2017 09/06
コラム  

東大法学部卒に聞いてみた東大に合格するまでに使った参考書(数学編)

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東大法学部卒に聞いてみた東大に合格するまでに使った参考書(数学編)

 東大文系科類では二次試験の数学の配点は80点と英国に比べて低いですが、数学ほど点数に差がつく教科はありません。大問四問構成で、各問20点ずつと予想されていますが、思いつかなければ0/20点もありえる一方で、しっかり修練してきた人は20/20点取る人も少なくありません。他の科目ができたとしても数学に苦しんで不合格になる人もいますし、他の科目がイマイチでも数学で一気に挽回して合格という人もいます。しかしながら、得意な人はともかく、不得意な人でも、しっかりと対策し、しっかりと部分点を稼げば40点ぐらいは安定的にとれるようになります。というのも、東大受験ですら、数学の問題として出題されるものの大半は既に入試に出たことがあるような典型的な問題であるため、典型問題の解き方を徹底的に頭に入れれば、その場で解き方を考える必要なく、解答することができるからです。もちろん、典型問題と言ってもその種類はとても多いですし、本番では典型問題からのアレンジに対応する必要もありますが、まずは典型問題を押さえていくことが数学の勉強の基本になります。俗に言う暗記数学というのは、このように典型問題の解法を暗記してしまう、ということからでた言葉です。では、典型問題を抑えるのにおすすめの参考書を以下で紹介したいと思います。

・基礎レベル

『新課程 チャート式基礎からの数学』 数研出版(いわゆる青チャート)

 言わずと知れた、とても厚い数学の基本問題集。基本的な典型問題はすべてほぼ網羅されているため、この一冊をしっかり回せば問題なく基礎力がつくと思います。基本的に例題を1問ずつ解いていくというもので、類題も備えられています。ちなみにシリーズで赤や白など他の色のものもありますが、青だけやれば良いという印象が強いです。
『大学への数学 1対1対応の演習』東京出版

 青チャートと基本的な構成は同じですが、青チャートよりは少しレベルが高くなっています。薄いので持ち運びやすいという利点もあります。青チャートでは網羅できていない解き方なども収録されていて、このシリーズを完璧に回せば入試問題を解きはじめるための実力は十分につくでしょう。

・実践レベル

『新スタンダード演習』 東京出版

 1対1の続編のような立ち位置にあるものです。1対1は問題数が少ない点が懸念されますので、問題数を補うのに使うと良いですが、筆者としては後述する『文系数学の良問プラチカ』をおすすめしたいと思います。

『文系数学の良問プラチカ』 河合出版

 実際の入試問題から厳選された良問約150問を収録しています。いい点としては、問題の質がいいのみならず、解説が詳しい点、分野ごとにまんべんなく収録されている点、問題の難易度が非常に高い点があげられます。他の出版社からも類似の問題集が発売されていますが、この本が東大合格者には一番使われているという印象です。これをしっかり回せれば、いよいよ過去問で実践演習を積んでいくという段階になります。

『東大の文系数学25カ年』


 東大数学の過去問集。解説等はあまりおすすめできませんが、問題数が豊富という点であげさせていただきました。他に過去問が手に入るのであれば、そちらでやって良いと思います。

『河合塾・駿台の東大模試過去問集』

 河合塾・駿台が毎年二回開催している東大模試の過去問を収録した本。数学のみならず全科目東大型の問題が並んでおり、解説も詳しいためやっておいて損はないでしょう。時間を図って、しっかり解答を作る演習形式でやるのが望ましいものです。代ゼミのものは一枚落ちますが、演習量を積みたい方はそちらも使えるでしょう。

・番外編

『改訂版 佐々木隆宏の整数問題が面白いほどとける本 (数学が面白いほどわかるシリーズ)』

 代々木ゼミナールの講師による整数問題に特化した本。東大では度々整数問題が出題されるにも関わらず、整数問題を苦手とする受験生は少なくありません。そういう方にはこの本から整数問題の考え方を学ぶことをおすすめしたいと思います。この本は数学の参考書の中では比較的平易な言葉遣いでわかりやすく、読みやすい構成になっており、取っ掛かりやすいので、苦手意識を持っている人もぜひ手にとって頂きたいと思います。

『マスター・オブ・整数 大学への数学』

 本書も整数問題に特化した本。整数問題を極めたい人には、体系的にエッセンスが詰まっている本書がおすすめになります。

 ここまで参考書を幾つか紹介しましたが、重要なのはその参考書に載っている問題は全てできるようになることだ、ということを忘れないでいただきたいと思います。受験生の中には、参考書を買って、その収録されている問題を一回解いて丸つけをしては、次の参考書を買って、再びおなじようなことを繰り返すという人が少なくありません。確かに、焦燥感から問題数をこなしたいという気持ちはわからなくもないですが、演習量は網羅的な参考書を完全にものにしてからこなせば十分です。逆に言えば、一周するだけでなく、解けなかった問題はできるようになるまで何度も何度も繰り返し、最終的に全部解けるようになってから次のテキストに進んで行くという形を積み重ねれば、必ず点数は取れるようになります。数学においても、反復が最も重要ということです。

ライター
開成中学校、高校 東京大学法学部卒
弁護士 今泉

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