2017 03/15
参考書ペディア  

大学入試シリーズ(赤本)のトリセツと勉強法

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世界史のオススメ参考書:『大学入試シリーズ(赤本):教学社』

(1)独学可能度★★★★

アウトプット型
『大学入試シリーズ』いわゆる「赤本」は二次対策の定番中の定番書です。特定大学の何年か分の過去問題が載っているため,志望校別対策としては最強の一冊です。これに取り組む受験生はもうある程度の基礎学習が終わっており,受験後半期の総仕上げということが多いと思いますので,そのくらいの実力があれば十分独学は可能です。解説もしっかり書かれているので,そこも独学者にとって有難い点でしょう。
(2)相性の良い参考書は『世界史B講義の実況中継:青木裕司著:語学春秋社』
レベル★★~★★★★

オススメ度★★★★

偏差値50~60
「赤本」は大学の過去問とその解説が掲載されているアウトプット用教材であって,受験世界史の内容を一から丁寧に説明したインプット用の教材ではありません。なので,世界史対策としては基本を学ぶための教材が必要です。その教材は教科書をはじめとして,何を使っても良いわけですが,ここでは『世界史B講義の実況中継』を推しておきます。『実況中継』は受験世界史対策の教材として,多くの版を重ねたベストセラーの参考書です。その実績に見合うだけの内容になっているので使ってみて間違いはないと思います。基本的な構成は,タイトル通り,全編が実況中継さながらの話し口調で書かれており,臨場感を持って読み進めていけるものになっています。特に歴史の流れを重視した説明は大変分かりやすく,はじめて世界史を勉強し始める人にとっても使いやすい一冊だと思います。

(3)参考書,問題集の特徴

「赤本」は言わずと知れた二次試験対策の定番書です(※センター試験対策用の「赤本」もありますが)。全国津々浦々の私大から国立大,公立大のものが出版されていて,その扱っている大学の守備範囲は他社のものと比べて群を抜いて広いです。
内容は全編その大学の過去問題です。例えば,『大学入試シリーズ 京都大学 文系』であれば,京都大学の文系学部(総合人間・文・教育・法・経済など)の最近7カ年分の全科目の問題(※世界史だけでなく,英語や国語なども全て)が掲載されています。
当然その問題の模範解答と詳しい解説がついています。「赤本」では解答・解説が別冊になっていますので,同時に開いて勉強しやすいというメリットがあります。同様の大学過去問題集としては,例えば駿台文庫出版のいわゆる「青本」もありますが,そちらは解答・解説が全て同冊の後半にあるという構成なのでいちいちページをめくりながら勉強しなければいけませんので,それが手間だと感じる受験生も少なくないようです。
難易度的には「赤本」<「青本」という感じです。掲載問題自体は当然同じですが,その解説の詳しさに差があります。「青本」の方がより詳しく深く解説が書かれていますので,難しいことまで同時に知りたいという受験生はそちらを選ぶことが多いようです。ただこのあたりは好みの問題なので,どちらが優れているということではありません。
「赤本」にはその他にもオイシイ情報がふんだんに盛り込まれています。例えば,その大学の基本情報として「沿革」や「学部・学科の構成」,さらには「大学の所在地」まで載っています。また,受験生にとって気になる「入試データ」(前年度の志願者数や競争倍率)が学部・学科ごとに載っていたり,大学合格者の体験記などを載せてある点も魅力です。単なる教科勉強用の本ではなく,その大学全体を学ぶための本であり,受験生だけでなくその保護者の方にも読んでおいてほしいような内容になっています。
当然教科面のことも詳しく載っています。「傾向と対策」というテーマで,各科目ごとの過去何年か分の出題内容とその分析,及びその適切な対策方法が書かれていますので,問題を解き始める前に一読しておくと良いでしょう。
使い方…最新年度からやるか,古い年度からやるかは好みです。どちらにしても掲載年度分の全問題を少なくとも2回は繰り返すようにしましょう。その時の注意点としては,必ず時間を計ることと,論述問題であれば必ず専門の先生にチェックしてもらうことです。あとは他の問題集と同じように,しっかりと解説を確認し,時には基本の参考書に戻りながら,じっくりと知識を定着させていくようにしましょう。
ちなみに,東大・京大・一橋大・早慶など一部の大学に限って,各教科ごとの「赤本」もあります。例えば,東大世界史対策としては『難関校過去問シリーズ 東大の世界史 25カ年:佐藤貢編著:教学社』という「赤本」があります。東大の世界史の過去25カ年分の過去問とその詳しい解説がついています。志望校のものがもし出版されていれば,優先的にやっておきたい一冊です。

完璧になるまでの反復学習基準

 
3~5回程度
その大学のレベルによります。地方の私大などで全問選択式の問題であれば,2~3回繰り返せば完璧にできるでしょう。難関国立大などのように論述問題が多ければ,中々完璧にするのは難しいです。論述問題は必須のキーワードや流れを落とさなければ良いものなので,「一言一句間違えないように」というガチガチの暗記思考は止めましょう。

(4)同時に使いたい問題集

「赤本」はある特定の大学の対策としては最強の問題集ですが,複数の大学を受験するような場合は何冊も買わないといけないというデメリットや,新設大学・学部の対策はそもそも過去問題がないので不可能というデメリットがあります。なので,もっと対象範囲を広げて幅広く対策したい人は別の問題集と併用する必要があります。
そこで例えば,関東の難関私大を受験するならば山川出版社の『関東難関私大世界史問題集』,関西の難関私大を受験するならば『関関同立世界史問題集』といった複数の大学を受験する人用の問題集がありますので,該当する人はこちらを併用すると良いでしょう。
もっと難易度の高い演習をしたい上級者には『実力をつける世界史100題 改訂第3版:Z会出版編集部編:Z会』あるいは『世界史B標準問題精講:松永陽子著・斎藤整監修:旺文社』などもオススメです。こちらは全国の有名私大の問題を中心に,オリジナル問題も加えて,精選された問題で受験世界史のほぼ全範囲をカバーできるようにバランスよく構成されていて,一冊やり込めば相当力がつきます。
その他,『全国大学入試問題正解:旺文社』は年度ごとの日本中の主要大学の過去問を一冊に集約した過去問題集で,世界史対策に相当量時間をかけられる受験生であれば取り組んでも良いと思います。ただし,量が本当に多いですし,解説がほぼないので注意して下さい。

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