実力をつける世界史100題の使い方と勉強法
(1)独学可能度★★★★☆
アウトプット型
メインは問題演習で,良質なZ会オリジナル問題と私大・国公立大などの入試問題から構成されています。別冊の解答編が比較的詳しいので,演習した後には必ずそれをじっくりと読み込む必要があります。ただ,問題自体の難易度がやや高く細かい情報が載っていることも少なくないため,初学者にとっては独学しにくい教材かもしれません。分量も多めなので独学の際には注意が必要です。
(2)相性の良い参考書は『詳説世界史Bノート:山川出版社』
レベル★★~★★★★
オススメ度★★★★
偏差値45~60
日東駒専・産近甲龍レベルから早慶上智レベル
『実力をつける100題』はやや難易度の高い演習問題が中心となっているため,そこで新しく得た知識などを整理整頓するためのツールが必要です。釣り合うレベルの参考書としては『詳説世界史研究 改訂版:木下康彦・木村靖二・吉田寅編:山川出版社』なども良いですが,解説をチェックしながら自分で後から加筆・修正できる『詳説世界史Bノート:山川出版社』のようなノート形式のものと相性が良いでしょう。ちなみに,『世界史用語集:全国歴史教育研究協議会:山川出版社』など細かい語句を確認するための用語集は必携です。
(3)参考書,問題集の特徴
世界史の内容をいくつかの章に分け,それぞれの章内にいくつかのテーマが設けられ,合計100テーマからなるように構成されています。まず章ごとの初めには簡単な知識整理がついており,その範囲の概要を確認できますが,一から勉強することを想定したものではないため,初学者のための教材としては不向きです。難易度や分量から言って中級者でもやや苦労するでしょう。センター試験でしか世界史を使わない人にはまず必要ありません。一方で,難関私大入試での高得点を狙って相当量の演習をこなしたい上級者にとっては,難易度・分量や解説の詳しさなども加えて,かなりオススメの一冊です。ただし,オリジナル問題であったり,様々な大学の入試問題を使っているため,問題構成が多様すぎてある特定の大学の対策としては完璧なものとは言えませんので,必ず志望校の過去問演習はやるようにしましょう。
使い方…これを使うのはある程度の基礎力を持った受験生だけだと思いますので,早速演習に取り掛かりましょう。その際,必ずしも「古代」からやっていく必要はありません。これはこの問題集に限らないですが,苦手とする受験生が多い「中世」であったり「近現代史」から始めるのも一つの手です。旧石器時代のような特に古い年代は入試上出題されても配点がそこまで大きいものではありません。自分が苦手で,かつ頻度の高いテーマを繰り返せるように計画的に演習していきましょう。演習した範囲については別冊の解説を使って必ず該当範囲の知識の補充を図ります。その際に先述の『詳説世界史Bノート』などのインプット用教材を使って知識を定着させます。「解説にだけマーカーで線を引いておしまい」として,この作業をしない受験生が多いので,特に注意です。
完璧になるまでの反復学習基準
2~4回程度
個人差はありますが,元々基礎力があり,解説までじっくりと読み込んでいけば2・3回反復すれば,演習問題に対する正答という点では完璧に仕上げられるでしょう。(2)や(4)で紹介している参考書や問題集も併用できれば,定着の効率はかなり上がります。ちなみに,この問題集では設問ごとのレベルが分かりやすく表示されていますので,自分の志望校や目標点に合わせて解く問題を限定するのもアリです。これは数学など他の教科でもそうですが,問題集は必ずしも一冊丸々をやり切る必要はありません。受験勉強全体で使える時間にも限りはありますので,他の教科とのバランスを考慮して適切な部分だけを使えば良いんです。あまり欲張り過ぎると古代から近現代までがちゃんと終わらないということも多々ありますので,やる気があるのは良いことですが空回りしないように要注意です。
(4)同時に使いたい問題集
先に述べた通り,様々な大学の問題が掲載されている分,特定の大学の対策としてはやや弱い部分がどうしてもありますので,仕上げには必ず『大学入試シリーズ(赤本):教学社』などを使って志望校の過去問演習をすべきです。その他,難関私大専願の浪人生等で世界史対策にかける時間に余裕があり,難関私大で世界史を得点源にしたいと考えている超上級者には『世界史B標準問題精講:松永陽子著・斎藤整監修:旺文社』の演習も良いと思います。『実力をつける100題』と同様,様々な大学の過去問を中心に世界史のほとんどの範囲を難易度の高い問題でカバーしていますので,『実力をつける100題』に加えて徹底的にやり込めば,もう怖いものはありません。ただし,受験で論述問題が課される場合にはこれらの問題集だけでは実は足りません。難関私大や国公立二次の試験になれば,論述を課せられるケースが増えますが,論述対策には用語暗記・流れの理解に加えて,「実際に論述しまくる」という訓練が欠かせません。なので,該当する受験生は『実力をつける100題』か『標準問題精講』のどちらか一冊と,論述対策問題集の一冊を選んでやり込みましょう。
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