本番でもほぼ安定して満点や満点近い高得点を取ることができます。もちろん逆に暗記できていなければ「ほぼ終わり」です。いくら論理的に考えても知らないものは知らない,となって点数が取れません。それに対して地理の場合,予備知識(暗記量)が少なくても論理的に思考すれば解答できる問題や,実際の身の回りの生活に関するテーマが多く常識的に解答できる問題が多い,という科目特性があるため,考える力がある人や常識がある人はそこそこの点数は取れます。一方で,十分に勉強を重ねて暗記をしてきた受験生でも,試験当日の緊張や焦りなども含め,コンディションが悪く頭が回らないと,ボコボコと失点します。仮に正常でも,少し考え方を誤ると失点します。したがって,歴史の場合は得点分布が高得点から低得点まで幅広くなりやすいのに対し,地理は高得点と低得点が少なく,平均点近くで団子状になりやすいわけです。

「正しい対策をすれば,他の社会科目よりも短い時間で高得点に至りやすい」

 先の説明だけだと,「地理は受験上なんて不利な科目なんだ」と感じてしまったかもしれません。しかし,それは正しくありません。地理は「正しい対策をすれば,他の社会科目よりも短い時間で高得点に至りやすい」という最大のメリットを持っています。解答に必要な暗記事項は少なく,重要なのはそれをいかに自分自身で使いこなせるようになるか,です。既存知識を最大限に活かし,自ら考え,分析し,推察し,判断する。この力を身につけることができれば,地理は入試上の必勝科目で最高に面白い科目に変わります。
 では,どのように対策をしていけば良いのでしょうか?

2 地理の勉強法(全体)

 先の説明から分かるように,地理の対策はただの機械的・網羅的な丸暗記では全く持って非効率的です。求められているのは単なる暗記力ではなく,論理的(地理的)思考力です。暗記だけで全て解くのは難しいです。どの国とどの国の比較か,何年の統計か,それも生産量か輸出量か輸入量か消費量か,さらに単年での比較か・複数年にわたっての経年変化の比較か,どういう図表で示すのか…などなど,出題パターンは無限に近く,それらに全て対応するだけの暗記は不可能です。出題予想をするだけでも困難です。
 さて,それではいよいよ本題です。入試地理対策で心がけるべきことを,分かりやすく5つにまとめて説明します。

①系統地理のうち,特に自然地理対策を重視しよう!

 地理の区分が曖昧な受験生が多いですが,大枠を捉えるという点において重要なので完結に説明します。まず地理という学問の範疇としては,その扱う内容から大きく「自然地理」と「人文地理」に区別されます。「自然地理」というのは,自然科学としての地理であり,例えば,地形・気候・土壌・植生などのテーマが該当します。地学や化学などの理科系の勉強に近しいところがあります。それに対して「人文地理」というのは,人文科学としての地理であり,人口問題・都市問題・資源と産業などのテーマが該当します。歴史や政治・経済などとも関わりのある文科系の内容ですね。どちらも地理において欠かせないものですが,その関係性はというと,「自然地理が人文地理の土台である」と言えます。考えてみれば当たり前ですが,この地球上,人間より先にまずは自然環境が存在しているわけです。地域ごとにその環境は様々で,それに対応するように人間は文明を発達させてきました。そこから次第に細分化されていき,それぞれの言語・宗教や産業等がおこり,それに対応した国家というものが形成されているわけです。赤道付近の国ではなぜ高床式の住居が多いんでしょうか?赤道付近は高温湿潤という自然環境があるからです。アンデス山中の暮らしではなぜポンチョ(被るように着衣する衣服。保温性が高く,着脱が容易といった特徴を持つもの。)が伝統的に使われているんでしょうか?特に低緯度のアンデス山中では気温の日較差が大きいという自然環境があるからです。分かりますか?現在のある地域の人々の暮らし(人文地理)の背景には必ずその地域の自然環境(自然地理)があるんですね。ですから,地理学習ではまずは自然地理の対策が重要であるということになります。
 一方で,地理で扱う内容をどう見ていくかという「視点の区別」として,「系統地理」と「地誌」という区別ができます。「系統地理」とは,例えば,地形・気候や,人口問題・都市問題・諸産業などのように,地理を系統(テーマ)ごとに観察するものです。世界全体に共通する仕組みをマクロ(巨視的)に見ていくようなやり方です。それに対して「地誌」とは,例えば,アジアの地形・気候・人口問題・都市問題・諸産業,ヨーロッパのアジアの地形・気候・人口問題・都市問題・諸産業,アフリカの~…などのように,地理を地域ごとに観察するものです。対象地域の様子について具体的かつミクロに見ていくようなやり方です。これについてもどちらも地理において欠かせないものですが,その関係性は特に入試地理対策という観点で言えば,「系統地理学習が地誌学習の土台である」と言えます。先述している通り,入試地理は単純な地名や事象名の暗記よりも,その事象の仕組みの理解が重視されます。そうすると,まずは仕組みの勉強にあたる「系統地理」の学習を優先すべきであるということになります。予備校業界では,「地誌」的内容は全く扱わず,全て「系統地理」という観点だけで教える講師もいるくらいです。
 以上を総括し,改めて強調します。入試地理の対策を始めるにあたって,まずは系統地理のうち,特に自然地理範囲をマスターするようにしましょう!

②細かい暗記は後回し!理屈をがっちりつかむ!

地理は歴史科目と違い,論理的に考えることで解答を導く問題が中心です。特にセンター試験や国公立大二次試験では「木を見て森を見ず」的なやり方では通用しません。
例えば,入試地理では定番のケッペンの気候区分について。受験生がよくやるミスは「地図帳に載っている気候区分の地図を丸暗記しようとすること」と「地名ごとに気候区分を覚えようとすること」です。もちろん本当に全てを覚えきってしまえば,かなりの量の問題に対応できます。しかし,先述の通り,常にデータが変わり続ける地理においてそれは不可能です。また,単純に「カイロ=BW気候」と一致できるだけでは解けない問題,例えば,雨温図と都市の一致問題において対象都市を全てBW気候の都市だけで出す問題,などがあるわけです。そうなると,地名と気候区分をいくら覚えていても解けませんよね。
 なので,細かい暗記ばかりを優先してはいけない,ということになります。重要なのは理屈なんです。BW気候であれば,BW気候とはどういう気候なのか(気温・降水量の条件等※ちなみにセンター試験レベルであれば,年降水量250mm未満は基本的にはBW気候と考えておけば良いです),どういう理由で現れるのか(成因),その結果地球上のどの辺りに現れるのか(位置),という仕組みの理解に努めるべきです。ここではその詳説は省きますが,教科書や参考書等に実は必ず載ってある情報です。例えば,<面白いほど点数がとれるセンター地理B 改訂第3版:瀬川著:中経出版>などのように有名講師が講義形式で説明しているようなものは,読み物としても面白く,単なる暗記ではなく理屈を重視して書かれているためオススメです。

③必要最低限・効率的な暗記をする!

暗記よりも理解だ!とは言うものの,やはり最低限の暗記は必要です。論理的(地理的)思考力とはあくまで「知識の応用」ですから,考えるための元となる知識は必要です。ただその際に,どの知識が最低限の知識なのか,どれが必要でどれは不要なのか,必要なもののうち特にどれを優先すべきか。そこを誤っては効率の良い学習になりません。なので,ここでそれを伝授します。
一言で言えば,それは「説明力の大きい知識」です。具体的には,各国の人口規模や経済水準,気候分布など,様々な分野にわたっての基礎となり,幅広く応用できる知識のことです。どういうことでしょうか?定番ですが分かりやすい説明をしましょう。
例えば,地理学習で頻出の「米の生産量」について。皆さんは世界の米生産量の上位国がどこか分かりますか?これくらいは覚えている人も多いと思います。2013年統計では,1位=中国,2位=インド,3位=インドネシア,4位=バングラデシュ,5位=ベトナムです。さて,この統計についてどう考えるかですが,まず,米とはどういう作物かを考えてみます。「農業」というテーマで勉強しますが,米は栽培するのに生育期の高温とかなりの量の水を必要とします。生育期の高温という条件は高緯度で寒冷な国だと中々満たしづらいでしょうね。また,灌漑という技術が普及していない古代のことを考えると,元々降水量が多い地域でないと難しそうですね。その結果,稲作はそれらの条件を全て満たしていたモンスーンアジアにおいて主食として普及していったわけです。色々と割り切って考えると,「米はアジアで圧倒的に普及している主食である」と言えそうです。
主食となると,国民が日々消費しますから,その国民分は必ず用意しなければいけませんね。それは必ずしも国内生産じゃなくても輸入でも良いんです。ただ,世界の中で自国が最も稲作に適した地域に位置するのであれば,基本的には国内生産で賄うはずです。とすると,結局どの国で米が多く生産されているかというと,「モンスーンアジアの大人口国」だということになります。ここの理屈については他の観点からも説明できますが,とりあえずここで強調したいのは,米の生産に限らず,各国の産業の規模には「人口規模(~万人)」や「自然環境(地形・気候)」が強く影響するということです。言い換えれば,各国の「人口規模(~万人)」や「自然環境(地形・気候)」は各国の産業を説明するための土台であり,「説明力の大きい知識」であるということです。
以上を総括し,勉強しやすいように明言しましょう。最優先で暗記しておくべき知識は,「各国の人口規模(約~万人)※目安としては5,000万人以上の国がベター」,「各国の経済水準(GNI約~万ドル)※目安としては,日本と同程度かそれ以上のAグループ,日本よりは低いがGNI10,000ドル以上のBグループ,B未満だがGNI1,000ドル以上のCグループ,C未満のDグループなどの4グループに分類するくらいがベター」,「各国の自然環境(※これだけは丸暗記にならないよう,仕組みから起こして暗記するように)」の3つです。絶対に参考書等で確認しておいて下さい。

④地図帳やデータブックと友達になる(くらいいつも持ち歩こう)!

地図は受験生の弱点の一つで,嫌いだし興味がわかないという人も多いように思います。しかし,やはり「地」理という科目なので,地図を見ることは避けられません。もちろん,全ての地名を闇雲に丸暗記せよと言っているわけではなく,知らない地名が出てきたら必ず調べるように習慣づけましょうということです。ただ,基本的なところですが,主要国の国名と位置だけは丸暗記でも構いませんので,最低限一致できるようにしておいて下さい。入試地理では当然地図を使った問題が多数出てきますし,国名を「ア,イ,ウ」や「A,B,C」のように隠した状態で問われますので,国名と位置が分かっていないと解けません。他の科目と同じように,必ず毎日一度は目に留まる場所(机の前,ベッドの横,トイレのドアや壁など)に地図を貼っておくなどの工夫をして覚えるようにして下さい。
地図帳と同じように,知らない統計等が出てきた際にすぐに調べられるように,データブックを用意してほしいと思います。決して載ってあるデータを一から暗記せよというわ けではありません。あくまで辞書のように使ってほしいということです。<データブックオブザワールド:二宮書店>など,書店で販売されていますので,必ず入手し,すぐに調べる習慣をつけましょう。
 どちらも地理の勉強をする日には必ず持ち歩き,友達になるくらい使い込んで下さい。

⑤必ず!演習(アウトプット)をしよう!

地理に限った話ではありませんが,受験生がよくやるミスが,「内容を完全にマスターするまで過去問演習は取っておく」ということです。実際に受ける試験の出題形式や頻度などをいち早くつかんで効率の良い学習をするためにも,本当は先に過去問演習をすべきです。センター試験対策であれば,例えば,<センター試験過去問研究 地理B:教学社>や<センター試験過去問研究 地理B:教学社>などの問題集を使うと良いでしょう。私大や国公立大の二次試験対策であれば,<大学入試シリーズ:教学社>などの大学別過去問を使いましょう。もちろん何の基本知識もなしにいきなり演習をしても手掛かりがなく解けるわけもありませんので,1テーマの勉強が終わった後,くらいを目安にその範囲に該当する演習をやるようにしましょう。演習の答え合わせの際には解説を確認しますが,地理の場合,特に「解答への過程(根拠)」が重要です。これは続けて述べている通りで,入試地理では全く同じ問題が出るということはほぼあり得ないですが,類似問題が出ることは十分にあり得ますのでその際に自力で解けるようにするためにも,その問題へのアプローチの仕方を身に付ける必要があるからです。こう考えると,地理は社会科の中で最も理系に近い科目だと言えそうですね。
 以上の①~⑤のことを地理学習の大原則として意識して勉強し,最終的に「根拠をもった解答力」を完成させましょう!

3 地理の勉強法(分野別)

 地理の勉強のコツを全体的に述べてきましたが,ここでは分野別に,もう少し具体的な内容に踏み込みながら説明したいと思います。

系統地理編

①地形

 地形は大地形と小地形に分類して勉強しますが,どちらにも共通して言える入試頻出ポイントはズバリ「地形の成因と具体例(分布)」です。例えば,海溝という海底の地形について。これは「海洋プレートが大陸プレートに対し沈み込んでいく際に形成される」深い溝です。まずは「海洋プレートが大陸プレートに対し沈み込んでいく際に形成される」の部分が成因に該当します。ここで一つ気をつけなければいけないことを挙げておくと,「成因」といった時に非常に細かく地学・物理学・化学のレベルにまで踏み込んで理解しようとする受験生がいますが,それはほぼ不要です。一部の難関私大では出題される可能性が否定できませんが,センター試験レベルで言えば一切不要です。あくまで社会科の中の地理という科目の範疇(教科書に書かれてある内容だけ)で理解しましょう。
 地形では成因に加えて,具体例が重要です。先の例で言えば,海溝という地形は具体的にどこにあるのか,ということです。ここでは細かい列挙はやめますが,入試ではそれが地図を使って問われるわけです。その他,小地形のフィヨルドでも扇状地でも何でも同じです。とにかく「地形の成因と具体例」を意識して勉強していきましょう!

②気候・植生・土壌

 気候は仕組みが複雑なため,苦手とする受験生が多いテーマでもありますね。しかし,気候は地理の最重要テーマの一つです。「気候を制する者は入試地理を制す」と覚えておいて下さい。それほど入試地理の得点を左右するテーマです。では,そんな重要な気候について,どう対策すれば良いのでしょうか?
 気候の入試頻出ポイントも実は「成因と具体例」です。「あれ?地形と一緒だ」と思った人,その通り,一緒です。結局入試地理において自然地理の内容は「成因と具体例(分布)」が問われるんです。
 気候の場合,ケッペンの気候区分が有名でもちろんそこも必ず勉強しなければならないんですが,それと同等いやそれ以上に重要なのは「気候の成因」,言い換えると「気候の仕組み」の部分です。先に述べた通り,入試地理ではただ単にここからここまでがBW気候で,ここからここはBS気候である,と覚えているだけでは通用しません。それ以上になぜそこの地域がBW気候となっているのか,という仕組みが重要なんです。そして,それを理解するための基礎知識として,例えば,気候の三要素(気温・風・降水)と気候因子(緯度・高度・隔海度・海流など)の結びつきを理解する必要があります。ここでは詳説はできませんが,気候の対策をする際には必ず「気候の仕組み」に注意して勉強していきましょう!

③諸産業

 諸産業の内容は,主に農林水産業と鉱工業です。近年のセンター試験では大問の2番で出題されることが多いです。ここは統計が非常に多い分野で必要最低限覚えておきたい統計も少なくありません。覚えるべき統計の目安としては,例えば農作物の生産量では上位5か国までで良いでしょう。その時に注意しなければならない点は,「順位ごと丸暗記しない」ということです。というのも,統計は毎年変わるからです。ただし,例えば豚の飼育頭数は中国が圧倒的に多く1位なんですが,そういうケースでは「1位」として覚えておく方が良いです。圧倒的な差の場合,自分が受ける入試において使用される統計で,その差が覆って順位が変動する可能性は限りなく低いからです。以上の2点に注意して統計を見ていきましょう。その際には,先述の通り,「なぜこの農作物はこの国々での生産が多いのか?」という観点を常に持って,理解・納得することを意識しましょう。鉱工業統計も同様です。

④人口問題・都市問題・人種民族問題

 人口問題・都市問題では,人口動態(多産多死型~少産少死型への移行や出生率・死亡率の推移や現状など),人口に関する諸問題とその対策・政策や,都市の形態(集村・散村,歴史に起因する都市分類など),都市の構造(中心部~周辺部にわたる機能分散など),都市に関する諸問題とその対策・政策などを勉強します。ここの入試頻出ポイントはズバリ「先進国と発展途上国の比較」です。これに尽きます。
 近年,先進国では少子高齢化が進行し,労働力人口の減少や社会保障費の負担増大などの問題に直面しています。その一方で,発展途上国では逆に人口の急増に対応できず,食糧難や貧困などの問題に直面しています。都市問題でも同様に,先進国ではこういった問題なのに対し,発展途上国ではこういった問題,というような大きな違いがあります。この違いの部分を理解することが最重要で,入試でも頻出のポイントとなりますので,しっかりと意識して勉強して下さい。

地誌編

 地誌は地域ごとの自然環境や人々の暮らしを観察する方法でしたね。これは実は系統地理としてテーマ別学習を十分に進めていれば,極端な話,全て包括できる内容なんです。ただ,一般的な勉強方法としては,系統地理で仕組みを理解した後にそれを地域ごとに当てはめて改めて見直すという形で地誌を勉強することが多いです。センター試験でも基本的には地誌という視点での大問が用意されています。特に2016年度のセンター試験以降,大問6つのうち,2つが地誌的な大問となっていますので,地誌としての勉強もやっておいた方が良いでしょう。系統地理で大まかに概観してきた地域のことを,地誌という形でより詳しく細かく見ていく必要がありますので,地図帳は特に欠かせません。

4 大学受験 レベル別 地理のオススメ参考書・問題集

 地理はその特性から日本史・世界史と比べ,理系の受験生がセンター試験で受験することが多いです。また,日本史・世界史と比べて,二次試験で地理を課している大学はあまり多いとは言えません。したがって,地理は主にセンター試験のみで使用されることが多い科目であるわけです。もちろん,一部の私大や国公立大で地理を使用する受験生もいますが,歴史と比べて明らかに少数派です。そこで,ここでは特にセンター試験対策に重点を置いて,対策のためのオススメ参考書・問題集を紹介します。

レベル1 基礎〜センター試験レベル勉強法と参考書、問題集

 出題形式は全てマーク式です。私大と比べて,思考力を問うタイプの問題が圧倒的に多いので,ただの語句や統計の丸暗記ではなく,事象の理解を意識した勉強をしなければなりません。したがって,以下に挙げる参考書でしっかりと理屈の部分を押さえつつ,問題集でその理屈の問題への応用の仕方などを学ぶようにしましょう。ちなみに,問題集のうち,まずは優先的に過去問を演習し,余裕のある受験生は予想問題集に取り組みましょう。

おすすめの参考書

地理B講義の実況中継(系統地理編・地誌編) 改訂第2版
地理B講義の実況中継(系統地理編・地誌編) 改訂第2版
地理B講義の実況中継(系統地理編・地誌編) 改訂第2版:瀬川聡著:語学春秋社

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センター地理Bの点数が面白いほどとれる本 改訂第2版
センター地理Bの点数が面白いほどとれる本 改訂第2版:瀬川聡著:中経出版

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村瀬のセンター地理Bをはじめからていねいに(系統地理編・地誌編)
村瀬のセンター地理Bをはじめからていねいに(系統地理編・地誌編):村瀬哲史著:東進ブックス

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山岡の地理B教室(系統地理編・地誌編):山岡信幸著:東進ブックス
山岡の地理B教室(系統地理編・地誌編):山岡信幸著:東進ブックス

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きめる!センター地理:山岡信幸著:Gakken
きめる!センター地理:山岡信幸著:Gakken

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カリスマ講師の日本一成績が上がる魔法の地理ノート:宮路秀作著:中経出版
カリスマ講師の日本一成績が上がる魔法の地理ノート:宮路秀作著:中経出版

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直前30日で9割とれる鈴木達人のセンター地理B:鈴木達人著:KADOKAWA
直前30日で9割とれる鈴木達人のセンター地理B:鈴木達人著:KADOKAWA

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瀬川聡のセンター試験地理B超重要問題の解き方(系統地理編・地誌編):瀬川聡著:KADOKAWA
瀬川聡のセンター試験地理B超重要問題の解き方(系統地理編・地誌編):瀬川聡著:KADOKAWA

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センター試験にでる順 地理B
センター試験に出る順 地理B:塚原洋子著:KADOKAWA

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地理B統計・データの読み方が面白いほどわかる本 改訂版:伊藤彰芳著:KADOKAWA
地理B統計・データの読み方が面白いほどわかる本 改訂版:伊藤彰芳著:KADOKAWA

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ンター試験過去問研究 地理B:教学社
センター試験過去問研究 地理B:教学社

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センター試験過去問レビュー 地理B:河合出版
センター試験過去問レビュー 地理B:河合出版

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マーク式総合問題集 地理B:河合出版
マーク式総合問題集 地理B:河合出版

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大学入試センター試験過去問題集 地理B:駿台文庫
大学入試センター試験過去問題集 地理B:駿台文庫

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大学入試センター試験実戦問題集 地理B:駿台文庫
大学入試センター試験実戦問題集 地理B:駿台文庫

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地形図対策

新地形図の読み方:武井昭信・武井正明著:三省堂
新地形図の読み方:武井昭信・武井正明著:三省堂

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レベル2 中堅私大(日東駒専・産近甲龍・MARCH・関関同立など)レベル

出題形式は基本的にはマーク式や記号式などの選択問題です。ただ,センター試験と出題傾向が大きく違っており,「思考力」を問う傾向が強いセンター試験に対し,「知識量」を問う傾向が強く,教科書レベルを超えたかなり細かい用語や地名が出てきます。地図帳・資料集・用語集を手元に置きつつ,以下に挙げる問題集を使って演習を積み,その過程でどんどん知識を増やしていきましょう。ちなみに,細かい地名対策をしたい人は<地図と地名による地理攻略:共著:河合出版>が特にオススメです。

よくわかる地理:学研教育出版編:Gakken
(写真:アマゾン)
よくわかる地理:学研教育出版編:Gakken

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地図と地名による地理攻略 四訂版:権田雅幸・佐藤裕治・藤山佳貴・堀顕子共著:河合出版
地図と地名による地理攻略 四訂版:権田雅幸・佐藤裕治・藤山佳貴・堀顕子共著:河合出版

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地理B標準問題精講:赤松輝夫・斎藤績著:旺文社
地理B標準問題精講:赤松輝夫・斎藤績著:旺文社

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大学入試シリーズ(赤本):教学社
大学入試シリーズ(赤本):教学社

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難関私大(早慶)レベル

難易度が急激に上がります。センター世界史であれば満点を目指すくらいの勉強が必要になります。記述式の出題はもちろん,論述式の出題も散見されます。地図帳・資料集・用語集を手元に置きつつ,以下に挙げる難易度の高い問題集で演習を十分に積みましょう。

地理B標準問題精講:赤松輝夫・斎藤績著:旺文社
地理B標準問題精講:赤松輝夫・斎藤績著:旺文社

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地実力をつける地理100題 改訂第3版:Z会出版編集部編:Z会
地実力をつける地理100題 改訂第3版:Z会出版編集部編:Z会

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大学入試シリーズ(赤本):教学社
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全国大学入試問題正解:旺文社
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レベル3 難関私大(上智)・国公立大レベル

 このレベルは基本的に大半が論述問題で構成されています。したがって,難易度は最上級だと言えます。ただ知識を持っているだけでは合格点を取れません。相当量の論述対策を積む必要がありますので,以下に挙げる論述対策問題集をやり込みましょう。

納得できる地理論述:伊藤彰芳・坂本勉・佐藤裕治・中野泰男・仁科淳司共著:河合出版
納得できる地理論述:伊藤彰芳・坂本勉・佐藤裕治・中野泰男・仁科淳司共著:河合出版

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地理B論述問題が面白いほど解ける本:宇野仙著:中経出版
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大学入試シリーズ(赤本):教学社
大学入試シリーズ(赤本):教学社

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※東大のみ<東大の地理25カ年>という赤本があります。東大で地理を使う受験生は必携。

全国大学入試問題正解:旺文社
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東大地理問題演習:高橋和明著:東進ブックス
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