30日完成スピードマスター日本文化史問題集―日本史B
⑴独学可能度★★★★★
資料集を駆使すれば十分に独学が可能なテキストです。形式としては文章の穴埋め問題の形をとっており、各時代ごとに見開き1ページの問題と数ページに及ぶ解説(まとめ)のページが繰り返されます。
「文化史だけがどうしても覚えられない!」方や「文化史は直前にまとめてやろう」という魂胆の方にはオススメのテキストです。文化史は暗記事項も非常に多いので大変ですが、この問題集を一冊完璧に自習すれば、MARCHや早慶下位レベルの文化史にも十分対応できます。しかし、文化史に関して記述を求められる大学を受験する方には流れが掴みにくく不十分と思われますので、他の問題集と併用されることをお勧めします。
⑵レベル★★★
おすすめ度★★★★★
偏差値60に到達したい方
MARCHから早慶の下位まで
こちらの問題集を隅からすみまでやりつくすことができれば、基本的な文学史での失点はないでしょう。解説のページには、難関レベルの大学でしか出ないような詳しい内容も含まれていますので、MARCHを第一志望にしている場合には重要な内容をピックアップして記憶に定着させる必要が生まれてくるでしょう。多くの受験生が文化史を苦手とする中で、文化史への苦手意識を無くし、ある程度の自信をつけさせてくれる一冊になると思います。
しかし、この問題集は文化史に特化しており、基本的な通史に関しては内容が頭に入っている前提での問題集になっています。文化史をやる前に通史を勉強しないといけない人もいるでしょうが、そのような方はあせらず、穴埋め形式の問題集や、一問一答形式の単語帳、さらには教科書を用いて通史を整理してからこの問題集にチャレンジしてください。通史が整理されていれば、通史に関連付けて文化史を覚えることができるので、より短期間で文化史を覚えることができるでしょう。
⑶参考書、問題集の特徴
特徴は問題ページの直後に解説ページがあり、ここに重要な事項がほぼ全て載っている点でしょう。河合塾や駿台のテキストのように重要なキーワードとその解説や、表で覚えたほうが早い文化史などを一通り網羅しています。さらには教科書プラス@の知識についても多少は書いてあるので、文化史を得意分野にしたい人にとってもオススメの教材です。文学部や社会学部など、文学史の出題可能性が高い学部を受ける方が直前にまとめておさらいするのにも適しています。
問題は文章の穴埋め形式で作られており、特別な面白みはありませんが、ここに描かれている知識は過不足なく必要なものを必要なレベル感で的確に出題してくれています。解答は別冊になっているので答え合わせが容易にできます。
解説はさほど詳しくはありません。こちらも、30日完成というだけあってシンプルに丸暗記しなければならない、点数につながりやすい事項を抜粋してくれています。文化史は単純な暗記作業も必要になりますので、この解説ページは試験前の強い味方になるでしょう。
⑷完璧になるまでの反復学習基準
5回程度
日本史の通史を理解し、文化史も大枠では覚えているけれど、細かいところまでは覚えきれていない…という方は5回程度回転させれば試験でも解ける問題がかなり増えているでしょう。覚えられるならば一周でも構いません。
30日完成、というタイトルですので、11月や12月の直前期に手を出したくなる問題集ではありますが、内容の濃さと覚える効率を考えてると、9月ごろには手をつけておきたいところです。文化史は暗記事項が多く、色々と工夫をしてもどうしても細かい点は忘れてしまいがちです。よく、通史は一通りやったのに文化史にまったく手をつけていないままに12月を迎える人がいますが、難関大学を受験する上では非常に危険なので、せめて9月頃から文化史の勉強時間を確保してください。
⑸同時に使いたい参考書
同時に使って欲しいのは、日本史Bの教科書と日本史B一問一答。実力をつける日本史100題です。文化史は30日完成を一通りやって、あとは過去問や練習問題で出てきたものをその都度覚えていけば、記述問題以外には問題がないでしょう。文化史を覚えるポイントとしては、作品名や作者の名前を言われた際に、その時代や作風について思い出せるか、を自分に問いかけながら覚えることです。教科書にも多少は文化史についての記述がありますから、逃さず読み切りましょう。日本史の勉強においては流れをつかみ、なんとなく時代を説明できるようになってから単語をガンガン習得していくのが近道です。文化史にも、時代によって作風などに偏りがありますから、大枠を掴んでおくことは非常に大切です。ある程度、大枠イメージがつかめてきたら、30日完成で一気に頭に単語をたたき込み、他の受験生に差をつけましょう。特に、模試の前などに時間をとってインプットすれば、集中力もありますし、短期間にまとめて覚える良い機会になるでしょう。
文化史は、苦手な受験生が多い分、ある程度のレベルまでいけば大きなアドバンテージになります。早慶を受ける学生としては、この分野に穴を開けることは文系学部を受ける上では致命傷になりかねませんので、ぜひとも早めに取り組んで、他の受験生との間に大きな差を作って欲しいと思います。
文化史は、政治史や経済史とは異なり、作品の多くが現存し、私たちも見ることができることが魅力の一つです。資料集を見るときも、少し勉強から離れて、「ああ、この絵のこのグラデーションが綺麗だな。」「この絵のおじさん、何してるんだろう」など、感想を引き出しながら好奇心を持って勉強して欲しいと思います。
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